コロナストレスで使い過ぎ?それとも貯め過ぎ? お金との上手な付き合い方とは

外出自粛が全面解除されて1週間。ストレス発散のためにお金を使い過ぎてしまったり、第二波を心配して、過度に節約に走ったりしていませんか? ファイナンシャルプランナーの中村芳子さんは、「ムリに節約しなくてもいいし、一時的にお金を使い過ぎてしまっても罪悪感を持つ必要なし」と言い切ります。ウイズコロナは、お金との付き合い方を見直すチャンスでもあるそうです。

一時的にお金を使い過ぎても・・

――外出自粛が解除された反動で、いつもよりも出費が増えそうです。

中村:コロナで食費が増えたり、家具や家電を買って出費が増えたりといった点を気にする人もいますが、基本的には罪悪感を持たなくて大丈夫。お金のことでは罪悪感を持つことが一番良くないのよ。だって、自分を責めてもなにもいいことはないんだから。
「失敗した」と思ったら素直に認めて「同じ間違いをしないためにはどうしたらいいかな?」と考えて、同じことを繰り返さないように改善する。これが正解。

コロナでのストレスの原因のひとつは「罪悪感」を持ってしまうこと。私は、ボランティアでチャットによる心の相談を受けていますが、そこで多いのが、「無力感、罪悪感がある」という内容。失業したり、在宅勤務で生産性が下がったりなどして、「自分には価値がない」と思い込む。その結果、ストレスを抱える人が増えているんです。落ち込んだり、鬱の傾向が出る人もいます。そうならないように気をつけて!
稼ぎ力や生産性と人間の価値は何にも関係ない。というのがわたしの持論です。

自分を楽しませたり、自分へのご褒美にお金を使ってOK

――ストレス解消で、浪費する人が増えそうですね。

中村:ストレスの解消法として、お金を使って自分を楽しませたり、ご褒美をあげたりすることはいいことですよ。せっかくお金を使ったら喜ばなくちゃ。「食事に5000円も使っちゃった」と感じるんじゃなく「おいしいものが食べられてよかった」。「この服買っちゃった」ではなく「すてきな服を買ったからどこかに出かけよう」という感覚を持つことが大事ね。

今月使い過ぎたら、来月は控えるなど、帳尻を合わせれば問題ありません。
ただし、自分の害になること、ギャンブルや飲酒、借金してまでの買い物や旅行はだめ。特に、お金がこころもとない時はクレジットカードを使わないこと。それさえ守れていれば大丈夫ですよ。

トータルで帳尻あえば問題なし

――使い過ぎたらダメだと思っていました!

中村:お金は使うためにあるのよ。たとえば、コロナで食材費が増えたといっても、外食費や、交通費や交際費は減っているんじゃないかな? ある一項目だけの出費が増えていることを気にする必要はありません。全体を見ましょう。

めざしたい健全な家計とは、毎月一定の割合の貯金ができていて、健康な生活が送れていること。貯金と健康な生活ができていれば、お金をどんなふうに使ってもいいんです。健康な生活には、体・心・人間関係が含まれます。貯金のために楽しみや友達付き合いをカットするのは危険です。
仮にトータルの出費が増えていたとしても一時的なものであれば問題なし。洋服にしても化粧品にしてもレストランにしてもそれで経済がまわっているんだから、過度に「出費も自粛しないと!」となるのはいいことではありません。

――いくら貯めたらいいのか分からないから不安になるんですよね。

中村:目安としては、給料の手取りの15%を将来のために毎月貯金すること。それを、現役の間ずっと続ければ、結婚、子どもの教育費、家を買う費用、自分の老後など、すべてをカバーできます。
また、緊急費として生活費3カ月の貯金をキープ。旅行や大きな買い物をするための貯金は、将来貯金とは別に取り分ける(貯める)のもポイント。これができたら、あとはむやみに節約しなくてもいいんです。

人生を楽しむためにお金を活かす

――節約し過ぎてしまう人もいそうです。

中村:不安がある人は、ありとあらゆるものを削る傾向があります。元々、人付き合いが好きでない人は、自分からは連絡を取らなくなり、隠居生活のようになっていく恐れもあります。

私も、ファイナンシャルプランナーとしてたくさんの女性から相談を受けますが、一緒に計算してみると、「そんなに貯めなくてもいい」という人もけっこういます。

――不安からつい「貯めなくちゃ」と思ってしまうんですね。

中村:一度、プロのファイナンシャルプランナーに相談したら、お金への不安は全然、変わると思いますよ。今の家計と将来の希望を話して簡単なシミュレーションをすれば、見通しが立って、将来の不安はかなり消えます。以前、20代の女性が45分間の無料相談に来ました。そのときに簡単な家計や、不安に感じていることを書き出してもらい、正しいお金の考え方をお話ししたら、それだけで「すっきりしました」といって帰っていきました。(ただし、無料相談は保険や投資商品を勧められることが多いのでお勧めしません)

みんな「たくさん貯めなきゃいけない」というけれど、死ぬときに一億円あっても仕方がないでしょ? 死ぬときには100万円ほど残し、お葬式ができればいいんです。ファイナンシャルプランというのは、長生きに備えるだけじゃなく、1ヶ月後に死んでも幸せと思えるようにお金をまわすこと。だから、稼いだお金をどう活かすかが大切です。

ウィズコロナで、ライフスタイルの見直しが迫られてます。住まい、仕事、人との付き合い、食事、運動、楽しみをどう仕切り直すか。どれも「お金」と関わってきます。キーワードは、健全&シンプル。収入が減ってもあわてず、その中で生活できるようにプランする。そして自分を大切にする。でも、いつも自分のことばかりを考えていると、逆に苦しくなっちゃう。
コロナでは、国内でも海外でも大変な経験をしている人がいて、医療従事者やボランティアなど援助のため働いている人もいます。その人たちを応援するために寄付をするなど、自分以外の人にも目を向けてみる。貯めるばかりじゃなく上手なお金の使い方ができるように工夫してみてくださいね。

いま、働く女子がやっておくべきお金のこと

著者:中村芳子

出版社:青春出版社

ファイナンシャルプランナー。東京・下北沢のオフィスで多くの人のお金の相談にのり、人生の悩み解決のお手伝いをしている。早稲田大学商学部卒。メーカー勤務を経て1985年に独立系ファイナンシャルプランニング会社に転職、女性FP第1号に。91年に友人と「アルファアンドアソシエイツ」を設立。『20代のいま、やっておくべきお金のこと』(ダイヤモンド社)『いま、働く女子がやっておくべきお金のこと』(青春出版社)など著書多数。
明治大学サービス創新研究所客員研究員。ミリオネアとの偶然の出会いをキッカケに、お金と時間、行動について真剣に考え直すことに。オンライン学習講座Schooにて『文章アレルギーのあなたに贈るライティングテクニック』講座を開講中。
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