マスクをすると顔がテカる?汗と皮脂で肌トラブルの原因にも。美容皮膚科医にきく対策は?
どうして“あぶら”がでるの?
そもそもどうして私たちの肌からは“あぶら”が出るのでしょうか。
“あぶら”は皮脂腺という器官から分泌され、毛穴を通じて肌の表面に広がります。これを皮脂と言います。女性では20代、男性では20~40代に分泌が多くなるとされており、その後は加齢とともに減っていきます。
皮脂には、肌の表面をコーティングして乾燥を防ぐことで角質層を整え、病原菌や外的刺激から肌を守る役割があります。
額や鼻などのいわゆる“Tゾーン”は皮脂の分泌量が多く、洗顔をしても2~3時間経てば皮脂の量が回復します。
マスクをすると皮脂の分泌が増える?
ただ、今回のコロナ禍でマスクをする機会が増えたいま、「なんだか顔がテカる」と感じている人もいるかもしれません。
これは、マスク着用によって顔の表面が高温多湿になり、皮脂や汗の分泌が活発になるためだと考えられます。長時間の着用は化粧崩れの原因にもなります。
マスクの長時間着用で毛穴が開く?
マスクが毛穴に直接作用するとは言えないのですが、毛穴や汗腺、皮脂腺などの活動が活発になることで、雑菌の増殖が増えやすくなり、ニキビができたり、肌がかぶれたりすることで、場合によっては毛穴が目立ちやすくなると考えられます。
また、マスク着用でマスク内の肌が高温多湿状態になると、マスク内の肌に皮脂が長時間作用し、結果的に毛穴の開きにつながる可能性があるのです。
マスクが原因で起きる肌トラブル
マスク内が多湿になったり付着した汚れで刺激を受けたりして、皮脂を好む細菌が増えてアトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎や、“マスクかぶれ”(接触皮膚炎)の症状が出ているケースも。また、マスクによる摩擦で口周りや頰などにニキビができやすくなります。
最近日常診療でも、そのようなマスクによる肌トラブルが増えている印象があります。
これらの症状が出たら、皮膚科医に診てもらうことをおすすめします。
できる対策は?
では、マスクが欠かせない今、肌トラブルを防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。
基本的には肌を清潔に保つこと、可能ならば頻繁に石鹸や洗顔フォームを用いて洗顔し、洗顔後は必要に応じて保湿することがポイントです。ただし、汗や皮脂の分泌が多い場合は、あまり保湿を意識し過ぎなくても良いでしょう。
前述のようにマスクは汗や皮脂を余分に分泌させたりするうえ、物理的刺激にもなります。長時間の着用は、トラブルを引き起こしやすい環境なのです。
汗や皮脂が肌に長く留め置かれないよう、自宅や屋外で周囲に人がいないときなど、マスクが本当に必要ではないといえる環境では、マスクをしない習慣も必要になるでしょう。
マスクをこまめに替える
マスクの汚れがマスクの再使用でまた肌に移り、肌の表面で細菌が増殖しないよう、できれば一日に1~数回、清潔なマスクに取り替えるのが理想です。マスクはまた不足する可能性もあるので、洗えるマスクを数枚持ち歩くことも良いかもしれません。
洗顔後は自分の肌に合う保湿
洗顔後の保湿も重要です。これは季節や年齢などといった条件によって変わるので、どうしたらよいか、一概に言えません。
マスクを着用する場合は普段より皮脂の分泌が活発になるため、保湿は普段より少し控えめでよいと思います。例えば毎日付けているオイルをやめるとか、ベースメイクはさらっとしやすいタイプを使ってシンプルに済ませる、といった対策が有効です。
こまめな洗顔
肌トラブルを防ぐ点では清潔に保つことがポイントになります。可能ならば、日中でもこまめに洗顔するとよいでしょう。マスクをする口もとが化粧無しでも良いならば、昼休みに歯磨きついでに口もとだけでも洗顔できれば肌トラブルはコントロールしやすくなります。
菌が潜んだ皮脂や汚れを落とすために、洗顔は水だけで行うのではなく、石鹸や洗顔フォームなどを使ってください。水だけではアクネ菌などの雑菌は取れず、再び増殖してしまいます。
とはいえ、日頃化粧をしている人が日中洗顔するのは現実的ではないでしょう。
洗顔できないとき、男性ならば洗顔用のウエットティッシュで顔を拭くのもよいでしょうが、化粧をされる方の場合、あぶらとり紙で余分な皮脂をこまめにケアすることも多少の効果はあるでしょう。
アフターコロナのマスク時代を生きる
マスクをしているときは、いつも以上に油っぽくなった肌を長時間そのままにしないように心掛けたいところ。家に帰ったらすぐにメイクを落としたり、マスクが必要がない日はすっぴんで過ごしたりして、なるべく肌を清潔に保ちましょう。
肌の調子がよくないときは、皮膚科医に診てもらうといいと思います。
記事監修:BLISS CLINIC院長・田尻豊和さん
●田尻豊和さんのプロフィール
総合病院の形成外科や救命センターで経験を積み、クリニックの院長を歴任。美容医療や美容外科、形成外科のセカンドオピニオン外来もしているBLISS CLINIC院長。創傷治癒や細菌学なども専攻した医学博士。
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