Dr.尾池の奇妙な考察

【Dr.尾池の奇妙な考察09】唇の攻撃力と正しい目的意識

化粧品の開発で、それまで縁のなかった「女性の美」について考えるようになった、工学博士であり生粋の理系男子である“尾池博士”。リップを開発していたとき、実はキスはこわいものではないか、という疑念を抱いたそうです。

●Dr.尾池の奇妙な考察 09

唇が女の武器

2年前、私のメインの研究テーマはリップクリームでした。

涙は女の武器といいますが、唇の方がよっぽど破壊力のある武器だと思います。唇の破壊力をもっとしっかり理解して、最大限に使いこなすことができれば、さらに男性を追い込むことができるのではないでしょうか。

唇の射程距離は至近距離と遠距離の二つに分けることができます。至近攻撃はもちろんキスですが、遠距離攻撃は唇の外観や動かし方で男性をメロメロに溶かします。ただし溶かす目的は「取り込む」こと。この目的を明確にしなければ、唇の使い方を誤ることになります。

効果的な唇の操作方法

唇を舌で舐める動作は理に適っています。舐めることで唇の表面は潤い、柔らかくなり、いかにもこれから包み込んで溶かす印象を与えます。溶かされたいと考えているM基質の男性はメロメロになるはずです。

特に興味深い唇の動作が「つむぐ」動きです。私たちは困った時、唇をつむぎます。その理由として、私は皮膚の皮脂を唇に移す動作だと考えています。ストレスを抱えると交感神経が活発になり、汗腺の分泌が抑制され、肌と唇は乾燥します。唇は特に汗腺が少ないため、周辺の皮膚から皮脂を補給しなければなりません。そのため唇をそっとつむぎます。それを見た男性は、口で語られるよりも切実にストレスを受信し、ふらふらと近寄ってきます。

メロメロになるのは潜在的な恐怖心から

キスで男は溶けていると私が感じてしまうのには理由があります。カマキリのメスは交尾中にオスを食べることがあります。チョウチンアンコウのオスは交尾中にメスの体内に同化して溶け込んでいきます。アオミドロはオスの細胞の中身がメスの細胞の中に吸い込まれてしまいます。これは一見、卵子に精子が取り込まれるイメージに近いですが、アオミドロの場合は減数分裂せずに体細胞のままメス細胞に取り込まれてしまいます。見方によってはアオミドロが最も衝撃的で、オスは中身を吸い取られて抜け殻だけになってしまいます。

これらの衝撃的な交尾様式はまるで「メスがオスを溶かして取り込んでいる」ように見えます。メスはオスに接近し、溶かし、体内に取り込んでいる。そしてその取り込むプロセスは「接触(キス)から始まっている」。キスでオスは溶かされ、吸い取られている。キスのイメージがかなり変わってきます。かなりおそろしい。

唇にとかされて吸収されている博士

以上を眺めていくうちに、だんだん、キスで男は溶けている、と正しく理解できるようになりました。メロメロになるという表現も妙に納得できます。

今回のまとめ

唇を舐めたり、つむいだりすると、男性はふらふらと近寄ってきます。
操作には生物学的な目的意識が不可欠です。唇の攻撃力を正しく理解し、操作してすることで、男性を溶かして取り込みましょう。

しかし、そう考えると「賢者タイム」もイメージがだいぶ変わってきます。上のようなオスが溶けてしまうイメージに照らし合わせると、女性の目の前に横たわっているのは、女性が取り込んだ後の抜け殻です。賢者とは程遠い、抜け殻タイム。補充しますのでしばらくお待ちください、という方が正しい表現です。

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工学博士/1972年生まれ。九州工業大学卒。FILTOM研究所長。FLOWRATE代表。2007年、ものづくり日本大賞内閣総理大臣賞受賞。2009年、PD膜分離技術開発に参画。2014年、北九州学術研究都市にてFILTOM設立。2018年、常温常圧海水淡水化技術開発のためFLOWRATE.org設立。
イラストレーター・エディター。新潟県生まれ。緩いイラストと「プロの初心者」をモットーに記事を書くライターも。情緒的でありつつ詳細な旅ブログが口コミで広がり、カナダ観光局オーロラ王国ブロガー観光大使、チェコ親善アンバサダー2018を務める。神社検定3級、日本酒ナビゲーター、日本旅のペンクラブ会員。
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