コロナ自粛中の婚活、お見合い、どうする?婚活アドバイザーに聞く、今できること
外出できない時間、自分を見つめ直す
震災で増えた結婚。危機の時こそ自分の人生観を考えよう
――新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、緊急事態宣言が出されました。筆者も含めた“婚活世代”にとって、厳しい状況が続いています。
植草美幸さん(以下、植草):新型コロナが流行るなか、「婚活しづらい」と考えている人もいるかもしれません。でも、私はむしろ自分の人生観を見直し、結婚を真剣に考えるチャンスだと思います。
――チャンスとは?
植草:9年前に東日本大震災があったときに、「震災婚」と言われるほど結婚が増えたことをご存じでしょうか。震災の後、テレビでは津波やがれきの映像が流れ、日本全体が暗いムードに包まれました。先行きが見通せず、ぼんやりと「死」というものを意識する人が増えたんですね。それによって、「自分はこのまま1人で生きていくのか」「結婚せずに死ぬんだろうか」と考える人が増えたためだと思います。
自分の人生や家族について考え直す時間ができて、これまで結婚について考えてこなかった人が真剣に考え始めた結果、結婚する人が増えたのです。
――そのときといま、状況が似ている?
植草:感染症の流行と震災とでは起きている事象が違いますが、世の中に暗いムードが漂っているという点では同じです。特に震災と違うのは、外出を控えているため普段より1人でいる時間が増えていることです。自分の人生について考える時間ができるため、1人でいることに不安を感じ、自分がどう生きたいのか真剣に考える人が増えます。実際に私が代表取締役を務めている結婚相談所では、コロナの問題が大きくなるにつれ、新規登録者数が増えました。
自分がどう生きていきたいかを考えるうえで、「結婚」というものが必要だと思うのならば、コロナ流行によるいまの状況は自分を見つめ直すチャンスとも捉えられるかもしれません。
婚活はオンラインでできる
すぐに会えないから、遊び目的の男性が減る
――とはいえ、緊急事態宣言が出ているいま、デートしたりお見合いしたりといったリアルに会う婚活はできなくなりました。それでもできることはあるのでしょうか。
植草:たしかに、リアルで顔を合わせて会うということは難しいかもしれません。でも、いまの時代はオンラインで出会うことも、コミュニケーションを取ることもできます。相手探しをしている人は、独身証明書の提出義務があるアプリや結婚相談所など、信頼できる婚活ツールは積極的に活用していくべきです。すでに出会っている相手がいる人も、電話やメッセージ、ビデオ通話などを使ってコミュニケーションを取るのが良いと思います。
この状況のなか、婚活の場には真剣に結婚したい人だけが残り、遊び目的の人が減るのではないかと私は考えています。リアルですぐに会うことができないので、体目的の男性が減るかもしれませんし、独身のふりをした既婚者も自宅からのビデオ通話はできないでしょう。会話だけのコミュニケーションというのはとても大事ですが、本気度が低い人にとっては面倒です。ですから、本気度が高い人が残るのではないかと思います。
会えないからこそ、相手をよく知ることができる
ビデオ通話で会話重ね成婚したケースも
――たしかに、いまはオンラインでのコミュニケーションに頼らざるを得ません。物理的に会えない状況でも、お互いをよく知ることは可能なのでしょうか。
植草:実際に私の結婚相談所では、コロナが流行ってから成婚に至ったケースもありました。研究職の男性(35)と会社員の女性(30)です。この2人はコロナの問題が大きくなる前、実際に会えたのは2回だけ。国内でコロナへの危機感が広がるなか、男性は子持ちの同僚のフォローにまわるため忙しくなり、女性に状況を伝えました。女性側は「この状況だから会えないのは仕方ないし、仕事を頑張ってくださいね」と応じたそうです。そんなわけで知り合ってから1カ月間、実際に会うことはできなかったのですが、ビデオ通話アプリで会話を重ねてお互いを知っていきました。子育て中の同僚をフォローする男性の仕事への向き合い方や、「会いたい」とわがままを押しつけない女性の気遣いなど、普段は見えない人となりが見えて、互いに惹かれていったそうです。
――会えない時間をお互いを知ることに使ったのですね。
植草:会えないことをネガティブに捉える必要はありません。電話やビデオ通話では、ディズニーランドや映画館に行くのとは違い、会話することがメインになります。だから電話の向こうの相手に向き合い、重厚なキャッチボールができる。そして仕事のこと、家族のこと、生き方のことをじっくりと話すことができます。そこにごまかしはきかず、普段よりも相手の考えを深く知ることができるのです。
人への接し方、物事の捉え方も浮き彫りになる
――会話の相性がもろに出そうです。
植草:会話の内容のみならず、例えば、こんな時でもメッセージで体調を気遣うなどの思いやりがあるのか、それとも自分のことで余裕がなくなってしまうのか。非常事態のときに、相手があなたに対してどのように接してくるかということが、わかります。
物事への考え方やとらえ方も同様です。例えば「この状況だからしばらくは会うのを控えましょう」と伝えて、相手が納得しないなら、もともとあなたとは考えが合わないということです。逆に相手から「会えない」と言われて「ご縁がなかった」とあなたが考えるなら、それも同じ。非日常の状況でこそ人間性が浮き彫りになりやすいのです。
――非常事態の今だからこそ、分かることがあるのですね。
植草:逆に考えると、本当に合う相手を探せる良い機会です。オンライン上でやりとりを続けていて、お互いに「良いな」と思っていれば、コロナが落ち着いて会えたとき、「やっと会えたね」と感動しますよね。会えない時間にお互いをよく知り、恋をしている分、会えたときの喜びはひとしおです。そうなればすぐに結婚が決まるのではないでしょうか。
コロナが流行っているからといって婚活ができないということはありません。常に思いやりを持ちながら相手を知っていくということは同じ。悲観せずに自分のペースで相手を探せばよいのではないでしょうか。
●植草美幸さんプロフィール
結婚相談所マリーミー代表取締役
1995年にアパレル業界に特化した人材派遣会社エムエスピー設立。2009年、結婚相談所マリーミー設立。自ら婚活している男女にアドバイスし、成婚に導いている。セミナーの開催、テレビやラジオも多数出演。著書に『なぜか9割の女性が知らない婚活のオキテ』『男の婚活は会話が8割「また会いたい」にはワケがある!』『モテ理論』など。