「年間120試合プロ野球観戦」40代バリキャリ女子が“あえて結婚しない”理由
●AK (あえて結婚しない)女子・男子 #01
50歳までに一度も結婚したことがない人の割合を表す「生涯未婚率」。最新の国勢調査(2015)では男性は23.4%、女性は14.1%に達しました。
女性の平均初婚年齢も29.4歳と、過去20年間で3歳も上昇するなか、注目を集めているのが、あえて(A)結婚しない(K)生活を選択する人たちです。関西の大手企業でライフライン系営業職に就く、三島幸子さん(40代、仮名)もその一人。
結婚に関して「30歳であきらめモードになった」と語る彼女ですが、とある趣味を持ったことで楽しく過ごしているそうです。
プロ野球、年間120試合する40代女性
「30歳を過ぎたら結婚は無理かと思っていました。周りの友達たちは両極端で、就職してすぐに結婚する子がいた一方で、私たちみたいに売れ残っている子も多いです。『定年すぎてお互い独身だったら一緒に住もうね~』なんて言っていた仲のいい友達も、ついこの前、結婚しましたからね(笑)」
コロナをきっかけに自宅待機の時間が増え、孤独をより感じている人も多い昨今。ただ、三島さんはコロナの影響で悲しんでいることがあるといいます。それはプロ野球の開幕延期。なんと、彼女は年間120試合を観戦したこともある大のプロ野球ファンなのです。
「生まれが関西なので、幼少期からミナミの繁華街にあった大阪球場(現在は解体)や、甲子園球場に連れて行ってもらってましたね。阪神ファンというより、アンチ巨人で。父の影響ですね(笑)。数年前から甲子園と東京ドームの年間観戦シートを持っているんですが、今年はコロナの影響でなかなか試合に行けなくて寂しいですね」
父親の影響。野球に囲まれて育った幼少期
幼い頃から野球に囲まれて育った三島さん。しかし、中学時代は「男子しかマネージャーになれない」という理由で野球部に入れず、いきなりつまづいてしまいます。
それでも、ようやく高校で野球部マネージャーに就任すると、チームのベスト16進出に貢献。都内某名門私立大に進学してからも東京六大学野球を神宮球場で観戦していたそうです。
大学卒業後は、本人が「景気が悪い時期ではなかったから、当初から行きたいところに行けました」と語るように関西の大手企業に総合職で入社。再び野球漬けの日々が始まるかと思いきや、「あの頃は遊ぶことに夢中だった」と語ります。
「若手社員だった25歳のときは飲み会やテニス、スキー、ゴルフに毎日連れ歩かれて、みんなおごってくれるし、結婚して落ち着きたいと思わなかったです。だから当時プロポーズされたのに断ってるんです。それがヤバいと思ったのは29歳のときで、急に男性の結婚対象から外れた気がして。彼らにとって一番付き合いたいと思うのが25~26歳で、27歳を過ぎると、急に声がかからなくなるんです」
結婚しないことに友人、家族の反応は
結婚しない三島さんに対して、周りの人たちはどう思っているのでしょうか。そう聞くと「会社は独身の人が少ないので、肩身狭い部分はあります」と素直な答えが返ってきました。
「でも、私が好きなB'zやラルク、韓流アーティストのコンサートに行くと、『一生結婚したくない』って決めている趣味友達も多いですよ。だから結婚しないと絶対アカンとは思えないですし、結婚=幸せっみたいな考えはないですね。それなりに貯金もあって、自由に使えるのになんで結婚しないとアカンねんって。それこそ女性の阪神ファンなんて結婚してない人、いっぱいいますよ。みんな追っかけで忙しいんでしょうね」
では、最も身近な存在である家族はどう感じているのでしょうか。
「私一人だけ独身だったら、あれこれ言われていたと思います。ただ、親戚にも結婚していない女性が何人かいるので、たまに『がっかりした』みたいに言われたことはありますが、そこまでうるさくは言われませんね。私、幼い頃に母親を亡くして、父親はいましたが、基本おばあちゃんの家で育てられたんです。だから就職も地元に帰ってたし、家族を安心させるため仕事も続けてきました。タイミングがあれば結婚していたのですが、たまたまチャンスがなかったとしか言えないですね」
6月からは仕事・野球観戦を再開
三島さんのなかではライブ・野球観戦、それに仕事の比重が大きいようです。
「取引先との飲み会も多いですし、理不尽なクレームを言われることもあるので、営業職はしんどい仕事だと思いますよ。ただその分やりがいはありますし、今年はコロナの影響でボーナスも下がると思うので、頑張らないとアカンですね。コロナで外回り営業も控えているんで今はメールや電話で済ませています。5月は営業の仕事はほとんどしませんでしたが、6月からは徐々に再開すると思います」
そんなバリキャリ女子として働く三島さん。6月19日からは待ち望んでいたプロ野球も開幕する予定。平日は甲子園に行き、土日も地方開催の試合に”遠征”する生活が始まるそうです。
「今でも年間50試合くらいは球場で観戦します。もちろん家族で野球を見に行ったら楽しいと思いますけど、女友達を連れたり、1人で観に行っても楽しいですからね。30代の頃は年間120試合くらい見に行っていました。当時2003年前後は、桧山(進次郎)さん、矢野(燿大)さん、赤星(憲広)さんを熱心に応援していましたね。特に赤星さんはバンバン盗塁を決める姿にキャー!ってなってました」
好きな選手は赤星→坂本選手に
彼女によれば「もちろん今でも阪神が好きですが、男性は球団を好きになり、女性は選手個人のファンになる人が多いんです」とのことです。赤星選手引退後は、なんと読売ジャイアンツの坂本勇人選手を応援しているそうです。ライバルチームのキャプテンなのになぜ?
「ほら、坂本選手ってもともと関西出身で阪神ファンだったじゃないですか。それに、応援するといっても巨人の試合を見に行くというより、WBCやプレミア12などの国際大会をメインに応援しています。2019年のプレミア12も、過去WBCの大会も国内の試合は全部見ています。それもあって今は試合前の練習時間に、坂本選手のほうから手を振ってもらえることもありました」
実はこのインタビュー取材後、坂本選手が「コロナウイルス陽性」と報道があり(のちにPCR検査で陰性が判明)三島さんからは絶叫の絵文字とともにネットニュースのリンクが送られてきました。
阪神の名監督に抱っこされた記憶
そんな三島さんにとって特に印象深かった試合が、阪神がリーグ優勝を決めた2003年(星野仙一監督)、2005年(岡田彰布監督)の試合。どちらも現地で見ていたそうです。
「2005年のリーグ優勝した対巨人戦は熱気が球場の外まで伝わってて。私は年間予約シートを譲ってもらっていたので、そこで観戦していましたが、電車に乗るときに私服警官に呼び止められて『終わった後にどこかで騒ぐんですか?道頓堀川とか?』と聞かれたんです。そんなわけないじゃないですか、って答えたのを覚えています。2003年のときに大騒ぎになって、警察もピリピリしてるんやなぁって(笑)」
幼稚園のときに阪神球団が主宰するクリスマスパーティに連れて行かれた三島さんは、あの藤田平(元監督、阪神生え抜き選手として初の名球会入りを果たした名選手)に抱っこしてもらったそうです。四十余年独身でも、野球とそこで得た友人や思い出こそが彼女の財産なのかもしれません。
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