男に頼られがちな彼女は33歳で「AK(あえて婚活しない)女子」を選んだ

今春、放送されたTVドラマ「東京独身男子」では、AK(あえて結婚しない)男子たちの生活が描かれましたが、女性でも婚活、結婚より自分らしい生き方を優先する「AK女子」が当然、存在します。現在、東京と仙台を行き来しながらリモートでライターや編集の仕事をしているAさん(34歳)は過去2度のプロポーズを断り、現在も婚活はしていません。シングルライフのさなかに見出した答えとは何だったのでしょう。詳しく聞いてみました。

早すぎたプロポーズ

小学校高学年まで欧米に住んでいた帰国子女のAさん。就活中、グローバルな視点で物事を分析する傾向にある自分に気づいたそうです。

「10以上の企業を落ちまくっていたら、あるベンチャー企業の社長から『新卒の大学生というより、まるでコンサルと話しているようだ』と言われました。それがきっかけで志望業種をコンサル企業にシフトすると、やっと採用されたんです」

Aさんが最初に配属されたのは教育関係の部署。3年後、25歳の時に、交際していた2歳年上の同期入社の男性からプロポーズされたそうです。

「当時は結婚など、考えられなかった。相手も『とにかく結婚したい』という時期だったので、お互いに納得して別れました」

その後、男性は転職して海外へ。Aさんも翌年退職して、外資系会社のコンサル会社に移りました。ところが給料がアップしなかったため、2年後には転職エージェント会社に転職。新サイトの立ち上げに関わるようになります。

「27歳ぐらいから結婚願望が生じて、毎週のように合コンをやっていました。あらゆる職種の男性と出会うチャンスに恵まれましたね」

ところが、シェアハウスを運営する不動産業者の社員と出会ったことをきっかけに、毎週のようにシェアハウスに遊びに行くようになりました。するとこれまでの出会いが表面的だったことがわかり、シェアハウスでの交流が合コンよりも楽しくなったといいます。

「名の知れた大企業や大手マスコミ、勢いのあるベンチャーなど、世の中を動かすほどの力がある企業で働く人たちは、みんな生き生きとしていた。そうした人たちとの交流は、自分にとって大いに刺激になりました」

「甘えたい願望」を持った男性たち

彼らとの交友関係が楽し過ぎたこともあって、婚活はそっちのけに。30歳を過ぎても特に結婚に焦ることがなかったAさんでしたが、31歳の時に2度目のプロポーズを受けました。

「2歳年下のバツイチ男性から、交際1カ月後にプロポーズされました。そろそろ結婚の時期かなと思う一方で、すぐに答えを出すのは危険ではないかという思いから少し踏みとどまって観察したら、相手の不安定な性格に気づきました」

結局、プロポーズは断りましたが、その後交際したのも、「甘えたい願望」を持った男性ばかりだったそうです。

「2歳上のベンチャー企業の社長は、年収2000万円でアルマーニ好き。私に母親を求めてきたので『結婚したら面倒くさそう』と思っていました。お金の価値観が違うし、一緒に生活できないと思い、別れました。その後つき合った43歳・独身で個人事業主の男性は、私以外に少なくとも4人以上と同時につき合っていることが途中でわかって、しかも半分以上が人妻だった。もちろん、ウソがわかった時点で関係は終わりです」

“しっかり者”と男性から頼られてしまう傾向のあるAさん。こうしてため息だらけの出会いが続きましたが、やがて大きな転機を迎えます。33歳で退職して独立。コンサルの経験を活かして、ライターや編集の仕事に就くと、縁があって仙台に移住。東京と仙台を行き来するライフスタイルを選びました。

その頃、自分の年齢では有望株の男性たちが既に「婚活市場」から姿を消していることを思い知ったAさんは、「あえて婚活しない」(AK)という結論を出したといいます。

「年上でも年下でも、既婚でも独身でも、肉体関係がなくても、女性に優しい男性と一緒にご飯を食べておしゃべりするとほっとします。家族ではないけど、家族と同じように大切にしてくれる人がいるので、あえて結婚しなくてもいいかなという気になりました。SNSのおかげで弱音を発信してもすぐにコメントで慰めてもらえるのでそれほど寂しくないですし、逆に、結婚してママになった友人たち同士の妬み合いなどをSNSでキャッチするとやるせなくて、結婚しなくて良かった、と思うこともあります」

AK決断も、残る「淡い期待」

現在は特定の相手がいないものの、「仕事を通じて、社会に貢献していきたい」という答えを見出したAさんは、実に生き生きとした口調でした。

一般に「結婚して家庭を持ちたい」という目的で婚活にいそしむ女性たちは、33歳を過ぎると、一つのピークが過ぎ去ったと感じることが多いようです。また、この頃からスキルも上がって仕事にこれまで以上のやりがいを感じることも増え、婚活がおっくうになりがち。すると次第に「結婚したい」から「私らしさ」を追求するようになり、自分の居場所が結婚だけではないと気づきます。

そんな中、ある日、雷に打たれたようにハっとなって「結婚だけが全てではない」と「AK女子」の道を選ぶ人もいれば、Aさんのように複数の男性との交際を経ても結婚に縁がなかったことで、「今はおひとりさまでもいい」と、開き直ったような心境になる例も少なくないようです。

でも一方で、「AK」を自称しながら、心の片隅には「チャンスがあれば」と、結婚に対する淡い期待もあるのです。Aさんも次のように打ち明けます。

「もし結婚するのなら、収入は私と同じか少し少なくても、とにかく寛容で優しい男性か、優秀でバリバリ稼いでくれて、頼りになる男性がいいですね」

真逆な2つのタイプを挙げるところに、先が見えない不安定な時代に対応しようとする無意識なしたたかさが滲んでいるように感じました。

コラムニスト、小説家、ライター。2万人以上のワーキングウーマンの恋愛や婚活、結婚をテーマに取材執筆。週刊朝日「同窓会恋愛」「離婚しない女たち」等。ブログ「恋するブログ☆~恋、のような気分で♪」 07年10万人に一人の難病を克服。
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