AK (あえて結婚しない)女子・男子

年上彼氏と交際12年も「自分の子どもを持つことは考えられない」30代女性が“あえて結婚しない”ワケ

結婚観や人生観が変化したことに伴い、あえて結婚しない生活を選択したAK男子・AK女子と呼ばれる人たちが増えてきています。これまで本連載では「結婚したくない」と考える未婚の男女の話を紹介してきました。今回お話をうかがったのは、美術大学を卒業し、絵画修復のアルバイトを続ける30代女性。12年交際を続ける男性とあえて結婚しない理由とは?

●AK (あえて結婚しない)女子・男子 #04

高橋一生さん主演で『東京独身貴族』としてドラマ化され、話題になった「あえて結婚しない男(=AK男子)」。結婚よりもお金と時間の自由を優先するのは男子だけでなく、「AK女子」も増え始めています。

「仕事をもっとバリバリ続けたい」「家事や育児にとらわれたくない」など、彼女たちがあえて結婚をしない理由はさまざまです。今回話を聞いたのは、そんなAK女子の土屋由美子さん(仮名・32歳)。

関ジャニ村上君似の美大生・彼氏

「これまでに付き合ったのは6人。中学時代に3人、高校時代は3人。全員告白されたけど、どれも1年くらいでフラれる短い恋でした。そんななか、19歳のときに初めて自分から告白して付き合い始めた人が、今の彼氏です」

土屋さんの彼氏Aさんは、現在は私立高校で週3日間の美術専任講師をしつつ創作活動にいそしんでいます。土屋さんと出会った当時は26歳。日本随一の実力を誇る美大に通いながら、美術予備校で講師のアルバイトをしていました。土屋さんはその美術予備校に通う浪人生だったそうです。

「Aさんは絵もうまいし、教え方も上手でした。体型もシュッとしているし、顔も関ジャニ∞の村上(信五)君似でかっこいい。当然、生徒たちからも人気がありました(笑)。おそらく女子生徒の半分は好きだったと思いますが、私が抜け駆けで告白してしまったんです」

ちなみに告白の言葉は「美大に合格したら返事ください」。けれどAさんからは、合格結果を待たずにOKの返事。晴れて交際をスタートします。

今回お話を聞いたAK女子の土屋由美子さん(仮名)

交際12年でも結婚の話題にならないワケ

そうして順調に交際スタートした2人ですが、お互い大学を卒業し、12年経った今でも結婚の話が出てくることがないそうです。しかし、土屋さんは焦るどころか、「名字を変えるのが面倒くさい」などと結婚する気がない様子。

「私の周囲を見ていると、子どもがほしいか、結婚式がしたいか、どっちかの理由で結婚していますね。私は、子どもは好きですが、自分の子どもを持つことは考えられないし、健康に生まれてくるか、まっとうに育つかどうかも不安だし、結婚式に憧れもないんです。それに妹もいるので、一族の血のつながりは彼女が継いでくれるといいなと思っています。両親や親戚からの早く結婚してほしいというプレッシャーもないですね」

そう語る土屋さんですが、恋人Aさんとの関係はどうなっているのでしょうか。聞けば、新型コロナウイルスの影響もあってか、2020年は「初詣」で一度会ったきりだそうです。

「2人とも実家暮らしで、電車だと1時間くらいの近さ。いつでも会えると思っていたら、今年は1度も会えていないです。本当は3月に展示を見に行こうとしていたのですが、直後に緊急事態宣言が出てしまった。仕方ないので、最低限しか外出せずに、お互いの創作活動を優先させようということになっています」

結婚をしたくないのはお金も原因

新型コロナでデートもできなくなってしまい、今ではLINEを3日に1回程度するだといいます。そんな希薄な関係だと、老婆心ながら自然消滅しそうな気がしてしまいます。ところが、土屋さんはこれをきっぱり否定。

「自然消滅はないとは思います。たまに私から『私のこと嫌いじゃないよね』と確認することもありますが、基本は何の問題もありません(笑)。それに私はAさんのことを画家として尊敬しています。今年38歳で、ものすごい売れっ子ではないけれど、コレクターもちょっとずつ増えて、絵をやめずに描き続けられている。その姿がスゴいですし、刺激にもなります」

もちろん、2人が結婚に踏み切らないのは別の理由もあります。土屋さんは絵画修復のアルバイト、Aさんは高校の美術講師と、決して収入が多いほうではありません。もちろん自分のやりたいことを生かした職に就いてはいますが、現実は厳しいようです。

「もしAさんから『結婚をしよう』と言われたら、一緒に住むところを探さなければいけない。2人ともそこまで生活に余裕があるわけではないですから。もし結婚して実家から出ることになったら、引っ越しや新生活の初期費用をどちらが出すかで揉めそうですね」

母親が新興宗教にハマって「人付き合いが苦手」に

それだけでなく、結婚をしたくない理由は生い立ちに関係があるようです。それは「結婚して親戚を増やしたくない」ということ。

「実は、母親が新興宗教の信者なんです。私も幼少期、会合に連れて行かれて、敷地内にある滝で修行させられました。母親からは『教祖が地面に手をかざしたら水が湧いた』『崖から落ちた人を救った』みたいな奇跡体験も聞かされていましたが、子どもながらに、嘘くさいと思っていて。中学生になって、部活を理由にして、避けていたら誘われなくなりました」

母親の勧誘活動は当然、ほかの家族にも。なかでも妹は、信者になって「同じく信者の、どう見ても40歳以上のおじさんと付き合っている」(土屋さん)そうです。また父親は、表面上、夫婦仲良さそうに振る舞っていますが、実際のところは「お互い何も関心がない」と、土屋さんは厳しく分析します。

「新年会やお葬式があると、母親がそれぞれの親戚を熱心に勧誘していたんです。それが原因で肩身の狭い思いをしました。当然、私が結婚したらAさんの親戚に勧誘がおよぶでしょう。それが怖いんです。それに親戚が増えるのも嫌で、葬式でお酌をしてまわったり、ずっと会っていない叔父さんになれなれく話しかけられたりするのも苦手でしたね」

デート時の土屋さんと恋人Aさん(※画像は一部加工)

今の生きがいは「推しのライブ」遠征

土屋さんに現時点での目標や楽しみはないのでしょうか。そう聞くと「“推し”のライブを見ることです」と答えてくれました。

「今、とあるロックバンドのファンクラブに入っていてるんです。特にドラマーのファンで、彼がやっている別のバンドのライブにも行っています。2019年は合計で15公演を見に行きましたね。基本は関東でのライブだけですが、あるときは奈良にも遠征しました。1年間で30万円かかるんですけど、まずはその活動でストレス解消していますね」

インタビューの最後に「絵はずっと描いていきたいです。いずれは地方でもいいので美術館に収蔵されたいですね」と語ってくれた土屋さん。お互いの仕事を尊敬できる関係は、あえて結婚をしなくても、素敵な関係だと感じました。

1990年群馬県生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業後、扶桑社に入社。雑誌「週刊SPA!」の編集を経て「bizSPA!フレッシュ」編集長に。
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