AK (あえて結婚しない)女子・男子

年収3000万円の外資系金融マンがW不倫の果てに"もうあえて結婚しない"と決心したワケ

結婚観や人生観が変化したことに伴い、あえて結婚しない生活を選択したAK男子・Ak女子と呼ばれる人たちが増えてきています。これまで本連載では「結婚したくない」と考える未婚の男女の話を紹介してきました。しかし、一度は"生涯の伴侶”を見つけたものの、予想外の出来事に遭遇し、「もう一生結婚しなくていい」と心変わりした人もいるようです。

●AK (あえて結婚しない)女子・男子 #03

今回、話を聞いたのは2018年に入籍し、つい2019年に結婚式を挙げたばかりの栗原武一さん(仮名・33歳)。外資系金融機関で働き、年収は数千万円。誰もがうらやむハイスペックな彼に何が起こったのでしょうか。

 

前職でスカウトされ、外資系金融マンに

「今の仕事は外資系金融機関で、個人投資家の方を対象に、資産運用に関する営業を行っています。2年半前に転職して、ここは3社目。新卒で広告代理店に入ったのですが、水が合わず、すぐに日系コンサルに転職しました。当時は一心不乱に働いていましたが、実家が母子家庭だったため、いずれは地元でも働けるようになりたいと考えていました。そんな折、取引先から『君は営業に向いているよ』とスカウトされました。その人が今の上司です(笑)」

社交的で、自己管理能力の高さを評価されたという栗原さん。転職先の外資系金融機関では自らの営業成績に応じて年収が決まることもあり、入社当初は顧客確保に苦労したそうです。しかし、すぐに頭角を現していきます。

「ファイナンシャルプランナーの資格を持っていたので、資産運用に興味がある方々に向けた講演を月1回のペースで行っているんです。今のお客様の多くは、そこから紹介で広がっていきました。営業評価も徐々に上がっていき、今年は年収3000万円です。ただ入社直後は寝る間を惜しんで働きました。今は地元のお客様を増やすようにして、定期的に母親に会うようにしています」

父親を早くに亡くし、女手ひとつで育てられた栗原さん。出張を兼ねて帰省することが多かったといいます。しかし、その帰省先で、とんでもない事態が発生します。きっかけは1本の電話でした。

AK男子になる決心をした栗原さん(仮名)

妻から電話で「ダブル不倫」を告げられる

「1カ月前、出張先に妻から電話がかかってきて、『実は、不倫をしていた』と告げられました。しかも相手も既婚者というダブル不倫。私自身は全く気づかず、寝耳に水でした。妻の職場に浮気相手と、その妻が乗り込んできたらしく、電話口から動揺している様子が伝わってきました。私も本来1週間滞在の仕事を切り上げて、すぐ東京に戻りました」

後日行われた聞き取り調査によると、出会いは妻が内緒でアルバイトをしていたキャバクラ。そこに不倫相手が客として訪れたそうです。不倫期間は1年半にも及びましたが、不倫相手の妻がワイシャツについていた口紅を発見し、バレたそうです。

「なんか漫画みたいなベタな状況ですよね。おまけに、実は今の家に今年の3月に引っ越したのですが、すぐ隣の駅が浮気相手の最寄りなんです(苦笑)。しかも今の物件を僕に勧めてきたのは、妻。どう考えても浮気相手に会うためだし、私がいないスキに、何度も家で会っていたそうです……」

妻と不倫相手が逢瀬を重ねていた自宅からの夜景「今はこの景色も切ない」という

不倫の精神的ショックで不眠症に

栗原さんは7年間の交際を経て入籍。「お互いどんな性格か知っていたので、浮気も遊びでバレなければOK」と思っていたそうです。

「今は妻と離婚協議中です。もともと眠りが浅いのですが、不倫発覚後は精神的にやられて、特に不眠が悪化しました。ベッドに入っても眠れず4~5時間起きていたこともあります。体力も結構落ちて、1カ月くらいは仕事も無気力状態でした」

そんな栗原さんですが、妻の行動に不振な点はなかったのでしょうか。ちょっと聞きづらいですが、本人にぶつけてみると――。

「入籍後にアクセサリー代や飲み代に浪費した借金が100万円近くあるとわかったときは衝撃的でしたね。おまけに結婚式のとき、私に何も言わず貯金を使い込んでいました。結局、挙式費用は700万円ほどかかったのですが、妻はそのうち百数万円を使っていて、結局足りなくなって結婚ローンを組む羽目になりました。それで私が『貯金を使い込むなら家計を管理させてほしい』と言うと、『モラハラだ!』と反論してくるんです」

 

2年間のセックスレス状態になった

さらに結婚生活に関して、栗原さんには「正直妻が浮気した原因はこれかもしれません」という、別のトラウマがあるそうです。

「実は2年間ほどセックスレスなんです。それは私が妻としたくないからで、理由は以前性病をうつされたからです。カンジタ膣炎といって、妻が性行為でなったのか、もとから持っていたのかはわかりません。ただ、感染後に私の股間はピリピリとむずがゆくなり、膿まで出る。仕事で忙しい時期だったので、今でもトラウマになっています」

なんとも悲しい事実……。

ただし、そんな状況下でも、栗原さんは離婚の手続きを進めなくてはなりません。「妻は憔悴しきって実家に帰省中ですが、反省して復縁を望んでいるそうです。とはいえ、こちらにその意志はないので、離婚調停裁判になるかもしれません。先日、離婚届を書いて郵送しましたが、まだ返事はきていません」と語ります。

栗原さん宛に妻から謝罪のLINEが今も届くという(画像は一部加工)

不倫相手に1000万円請求。その理由は……。

妻にはそこまで多額の慰謝料を請求するつもりはないという栗原さんですが、一方、妻の不倫相手には強い姿勢で臨むそうといいます。

「不倫相手の男性は弁護士でした。不倫の慰謝料の相場って示談でも最大300万円、裁判だと150万円です。ただ弁護士が不倫した場合、もし裁判を起こされると、これからの仕事に甚大な悪影響を与えるため、高額な慰謝料にも応じるケースがあるそうなんです。たしかに裁判官の心象は最悪ですからね。私はどうしても許せないので1000万円請求する予定です」

栗原さんがここまで憤っている理由は、不倫相手の妻の話を聞いたことによるのだとか。

「実は不倫相手の妻はかつて不妊治療をして身ごもった子どもを流産して亡くしているそうなんです。しかもまたお子さんを妊娠した状態で、今回の不倫が発覚してしまった。それに妻が加担していたこともショックですが、先方の夫は本当に許せないです。当初は自力で裁判を起こそうと思いましたが、会社の先輩の知り合いの弁護士にお願いしています」

 

理想は事実婚。結婚しても「得はない」

現在、離婚調停中の栗原さん、いずれは別の相手と結婚するつもりはないのでしょうか。

「はい、今のところ結婚するつもりはありません。いいことがなかったですからね(苦笑)。もともと物事を損得で考えるのが好きなのですが、結婚するメリットが、子どもができたときに迷惑をかけないくらいしか思いつかないんです。だから理想は事実婚ですかね。近々ソーシャルレジデンスといって、高級なシェアハウスに引っ越す予定です。シアタールームやカフェ、ジムがあって、入居者同士が交流して高めあえる作りになっている。そこに住んでいたらますます結婚は遠のくでしょうね(笑)」

結婚2年目のダブル不倫という悲劇に見舞われた栗原さんでしたが、その目はすでに前を向いています。「身内には、全部落ち着くまで、まだ何も言っていない」新しい生活を報告できる日もそう遠くはないでしょう。

1990年群馬県生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業後、扶桑社に入社。雑誌「週刊SPA!」の編集を経て「bizSPA!フレッシュ」編集長に。
AK (あえて結婚しない)女子・男子