telling, Diary ―私たちの心の中。

金銭感覚が合わない人、周りにいますか?お金の使い方で恋が終わった話

telling,世代のライター、クリエイターたちが日々の思いや本音を綴る「telling, Diary」。今回は会社員のかたわらライターとしての活動を始めた神山園子さんの話。恋愛における「金銭感覚」について、実体験を元に綴ってもらいました。

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「金銭感覚が合わない人はお付き合いに適さない」というのはよく言われます。でもそれってほとんどは「浪費家とは付き合うな」という意味で使われている気がします。筆者は最近の出来事を通して、恋愛で大切な金銭感覚とは「何にお金をかけるか」なのではないかと思うようになりました。

900円のクラフトビールは高い?

恋愛に発展しそうな男性との初デート。互いにお酒が好きだということで、クラフトビールを飲みに行こうという話になりました。

お店を調べていると週替わりで色んな種類のクラフトビールが飲めるという素敵なお店を見つけ、「ここなんてどう?」と口コミサイトを見せたところ「結構いい値段するね」と言われたのです。えっ……と思ってメニューを見ると、1パイント(約500mm)で900円。

結局その店は候補から外れ、1杯600円ほどのお店に落ち着いたのですが、私の中に「いい値段するね」へのモヤモヤは残ったのでした。

たしかに、居酒屋で生ビール1杯900円と言われたら高いなと思います。でもクラフトビールにはその醸造所なりのこだわりとか、大量に作れないからこその価格設定とかがあると思うのです。そういう背景を考えず「いい値段」と切って捨てた彼に「あ、この人とは合わないかも」と感じました。

決定的だった「メルカリで探す」

モヤモヤを感じたまま2度目のデートで本屋に行った時のこと。あれこれと本を立ち読みし、「これが欲しい」となった彼に購入を勧めたところ、「メルカリで中古を探す」との回答が。その瞬間、かろうじて保っていた彼への熱がサッーっと冷めるのを感じました。私が本に関わる仕事をしているというのも大いにありましたが、「コンテンツに対して定価のお金を払う」という感覚がない人と今後うまくやっていけるわけがありません。

でも彼にとって本は当たり前のように中古で買うものだったのでしょう。色んな価値観の違いをそこで感じてしまい、お付き合いを辞めることにしました。

旅行先で名物を食べない

つい先日、社員旅行があったのですが、そこでソフトクリームが有名な牧場へ立ち寄りました。みんなが並んでソフトクリームを買うなか、ある社員だけは列に並ばず立っていたので「甘いもの嫌いなんですか?」と聞くと、大好きだと言います。訳を聞くと、600円で売られていた牧場のソフトクリームは高いから買わないとのこと。その後、サービスエリアで130円のバニラモナカを買っていました。

たしかに、600円のソフトクリームは高いのかもしれません。そりゃコンビニで売っていたら「高いな」と思います。でも、観光地で名物と言われているものは多少は割高になっていても「そういうもの」ではないでしょうか。わかっていながら購入して楽しむのも旅行の醍醐味だと思うのです。そこでコスパを追求しては何も楽しめなくなってしまいます。

使う額の大小ではなく、使いどころ

両者に共通するのは、「そこでしかできない経験」に付加価値を感じず、お金を払いたくないというところです。ビールなら安居酒屋で300円で飲めるし、アイスはスーパーで98円で食べられます。彼らにとってビールやアイスに払える上限は市場でいう適正価格なのかもしれません。

でも私はそこでしか飲めないビールなら900円でも払いたいし、名物のソフトクリームなら600円払うことを厭いません。こういうのが金銭感覚の違いなのかもと思いました。

金銭感覚というと、所得差から生まれるギャップととらえがちです。しかし実際はなににいくらまで出していいかという感覚。それこそが「価値観」なのではないでしょうか。

お金持ちと付き合っても、この感覚が合わなければきっと分かり合えません。気になる人ができたら、何にいくら払うのが適当だと思うのかをきちんと見定める必要がありそうです。

1991年生まれ。芸能・出版などマスコミ業界で働く会社員。リアルなミレニアル世代として、女性特有のモヤモヤや働き方などを主なテーマに記事を執筆中。
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