そこまでムリして仕事しなくてもよくない?脱力系仕事術のススメ
●編集部コラム
ほどよく働き、ほどよく稼ぐ
毎日朝早くから夜遅くまで働く先輩や同僚たちがいる一方で、「尊敬するけど、私にはその働き方はムリ。ほどよく働き、ほどよく給料をもらって、ほどよく楽しく過ごせたらそれでいい」と思う人もいるんじゃないかと思います。
そんな人に読んでほしい一冊が『波風を立てない仕事のルール ほどほどを望む人に捧ぐ「逆説」の働き方指南』(きずな出版)。
この本の著者は、telling,でもコラムを書いているコラムニストの尾藤克之さん。元国会議員秘書の尾藤さんによると、議員や秘書の世界では一般企業とは比べ物にならないくらい、理不尽が平然とはびこっているといいます。議員秘書ほどではなくても、仕事をしていれば理不尽なことはやまほどあるもの。
できれば面倒なことはうまく回避して、仕事をそつなくこなし、ほどよい収入を得て、幸せに暮らせれば万々歳。この本には、その処世術が35項目に渡って書かれているのです。いわば「面倒な上司取り扱い説明書」です。
怒りのピークは6秒間。うまく時間を稼いで逃げるべし
上司から理不尽な怒りをぶつけられた時、どのように対処しますか? 人によっては自分の正当性を主張してしまうことがあると思います。しかしそれは火に油を注ぐようなもの。こんな時は火消しをするどころかさっさと逃げてしまったほうがいいのです。
具体的には、あえて用事を作り、怒っている本人とできるだけ顔を合わせなくて済むように距離をおくこと。
尾藤さんの書籍によると「ここで重要な事は『人は何時間も怒り続けられない』ということです。いくら怒っていても1時間も経てば人は幾分冷静になっているものです。実際アンガーマネジメント協会によれば、人の怒りの感情のピークで持続するのは6秒程度しかないとされています」とのこと。
上司の機嫌が悪かったり、怒っているなんて聞いたらつい「すぐに謝りに行かないと!」と思ってしまうけど、そんなときは6秒とはいわず1時間近くは離れたほうがいいということで……怒りがほどよくおさまったころに現れるのがベストだということです。
理不尽な目にあう確率を大幅にさげる3つの方法
上司との仲が悪い場合、理不尽な目に会う確率は仲がいい上司と比べて高くなりがちです。逆を考えれば、上司に気に入られていれば、仮に問題が発生しても、うまくかわせる確率も高くなるのです。
一番良い方法は、毎日上司とのコミュニケーションをしっかりとることですが、「この人とは仲良くなりたくない……」なんていう人もいるかも。そんな人にも有効なのが、朝の挨拶です。
「出社した時、職場全体に向けておはようございますと言うだけではなく、〇〇課長おはようございますと、名前を呼ぶだけでもまったく印象が変わります。あるいは上司の世話話は適当に聞き流さずしっかりうなずき、相槌を打つだけでも、こいつは自分の話を聞いていつもちゃんと聞いていると言うアピールになります」(尾藤さん)
名前を付けて呼ぶだけで相手の印象が大きく変わるなら、試してみる価値大だと思いませんか?世間話を適当に流さずに聞くというのは尾藤さんいわく、「聞き役に徹して、ただ相手の話に対して肯定するだけでいい」とのこと。傾聴の技術が鍛えられそうです!
なかでも最も効果的なのが「上司の武勇伝を聞くこと」。
尾藤さんによると「いま、新規のお客様との商談で苦労しているのですが、部長が『課長は営業のスペシャリストだ』とおっしゃっていたのを小耳に挟みました。今後の参考のために、営業マンだったときのお話を聞かせていただけませんか」なんていうふうに引き出すのだそう。
「ここで重要なのは、より上位(この場合は部長)がほめていたことをさりげなく伝えつつ、自分の学びのために聞きたいという積極性をもアピールしていることです」(尾藤さん)。
これにはテクニックがいるので、できる人だけやってみてください。
もめない、むりしない、ほどよく働く
「上司を持ち上げるなんてめんどうくさい!」「ムリムリ〜」なんていっていたら、事あるごとに上司とぶつかり、理不尽な思いをし、ストレスを溜めながら過ごすことになりかねません。
もちろん自分の仕事にプライドがあれば主義主張はしたほうがいいとは思いますが、無用な戦いはないに越したことはないでしょう。
ほどほどに仕事して、ほどほどに給料をもらって、ほどほどに楽に生きていく。そのためには、失敗やトラブルを防ぎ、理不尽さによる不幸を回避する。これは仕事もプライベートも大事にしたいミレニアル世代にあった働き方なんじゃないかと思います。
一見、脱力系に見えるかもしれないこの処世術。1つずつ実践していくことで、過剰なストレスが減り、さらにその脱力系働き方に共感する仲間が増えれば、結果として仕事が楽しくできるようになってくるはずです。
この本の表紙に書かれた「そこまでムリして仕事しなくてもよくない?」という一言。「仕事ってただがむしゃらにがんばればいいってものじゃないんだよ」「もっと力を抜いて、楽しくやろうよ。そのほうがうまくいくんだからさ」というメッセージが込められているように感じました。
ちなみに、この一言はベストセラー作家の本田健さんが書いた言葉らしいですよ、ここだけの話。
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