怒れる女

飲み会で初対面の男性に怒ってみた。

●怒れる女

初対面の男女の飲み会で、無礼な振る舞いをされた

先日初対面の男女で飲む機会があり、「人が一生懸命喋れば喋るほど、黙ってそれをニヤニヤ見て楽しまれる」というのをやられた。
大手企業に勤める男性で、多分仕事について一生懸命語ってる私の姿が滑稽だったんだと思う。「フリーのくせに」なのか「女のくせに」なのか「稼いでもないくせに」なのか、わからないけど、とにかく嫌な空気を一瞬でサッと作り上げられて、私が「ちがうんです!」「そういうことを言いたいんじゃないんです!」と言えば言うほど、「うんうん。それで?」をやられる。参った。

そこで、キレてみた。その場で、キレてみた。
「あの、バカにしていますよね?私のこと」
「いやいや、してませんよ」
「していますよ。私のバックグラウンドを知らないのに、目の前に並べられた単語だけで話を最後まで聞かず、『この人バカにしていい人だ』って判断するの、とても失礼だと思います。不愉快です。」
「そんなことしてないですって」
「顔に出ています、もしそれを悪意なくやっているのだとしたら驚きます」

もちろんめちゃくちゃ空気は悪くなった。仲介してくれた友人は慌てて飲み物を頼もうと店員さんに大声で呼びかけ、別の人は努めて明るく話題を変えたり。周りが一斉に気を遣ってくれた。
「すみません。もうこの話終わりにさせてください」
と言って話を終わらせた。
一応その場は収まって、そこからはまた、ワイワイとした飲み会に戻った。

出合い頭の「怒っていい案件」にすぐ怒ってみる

交通事故のように出会い頭で無礼なことをされる、「怒っていい案件」に直面した時、今までの自分はどうしていただろうか。
・失礼なことをしてきた相手を負かそうと、更に声高に反論する
・一杯食わせてやる!という思いで嫌味を並べ連ねて言い返す
・その場ではニコニコして、あとで悪口でこき下ろす
概ね、こんな対応をしてきたように感じる。
でもどれも気持ちは晴れないし、泥仕合のようだし、結局相手へのダメージなんてないし、あんまり良い思い出にはなっていない。

今回、パッと吹っかけられた悪意に対して、「私が不快に感じている」ということをしっかり伝えることをポイントにして怒ってみた。
「これこれこういう理由で、あなたは間違っているんだ!」などというような、相手を負かしてやろうという気持ちを極力抑えること。
それから、「女だからって」というように主語を大きくせず「私が」腹を立てる行為を貴方はしたのだ、ということを伝えることを極力心がけた。
それは私なりの、怒りへの責任の持ち方だった。

楽しい場で怒りを表明することに、メリットなんてほぼないかもしれない。
ただ、私が怒ることでその場のテンションを下げるのと、私がその人に傷つけられたことは同じ重さであっていいように思う。
空気が悪くなることの元凶は、私だけではなく火種を撒いた人にもある。それでいい

怒りという感情こそ、何より慎重にコントロールしなくてはいけないはずなのに、今まで怒りについて考えてこなさすぎたように思う。
たとえば人間の「怒り」への対処法について、「いかに怒りを抑えるか」を綴った書籍などは多く存在する。
でも、突発的にその場で怒りを表明して物事を解決する方法や、上手な怒り方、怒るタイミング、終わらせ方などについて深く考察された文章を見ることはあまりないし、私自身もそのことについてまるで考え抜けていないことにはっとする。

上手に怒る方法

まだまだ「怒れる女」への完成形へはほど遠いが、今回怒ってみていくつかわかったことがある。

・「私が」不快に感じているということを素直に伝えることが大事
(話を大きくすることや、まわりくどい言葉はただの説教になる。これは説教ではない)
・厄介な女でいい、という覚悟を持つ。
(可愛げや愛想は大切な人にだけふりまく)
・みんな大人だから、一人が怒っても最後まで悪い空気になることはあんまりない
(そういう信頼できる人たちがいない場ではまだしばらく、怒るのは避ける)
・後日後悔して謝ったりしない。そうするぐらいならその場でブチギレない
(自分の怒りを信じる)
・でもやっぱりモヤモヤしたりもする。怒るのも気持ちの良いものではない
(ココ大事!今後の修行ポイント!)

怖い女、ヒステリックな女、感情的な女……力任せに怒るだけなら、肩身が狭くなるのは仕方がない。でも、怒りの感情も上手に乗りこなせば、「怒れる女」も市民権を得られるような気がする。いざ、怒りのネクストステージへ。

続きの記事<精神科医・水島広子さんに聞く怒りの取り扱い方「怒ると自分が損をする」>はこちら

大学卒業後、芸能事務所のマネージャーとして俳優・アイドル・漫画家や作家などのマネージメントを行う。その後、未経験からフリーライターの道へ。
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