アンガーマネジメントの専門家「怒れなくて悩んでいる人は、想いが中途半端」
●怒れる女 18
中途半端に関わるから、怒りで後悔をする
――telling,の街頭インタビューで「後輩に対してうまく怒ることができず悩んでいる」というミレニアル世代の女性の声を多く聞きました。「良い先輩だと思われようとしたツケがまわってきた」の記事にもあるのですが、怒るとお局様扱いされるし、怒らないと仕事がうまくいかないし……という悩み、アンガーマネジメントの観点で解決できますか?
安藤: まず、アンガーマネジメントというのは「怒りで後悔することをなくす」ことを目指す心理トレーニングです。ここでの後悔は「あんなに怒らなければよかった……」「あの時怒っておけばよかった……」どちらも指します。
つまり、適切なタイミングで、適切に怒りを表明できるようになることを目指しています。
僕たちは「怒らない」ことを推奨するわけではなく、「適切に怒る」ためにはどうしたらいいかという手法を広めています。
その観点で言うと「仕事で後輩に怒るべきかどうか」という話。この方自身が仕事に対して中途半端に取り組んでいるのでは?と感じます。彼女は本当に仕事対して強い関心を持っていたのでしょうか?仕事での成果を優先と思うなら、悩むことなく後輩を怒ることができるはずです。よくないことは指摘した方が組織のためにいいですからね。
でも、そうしなかった。それは、仕事や組織以上に自分にとって大事なものがあったということですね。
――お局化するのが嫌だ、小言を言うのはめんどくさい、自分でやってしまった方が早い……いろいろあると思います。
安藤: 仕事に対する思いが中途半端だから、そういう悩みが生まれるんだと思いますよ。なので、自分にとって本当に大切なのは何なのか、仕事なのか、自分の時間なのか、人間関係なのか。これを整理していけば、怒りで後悔することが減っていくと思います。
「怒るべきもの」「スルーするもの」を区別できるようになる
――仕事は当然大切なんですが、自分の心地よさやメンタルの健康も大切です。自分にとって「怒るべきものはなにか」は、どうやって線引きをしていけばいいのでしょうか?
安藤: アンガーマネジメントでは、感じた怒りを10段階で評価するというテクニックがあります。自分が感じた怒りを、数値で客観的に判断することで、冷静になることができます。さらに数値化することでレベル別に対応をすることができますよね。怒るべきか、怒らないべきかを数値で客観的に判断することができます。
服部さん(広報担当)も電車でのマナーの話をしていましたよね。
服部さん: 私も普段から怒りを数値化しています。電車でのマナー違反が許せなかったので、それを冷静になって数値化してみたら、レベルが2とか3だったんですよね。そこで、他にもっと自分にとって重要な出来事ってたくさんあるなと気づきました。なので、電車のマナー違反には、時間をかけて怒るほどのことじゃなかったという結論に至りました。
安藤: そういう風に気づくと、当初怒りの対象だったマナー違反がもう目に入らなくなっていくんですよね。スルーできるようになります。
――点数をつけるのは簡単そうですが、毎日怒ることがあると整合性がとれなくなっていきそうです。
安藤: 最初から完璧に整合性をとって点数を付ける必要はないです。点数をつける目的は自分の怒りの傾向を理解して、自分が何を大切にしているかに気づくこと。これを習慣にしていくと、自分への理解が深まり、怒る・怒らないをクリアに判断できるようになりますよ。怒りを表明するのは本当に自分が必要な時に絞ると、怒れなくて後悔するということも、怒ってばかりで疲れるということもなくなるはずです。
後編もお楽しみに!
<次回予告>
怒りに点数をつけて、怒るべきものとスルーするものを判断するという考え方。ぜひ取り入れていってみたいと感じました。一方で、女性はセクハラ・パワハラや痴漢や暴力の対象になるなど、不遇な扱いを受けることも多く、怒るべき対象が多すぎるような気がします。そんな時にどう考えればいいか、次回教えていただきます。
●安藤俊介さんのプロフィール
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。 怒りの感情コントロール専門家。怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」の日本の第一人者。 一般社団法人日本アンガーマネジメント協会<https://www.angermanagement.co.jp/>
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