怒れる女

ポールダンサーの私が性暴力に断固NOと言う理由【怒り03】

なまめかしく妖艶な表現力で性別問わず見る者の目を釘づけにするポールダンスのダンサーであり、注目のブロガー、ライターでもある“まなつ”さん。彼女が問いかけるのは、「フツー」って、「アタリマエ」って、なに? ってこと。 telling,世代のライター、クリエイター、アーティストが綴る「telling, Diary」としてお届けします。

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チップを入れるという名目でパンツをおろされる

チップを入れるという名目でパンツをおろされる、衣装の紐を解かれる、お尻を叩かれる、胸を鷲掴みにされる、キスされそうになる、衣装を無理やり脱がそうとする…。
これらは私が今までポールダンスのお仕事をしている最中に実際に受けた性暴力です。
セクハラ、性的嫌がらせという言葉ではもはや生ぬるく、これらは明確に性暴力といえると思います。

そもそもポールダンサーは、露出の多い衣装を着ますが、性的サービスをするわけではありません。
私たちの仕事は、ダンスパフォーマンスをすること。
現場によってはそこに接客が加わることもありますが、体に触れることは厳禁です。

しかし、明確にルールを示してあっても、薄着の女には断りなく触ってもいいと思う人々が世の中にはいるのです。
言葉で嫌だとかダメだとか言っても、聞く耳を持ちません。
抗議をしてもニヤニヤして「なんでダメなの?」と行為をエスカレートさせる。

そういう行為をされた時は、物理的に反撃します。
耳を掴んでやめろと強く言ったり、手を強く握って壁に押し付ける。
普段はお客様には敬語で話しかけますが、こうなったら一切優しい言葉は使いません。
ふざけんな、いい加減にしろ、やめろって言ってんだろ?

そこまで言われて、ハッと我に返りその行為をやめ、バツの悪い顔をする人はまだマシな方です。

「ふざけただけ、ムキになるな」

加虐心や征服欲を煽られるのか、行為をエスカレートさせる人もいます。
ある時、チップを渡すフリをして衣装を脱がされそうになり、本当に身の危険を感じた私は相手のみぞおちをグーで思い切り殴ったことがあります。
その相手は、私に殴られてぽかーんとしておりました。
そして取り繕うように笑って
「ふざけただけだよ、ムキになるなよ」
「殴るなんて酷いことするね」
と言いました。
この人たちには「自分は性暴力をしている」という意識はないのだ、とわかった時、ただ物理で身を守るだけではダメだ、と思うようになりました。

声をあげるのは自分のためだけではない

まずは、「どんな小さな行為」でも、嫌だと感じたらNOと言うこと。それは性的嫌がらせであって、私たちはそれを不快に感じているし、いざとなったらたとえあなたがお金を払ってここにいるのだとしても、容赦はしないと伝えること。
そして、そんなことをどうかこれ以上しないでほしいということ。
エスカレートする前に食い止める。

これは決して、自分のためだけではありません。
私のように何かされたらすぐに反撃できる女の子より、そうできない子が多いから。
ここで食い止めておかないと、反撃できない子は、より狙われてしまう。
「このお店の子は触っても文句も言わない、もっと大胆なことをしても大丈夫だ」と思われてしまうから。
そうなってからでは遅いので、自分が何かされた時だけでなく、他の子が触られている時も必ず大きな声で注意をしています。

声をあげることは、大変な勇気がいります。
声をあげることによって不利益を被ることさえある。
なので、声をあげられない人の分まで、性暴力には断固NOと言います。
「女性の体は、あなたの思い通りにしていいモノじゃないよ」と私は伝えています。
どのような場であっても、こんな思いをする人がいなくなるために。
性暴力をしている人が自分の過ちに気づき、この世にいる全ての人の体が、尊重されるべきものだと理解してもらうために。

『おっぱいが大きかったので会社員を辞めてポールダンサーになった話』

著:まなつ

発行:株式会社ZINE

ポールダンサー・文筆家。水商売をするレズビアンで機能不全家庭に生まれ育つ、 という数え役満みたいな人生を送りながらもどうにか生き延びて毎日飯を食っているアラサー。 この世はノールール・バーリトゥードで他人を気にせず楽しく生きるがモットー。
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