中村倫也×小池栄子「美食探偵」はリモート殺人ドラマかもしれない

新型コロナウイルス拡大による緊急事態宣言下、予定通りスタートした東村アキコ原作の「美食探偵 明智五郎」。御曹司であり、美食家探偵が殺人鬼の真相とハートに迫ります!第5話でマリア(小池栄子)に狙われたのは、上遠野警部(北村有起哉)の別居中の小5の娘・小春。明智五郎(中村倫也)はどう挑む?

「美食探偵」も、連続ドラマにおいて中盤の山場とされる第5話。明智五郎(中村倫也)とマリア(小池栄子)の関係性も少しずつ明確になってきて、いい感じに盛り上がってきた。ちゃんと最後まで撮影が終わっていることを切に願う。

バラバラ事件より恐ろしい食物アレルギー

オンラインで殺しを指示するリモート殺人鬼のマリア(小池栄子)は、明智五郎(中村倫也)の周りで殺人を犯しそうな人物を物色。上遠野警部(北村有起哉)の別居中の小5の娘・小春(横溝菜帆)が「死にたい」と書き込んでいるのを発見する。

乳製品アレルギーを持つ小春は、それが理由でクラスでイジメを受けていた。チーズを背中に入れられて発作を起こし、あわやという事態になるが、担任の教師(阿南敦子)は「悪ふざけの延長」とイジメを認めない。なんと、アレルギーを軽視するこの担任こそが、イジメの発端だったのだ。前回のバラバラ殺人よりも胸糞が悪いのだから不思議なものだ。

アレルギー軽視の教師なんて今の時代さすがに存在しないと信じたいが、意外といたりしそうで怖い。上遠野の離婚した元妻(奥山佳恵)が、「あなた仕事ばかりで話聞かないじゃない!」と上遠野にアレルギーのことをちゃんと伝えていないのも怖かった。

小春と上遠野は月一で会ってるんだからそんなレベルの話じゃないだろうに。アレルギーにちゃんと向き合ってるのは小春本人だけに見えてしまう。

明智と苺のアレルギー対応

その点、明智の発作への対応はスマートだった。自己注射薬を持っていると考えた明智は、小春のランドセルをひっくり返して見つけ出すと、躊躇なく小春の太腿に刺し、脳に少しでも血液が送られるようランドセルを使って足を上位に置く。探偵としての嗜みなのか、それとも自分が海老アレルギーを持っているからなのか、マニュアルのような対応だ。

「オーケークルックー!救急車に電話!」

苺(小芝風花)も決してかっこいい大人ではなかったが、必死にあたふたしていた。コメディ寄りのキャラクターだからこそできるテンションで、しっかりと緊張感を煽っていた。明智と苺のバランスの良さが見えるシーンだ。

殺しの動機を借りる

マリアは、心身ともに弱った小春につけ込んだ。持ち前のカリスマ性と話術で、小春に給食での集団毒殺計画を吹き込んだのだった。と言っても、実行するのはマリアを崇拝するシェフ・伊藤(武田真治)と林檎農家・茜(志田未来)で、小春は特にやることがない。

小春から動機だけを借りて大量殺人を試みたのだ。わざわざ犯行の邪魔になり得る小春を説得したのは、マリアの殺しの美学だろう。小春の意思ありきで実行しないと意味がない。美学であり、明智とのコミュニケーション。これこそが、明智にとってマリアに付け入る隙となっている。

マリアからの絵葉書をヒントに学校へ駆けつけた明智は、今回初めて殺しを阻止することに成功した。しかし、のちにマリアは「わざと勝たせてあげた」と語っている。

明智の“本当の自分”とは?

「あの人も本当の自分に気づき始めている」

マリアのいう「本当の自分」こそが、苺が明智に抱いている違和感の正体だ。過去の犯人たちの殺しの動機に、明智は賛同するような発言をいくつか残している。今話も、毒を口にした思い込む生徒たちに、犯人サイドのような意見をぶつけている。

そんな中で、明智による「(マリアは)特別な存在」という発言。苺が取り乱したのは、恋愛的な嫉妬ももちろんだが、明智が“マリア寄りの人間”であることへの心配もあったのだろう。好きな人が変わっていくのを止められない歯痒さみたいなものもあるのかもしれない。

「自分の身は自分で守る、君のことも僕が守る」

明智のこの発言で苺は浮かれに浮かれていたが、根本的な問題はたぶん何も解決していない。

第6話は、明智のお見合い中に相手が殺されるお話。リモート殺人をやめたマリアが、久しぶりに現場に顔を出す。

企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
イラスト、イラストレビュー、ときどき粘土をつくる人。京都府出身。
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