「美食探偵」中村倫也と小池栄子が炎のキス！見せつけられる小芝風花にもチャンスありだと思う

• 記事末尾でコメント欄オープン中です！
• 前回はこちら： 中村倫也×小池栄子「美食探偵」はリモート殺人ドラマかもしれない

コロナ禍の中で放送を続けてきた「美食探偵 明智五郎」も、ついに5月17日の第6話を持って放送をいったん休止。ソーシャルディスタンスを踏まえたラストシーンなどが話題になっているが、やっぱりちょっと寂しい。公式ホームページに次話のあらすじすら載っていないので、休止は長引いてしまいそうだ。こうなったらとことん体制を整えて、しっかりした環境で残りの撮影に臨んで欲しい。

コメディからシリアスへ、脚本の妙

休止前最後となった第6話は、明智五郎（中村倫也）の母・寿々栄（財前直見）が、扇屋百貨店の未来のためにお見合い話を持ってくるお話。百貨店の役員・伊達（小市慢太郎）が選んだ社長令嬢の紗英（北原里英）を相手に、五郎と弟・六郎（草川拓弥）、2対1のお見合いを画策する。

序盤はコメディ満載の展開だ。2対1の変則的なお見合いには、寝坊した六郎に成り代わって苺（小芝風花）が男装して参加する。隣の部屋では明智を大好きな刑事・高橋（佐藤寛太）が聞き耳を立てたり、苺が明智にボイスパーカッションの無茶ぶりをされたり、覗いていた高橋と上遠野（北村有起哉）が障子を倒して雪崩れ込んでしまったり、苺のカツラが外れたりと超ドタバタコメディだ。

たまたま自分のお見合いで二号こと桃子（富田望生）や、あまり関係のない上遠野警部が居合わせても、そんな超ドタバタ展開なので、“出来過ぎ感”は薄い。コメディを盾に登場人物を高級料亭にムリヤリ集結させる脚本の妙だ。てんやわんやの楽しいコメディの真っ只中、とつぜん紗英が毒殺される。さらに、明智が自身のエビアレルギーをヒントに自分が殺される予定だったことに気づくなど、コメディからシリアスへのギャップもインパクト大だ。

意外と鋭い母の勘、ハッピーエンドが見えてこない

以前登場した時は、若干の毒親臭を漂わせていた母・寿々栄だったが、今回で見え方はだいぶ変わった。探偵業に不満があるのは、会社のためだけではなく、五郎の将来を思ってのことだった。

「あの子がもし、自分とピッタリ波長の会う人と出会ってしまったら、あの子は、その相手ととんでもない世界に行ってしまうような気がして……」

この相手に当てはまってしまうのが、殺人鬼・マリア（小池栄子）。我が子を変人と認め、本心を定めようにもないにもかかわらず、心配を的中させるのはさすが母親と言ったところだろうか。すべてを見抜く寿々栄の話を聞いて、苺は平凡な自分とマリアの間にある差を実感してしまう。

自他共に認める特別な関係になっていくマリアと明智。いちばん普通に一生懸命恋をしている苺が報われそうにない。第6話にしてハッピーエンドがまるで見えてこない、どう納めるのかが非常に気になる。

マリア、初めて人間らしさを見せる？

事件はというと、マリアが犯人ではないという新たなパターン。いや、「黒幕ではなかった」が、正しいか。明智の命が狙われていたことに気付いたマリアは、ファミリーの林檎（志田未来）を使って、毒物が入った料理をすり替えた。すり替えずに捨ててしまえば紗英は死なずに済んだのに、毒物を残しておくところが殺人鬼らしい。愛する明智のお見合い相手ということで、少しは敵意を持っていたのかもしれない。

本当の犯人に命を狙われた五郎は、納屋のようなところに監禁され、建物に火をつけられてしまう。ここで、苺はまたしてもマリアに差をつけられてしまう。

「私は、愛する人のためなら迷わず命を捧げるわ」

いち早く異変に気づいた苺だったが、燃えさかる炎にたじろぎ、明智を助け出すことができない。しかし、そこに現れたマリアは、上記のセリフを言い残し、優然と火の中へ。ヒラヒラと燃え移りやすいスカートもなんのそのだ。

「君には謝らないといけないことがある。こんな美学のない事件を、一瞬でも君が企てたと疑ってしまった」

五郎は、助けにきたマリアにまさかの謝罪。マリアもマリアで「誰にだって間違いはあるわ」と器の大きい（？）返答。ゆっくりと縄を解き、炎の中でキスをする余裕まで見せた。これを素敵と思うか、「早く逃げろよ」と思うかで、マリア側か苺側の人間か分かれる気がする。

母・寿々栄の言う通り、「とんでもない世界に行ってしまった」明智とマリア。苺は、炎という壁を隔てて、住む世界の違いをまざまざと見せつけられてしまった。

「あなたは気に病むことないわ。愛する人の命よりも、自分の命の方が大切。そんなのよくある話だから」

超えられない壁に茫然とする苺に、マリアは追い討ちをかける。さらに苺は自分に自信を無くしてしまうが、上記のセリフにはマリアから少しの人間らしさを感じることもできる。

確かに常人離れした愛を見せたマリアだったが、「どうすごいでしょ？わかったら明智に近寄らないでね」と自分の異常さをあえて誇示しているように見える。自分と明智の異常な世界観を、恋敵である苺にひけらかし、明智を取られないようあえてダメ押ししたようにも見えるのだ。初めて見せたマリアの人間らしさに、全く見えてこないハッピーエンドは隠されているかもしれない。

次回の放送は、コロナウイルスの影響で未定。マリアが事件の黒幕じゃなかったり、明智とマリアが急接近したりと、話が動いた第6話だっただけに、次回が楽しみでならない。
（7話が予定されていた5.24（日）よる１０時半からは「地上波未放送のオリジナルストーリー」特別編１を放映予定）