「東京ラブストーリー」決断する女性たちに振り回される男性陣が情けなくもカワイイ7~8話

90年代の恋愛ドラマの金字塔「東京ラブストーリー」が29年ぶりに帰ってきた!平成版の濃ゆいキャスト陣に変わって、伊藤健太郎、石橋静河、清原翔、石井杏奈という令和版キャストはシュッとした現代っ子たち。7~8話では、三上健一(清原翔)と関口さとみ(石井杏奈)が別れてしまう。平成版とは異なり、令和版では女性陣が強い。令和の強い女性像はどう描かれる?

1991年に放送され、最高視聴率32.3%を記録した伝説のドラマをリメイクした令和版「東京ラブストーリー」第7~8話。
伊藤健太郎&清原翔による上半身裸のサウナ・ツーショットや伊藤健太郎の壁ドンなど、サービスショット盛りだくさんだった今週は、三上健一(清原翔)と関口さとみ(石井杏奈)の別れが描かれた。

大好きな靴だったから、他の人にはかれるの悔しいじゃん

同棲していた部屋を飛び出し、前の部屋に戻ったさとみ(解約してなかったんだ……)を追いかけ、チャイムを鬼のように鳴らしたかと思えば、部屋に残されていたさとみの荷物を突然送りつけるなど、プレイボーイの恋愛テクニックで(?)、押したり引いたりの揺さぶりをかける三上。しかし、さとみの心はかたくなだ。

サウナで乳首丸出しのカンチこと永尾完治(伊藤健太郎)から「(自分なら)何度でもあやまる。リカが好きな物、手土産に持って……おにぎりとかガチャガチャとか」という、参考になるんだかならないんだかなアドバイスを受けた三上は小細工をやめ、婚姻届を持って(コレがおにぎり&ガチャガチャってことか!?)さとみと向き合い、はじめて自分の素直な気持ちを明かす。

「さとみがオレのことを受け入れてくれた時は夢見てるみたいだった、オレはようやく、この世で一番欲しかった物を手に入れたんだって……」

これに対し、さとみも本心を語った。

「三上くんといるとね、周りの女の子がソワソワするのが分かるの」「そういうの、実は結構気持ちよかったんだ。いいでしょ、素敵でしょ。この最高に魅力的な彼の心は、私だけのものなのって」

大学病院に三上の携帯電話を届けに行ったのも、浮気相手と思われる長崎尚子(高田里穂)に自分の存在をアピールするためだったのだ。

「今、アナタにちょっかいをかけているこの人には、私という本命の彼女がいるんだよ、アナタとは遊びなんだよって」

自分は素直で従順な女じゃないとアピールすることで、スッキリ別れようという意図もあるのだろうが……まあまあ本心なんだろうなぁ。
一方、三上への気持ちを吹っ切るため、トキコと(またか!)ショッピングに繰り出したさとみは、こんなことを言っていた。

「新しい靴が欲しいんだ、今度は足にピッタリの。はいているのを忘れちゃうような靴が欲しいの」
「確かにあのヒール、超かわいかったけど、靴ずればっかりしてたもんね」
「だから捨てちゃった。大好きな靴だったからさ、他の人にはかれるの悔しいじゃん」

これは当然、靴=男というメタファー。「靴ずればっかりしてた」靴は、超格好いいけどさとみを傷付けてばかりいた三上のこと。三上が長崎尚子(高田里穂)と急接近していく中、「他の人にはかれるの悔しいじゃん」発言には「ひょえーっ!」となった。「私は別れたけど、お前とはくっつけさせないからな」宣言か!?

しかし、それ以上に「はいているのを忘れちゃうような靴が欲しいの」にドキッとさせられた。いつも身近にいるから男として意識したこともなかった……カンチ、狙われてる!?

「リカは我慢させる側の人間だから」って、そりゃカンチの方だよ!

カンチ×赤名リカ(石橋静河)カップルの方は、リカが相談なく会社へ辞表を出したことで大揉めに。
まあ、相談くらいしてくれてもいいのにとは思うが、リカの「大事なことはひとりで決めたいの。自分の決断を誰かのせいにしたくないから」という言い分も理解できる。それでもカンチはブチギレ。

「なあ、リカにとってオレってなんなの!? 大事なことは何にも話さないで、ただ今を楽しむだけの関係? だったらそれ、オレじゃなくてもいいんじゃない!?」

結局この時は、カンチがガチャガチャを持って(有言実行!)リカにあやまって、退職&ニューヨーク行きを認めることになる。
リカが渡米するまでの間、同棲&土日を使ってカンチの故郷・愛媛に旅行する計画を立てるふたり。
しかし、リカの代わりにカンチが任されることになった大仕事で、リリース寸前のプランをクライアント社長にひっくり返されてしまう。

「その社長さんはきっと、自分たちの作った物を大切にしたいだけだよ」

このせいで愛媛旅行がキャンセルになってしまったにも関わらず、健気にカンチを励まそうとするリカだったが、カンチはまたもブチギレ!

「そりゃリカには分かんないよ、リカは我慢させる側の人間だから。少なくともオレは我慢している!」「リカがいつも、自分のことしか考えてないからだよ!」

リカの可能性を潰さないためにニューヨーク行きを認め、我慢していた気持ちが爆発しちゃったんだろうけど、これまで何かというとさとみの呼び出しを優先してリカとの約束をすっぽかしたり、放置したり。今回の旅行キャンセルにしても、「我慢させている」のはどっちかというとカンチの方なのでは……?

強くなったさとみがジトッと見つめるカンチ

平成版「東京ラブストーリー」と令和版を比べて、大きな違いを感じるのが女性陣の強さだ。
平成版で「(三上と別れるかどうか)永尾くんが決めて」なんて言っていた弱いさとみの姿はなく、追いすがる三上の手を振りほどいて去って行く。
リカに関しても、平成版ではカンチとの恋愛にだいぶ依存している傾向があったが、令和版ではふたりの関係を大切にしつつも、自分のやりたいことに真っ直ぐ突き進む姿が描かれている。
さらに、三上の誘惑にまったく乗ってこなかった長崎尚子も、マリッジブルーなのか何なのか、突然、自分から三上の部屋を訪れた。

この辺は、脚本家が男性から女性に変更されていることも影響しているのかも知れない。決断をするのは女性たちで、カンチと三上はそれに振り回され、「イヤだ!」と駄々をこねたり、理不尽に逆ギレしたりするばかり。その代わり、男たちが妙にかわいらしく、エロ~く描かれているのだ。

強くなったとはいえ、さとみのジトーッとした恐ろしさは変わらないが。

「あいつ(三上)はこの世で一番、関口のことを必要としている。なあ、もう戻れないのかな?」

ふたりを取り持とうとするカンチを無言で見つめるさとみの眼差しが……。

「まだ三上のことを引きずっていて、でもやり直すのは無理なの」という意味合いだと信じたいが、どうしても「新しい靴が欲しいんだ」発言が頭をよぎってしまう。

令和版さとみは、「健気におでんを持ってくる」意外のどんな方法でカンチを絡め取っていくのか……!?

「東京ラブストーリー」
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「東京ラブストーリー」(1991)
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1975年群馬生まれ。各種面白記事でインターネットのみなさんのご機嫌をうかがうライター&イラストレーター。藤子・F・不二雄先生に憧れすぎています。
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