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在宅勤務のワナ。上司からの「リモート飲みハラスメント」をかわすには

緊急事態宣言による外出自粛要請を受けて、オンライン会議システムを使ったオンライン飲み、リモート飲みをしている人が増えています。自宅で終電も気にせず、飲み会ができて楽しいと話題です。一方で、上司から誘われたら断れない、退出するタイミングが難しいと悩んでいる人が多いのも事実。上司からの「リモート飲みハラスメント」、どうかわせばいい?
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コロナ禍の影響で、私の勤めている会社でも全社員在宅勤務が言い渡されました。緊急事態宣言を受けての迅速な判断に、「うちの会社やるじゃん!」と見直したのもつかの間……。在宅勤務ならではの「リモート飲み」ハラスメントが始まったのです。

ツールに慣れ、ビデオ通話を乱用する上司たち

会社ではもともと一部の若手社員でチャットツールを使用していましたが、在宅勤務に切り替えるにあたり、全社員にアカウントが付与されました。始めは使い方が分からず悪戦苦闘していた年配社員たちも徐々に操作に慣れてきて、WEB会議が頻繁に行われるようになりました。
一方で、テキストチャットで話していても、いきなりビデオ通話がかかってきて、口頭で説明させられる……ということも多く、顔をつき合わせて話したい世代と文章ですませたい世代との溝もできていました。もちろん口頭で説明したほうが早いものもあるのですが、在宅勤務中は相手の様子が見えないからか、こちらの都合も関係なく通話させられ、仕事の進行の妨げになることもしばしば。やがて「ビデオ通話をする時は事前に課題をはっきりさせましょう」というルールが敷かれることになりました。

上司とのサシ「リモート飲み」が地獄だった

在宅勤務が2週間経過した頃、私はストレスが限界を迎えているのを感じていました。人と話せない、家にこもりきりという環境が続いたことで、ちょっとしたことでイライラするように。そこで退勤後、仲のよい同僚たちとリモートで飲み会を開いたのです。家にある適当なお酒を飲みながら、だらだら喋り満足したら退出。これがかなり楽しくて、私は翌日つい上司に「この間〇〇さんたちとリモート飲みしたらめちゃくちゃ楽しくて~」と口を滑らせました。すると上司が「おっ、じゃあ今日それやろう!」と言い出したのです。
しまった、と思いましたが、この時期断る理由もなく受け入れるしかありません。上司が参加する飲み会はただでさえ気を遣うのに、リモートでは逃げ場もないし、中座もできない。

「おーい、園子さん、なんか喋って!」
「それなに飲んでるの?」
「ちょっと家の中見せてみて」

お互いの顔が見えるビデオチャットでは、喋ってないことや飲んでないことがハッキリわかってしまいます。普段ならちょっと端の席に避難して……ということができますが、それもできない。しかも部屋のインテリアや室内干しの洗濯物にも食いつかれ、プライベートを侵されている感覚。しっかり2時間付き合わされ、喋り続けてヘトヘトでした。

ついに社長もリモート飲み会を始めた

リモート飲みが社内で定着し始めたころ、噂を聞いた社長が「俺もやりたい」と言い出し、金曜日の夜に開催宣言をしました。しかも開始時刻は定時後の18時。自由参加と言いつつ、この時期「子どもがうるさいので~」「夕飯の準備が~」など家庭のある人しか正当に断る理由もありません。
結果、多くの独身社員が参加させられました。普段なら「社長を囲む人」「遠巻きで見ている人」に分かれますが、ずらっと画面に映し出されていては全員で社長をもてなすしかありません。会話を回す役割の人もおらず、同時に喋ったり、声が聞き取りづらかったりでなんともグダグダな飲み会でした。しかし社長は「久しぶりにみんなの顔が見られて楽しかった」とご満悦。定期的にやろう、ということになりました。

リモート飲みハラスメントから逃げるには

現在、私自身も苦しんでいる「リモート飲みハラスメント」ですが、被害に遭わないための方法を考えてみました。

1. 退勤したら即アプリからログアウトする
断る以前に誘わせないという方法です。ステータスを「応答可能」にしていると急な誘いが飛んでくる可能性があるため。

2.突然退出して逃げ切る
翌日「Wi-Fiの接続が切れてしまった」といえばそれ以上責められない(ただし何度もやると怪しまれる)

3.「別のビデオチャットに参加する予定がある」と言う
リモート飲みが流行っているからこそ使える言い訳です。「30分だけなら参加できます」など応用を効かせて使えます。

普通の飲み会と違い、相手の時間を奪っている感覚があまりないリモート飲み。上司のみなさん、良かれと思ってあまり乱発されないよう、お気をつけください。

1991年生まれ。芸能・出版などマスコミ業界で働く会社員。リアルなミレニアル世代として、女性特有のモヤモヤや働き方などを主なテーマに記事を執筆中。
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