「人妻」名乗れたら楽になる?肩書という呪縛を解く方法【肩書座談会(下)】
自分の身の丈に合った肩書とは何か
ミキ: 園子さんと同じ歳だった28歳のころと今では気持ちが違うなと思いました。当時は「もっともっと」という上昇志向もあったけど、今は頑張るよりも身の丈に合った心地良さのほうがいい。はっきり言って、もう頑張るの疲れちゃった。
園子: 自分がどこで収まるのが一番しっくりくるのかわからなくないですか。私も1社目はあまりにも会社の看板がでかすぎるなと思いましたけど。会社名と仕事されている感じで、別に私じゃなくていいよなと。じゃあどれくらいが丁度いいのかは正直わからない。
ミキ: 私もわからないけど、肩書だけを求めるのはやめた。たとえばマッキンゼーに勤めてる人にコンプレックスがあるときは肩書を求めてたんだろうけど、私はぜったいそこで働けないし、そこに入社するために頑張るのは私のハッピーではないと思う。自分が何かをやりたいと思ったときに利用できるくらいの肩書があればいいのかなって感じ。
園子: 私も華やかな誰でも知ってる会社にあこがれるけど、誰も知らない会社でも今やっていることは間違ってないという自覚は持てています。モヤモヤしてもたまに別のところで自己肯定感のバランスをとっていけばいいのかな。
「東京生まれ」がうらやましくてたまらない
園子: そういうわけで仕事へのコンプレックスは折り合いつけてこられたんですが、自分の中で消化しきれないコンプレックスが「田舎生まれ」。地元がすごい田舎で、東京生まれ東京育ちが学校帰りに竹下通りでクレープ食べてたとか聞くと爆発します。
カナ: 私は逆です。東京ではそれが普通のなかで、地方からでてくるハングリー精神をもっているのがうらやましい。ここから脱したい、目指す道に行くんだというバネみたいな行動意欲は、今の私にはもう持てないものだから。
園子: 私からしたらマイナスをゼロにするために頑張ってるだけで、最初から持ってる人にはかなわないという断絶を感じる。
カナ: ちょっと違うかもしれないけど、他の人が私の目指す所にいるのが気に入らないことはある。「自分の方ができる」と、どっかで思っているんだろうな。追いつけると思ってるけど、証明する肩書がないと心配。
園子: 頭の中では競っても仕方ないと理解してるけど、もやもやしちゃうんですね。たとえば誰に嫉妬します?
カナ: SHOWROOMの前田裕二社長とか、同世代なのに成功していて悔しくなります。
園子&ミキ: 理想高っ(笑)!
お付き合いする人の肩書には自分にないものを求める
園子: 突然ですがお付き合いする人の肩書って気にしますか?
カナ: 私、前職が人材紹介系のベンチャーだったんですけど、顧客の20代の男の子で「婚約してる彼女や親御さんを安心させるために有名な企業に入りたいです」という子はいましたね。いまどきマジでそういう人いるのかと驚いた。
園子: 恋愛市場で肩書は想像以上に大きいです。私も街コンとか行くんですが、あの場での15秒の自己紹介で、名の通った企業とかの肩書は強いですよ。
カナ: 私はいま自分がいる大手企業もいけてないと思ってるし、とりあえず大手入りました、みたいな肩書では相手に魅力感じないな。ベンチャー起業しました、とかだとうおーってなるけど。
ミキ: まあ年収いくらですか、と聞けないから会社名から想像するしかないとこあるよね
園子: ミキさんは男性の学歴気にしますか?
ミキ: 私は東大生とつきあったことない。元旦那も大学とか行ってないし。そういう自分を演出したいのもあるかな。私こだわらないよ、みたいな。お金は稼いでてほしいけど、それって学歴と関係ないからね。
カナ: 私だったら、あまりに学歴とかが違うと「やっぱ話合わないわ、こっから説明しないとわかんないか」とか思っちゃうな。
園子: 気にする尺度が人それぞれですね。私はおしゃれっぽい職業によわい。ウェブデザイナーとか、横文字の。田舎にない職業を求めてるのかも。
ミキ: 自分にないもの、自分に欠けてるものを求めてるのかも。
既婚という肩書は次のステージに行くための「バッジ」
園子: 皆さん、いま一番欲しい肩書ってなんですか?
カナ: 「人妻」ですね
園子: 私も一緒!結婚することで「結婚はまだ?いい人いないの」みたいな話題の次にいけるのかなと。ミキさんは経験者としてどうですか?
ミキ: 私はもう結婚するしないはどうでもよくて、子どもがほしい。タイムリミットが迫ってるから。肩書というよりは、単純に子ども育ててみたいから、ということだけど。
カナ: 結婚したから幸せじゃない、というのは分かってるんですけど、次のステージにいくにはクリアして”既婚者”のバッジつけないと先の世界は見えないのかなと思います。
ミキ: 日本では結婚・出産してないとメチャクチャ同情される。バッジがどうこうってより日本では結婚・出産しないと「可哀想な人」扱いを受ける気がします。
園子: 結婚しないことも自分は納得して選んでるけど、周りを黙らせるために「既婚」の肩書を手に入れたいんだよね
ミキ: でもそれは周りがバカなんじゃない。
園子: そこを気にする自分を捨てきれない。言ってみれば会社員してるのも盛大なバッジ。沖縄で1年くらいふらふらしたいと思うけど、なんか理由がないと周りが納得しない。沖縄で就職したら黙るんですよね、きっと。外野を黙らせたいのかな。
自分の思想の代弁を肩書に頼るからミスマッチが起こる
園子: 思ったんですが、例えば私が「結婚の概念を覆すプランナー」という肩書を名乗ったら、身をもって結婚する必要はなくなりますよね。極端な例えですけど。自分の志向、こだわりを肩書にしたいのかも。でも普通に生活するには「結婚の概念を覆すプランナー」みたいなのは突飛すぎて名乗れない。だから人に言える会社名という肩書にこだわっちゃうってことかな。
ミキ: 私もベンチャーにこだわるのはだからかも。東大生だけど、大企業ばっかり見てるわけじゃないですよ、安定志向じゃないですよ、みたいな。
カナ: 自分の推したいポイントと、周囲が見るポイントが違うのかなと。推したいポイントを勝手に名乗れば良いのかな。
園子: こだわりある部分はみんな違うのに、名乗れるのが会社名くらいだからいけないんじゃないですか。自分のしたい自己紹介ができてない。それが「社名」とか「学歴」とか広く使われている肩書の問題なのかな、と思いました。
対談を終えて、それぞれの「肩書」への想いに変化
ミキ: 今日話してみて、自分の気持ちにフタしがちだったけど、「看板で判断されたくない」「みくびられたくない」という気持ちが自分にあったなと気がつきました。
カナ: 周りの目が気になるというのは皆さん共通だったけど、お互いそんなに過敏に気にしなくていいのかもね、と思いました。もう少し、自分はこういうコンセプターですと自己紹介で言えたら楽なのかなと。
園子: 結局自分に自信がないから、既存の肩書にアレコレくっつけて、ちょっとでも自信を持ちたいんだろうなと。しっくりくる肩書を一つ手に入れるより、今ある複数の肩書の良いところを集めて使ったりして、自分のマインドと人からの見られ方を寄せていくといいのかな、と思いました。
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