Ruru Ruriko「ピンク」27

ルッキズムから抜け出したい

ちょっとモヤモヤした気持ちになったとき、読んでみてください。いい意味で、心がザワザワするフォト&エッセイ。今回は、「外見至上主義」いわゆるルッキズムについて。

●Ruru Ruriko「ピンク」27

「あの子のような見た目だったら、私ももっとハッピーだったろう」

以前にも書いたことがありますが、私は子供時代自分の見た目が大嫌いでした。

今も「自信満々!自分の顔大好き!」というほどではないけれど、以前よりは自分の顔に興味がなくなりました。

とは言え、世の中にはルッキズム(身体的に魅力がある人が上、価値があるというような考え方)が溢れています。日本ももちろん同様で、私もそんな社会で育ったのでそう簡単にその価値観から抜け出すことは出来ません。自分の見た目はさほど気にならなくなりましたが、容姿が整っている人を見るとやっぱり心底羨ましいと思ってしまうことがあります。

「あの子のような見た目だったら、私ももっとハッピーだったろう」

思いたくなくてもついそう思ってしまうのです。

映画 ”アイ・フィール・プリティ” の中で主人公のレネーが、偶然知り合った容姿端麗な女性に

”I’ve always wondered what it feels like to be just undeniably pretty”
(誰がどうみても美人でいるってどんな気分なのかなっていつも思ってたの)

と声をかけるシーンに、「うわ〜わかる〜……」と思ってしまいました。

ルッキズムに縛られている自分

「見た目より中身が大切」。そんなことは勿論わかってる。実際に、見た目や体型、肌の色は様々だけど本当に内側から輝いている友人は沢山いるし、そんな人たちはとても美しい。

それでも、自分のこととなると、もしモデルさんのようにいわゆる容姿が整っていたら、私の子供時代は全く違っただろうし見た目に悩むことも、今も人を羨むこともなかったのではないだろうか、とつい思ってしまいます。そして、あー自分はまだルッキズムに縛られているなと感じます。

大人になった今では、自分を美しいと受け入れるのに他人やメディアからの尺度を気にしなくなったけれど、子供の私にはそれが全てのように感じていました。

今は二重の私ですが、高校生くらいまでは一重でした。成長過程で二重になりましたが、当時は本当に一重なのが嫌で嫌で仕方なく、アイプチをしてみたりつけまつげをしてみたり、アイラインを濃くしたりとにかく目を大きく見せようと頑張っていました。

当時読んでいたファッション誌には一重のモデルはいなかったし、一重向けメイクの企画に出てくる人も二重や奥二重で、全然参考にならない。「結局モデル(可愛い人)は二重じゃん!」とTVに出ている「美しい」とされる人々からは程遠い自分を見ては落ち込む日々。
高校生になり短期留学で行ったイギリスで初めて他人から「美しい」と言われた時は衝撃を受け、とっても嬉しくなったのを覚えています。

ドラマや映画の世界でも、以前よりは様々な見た目や体型の人物が増え、昔よりは良くなっていると感じます。だんだんと、日本でも一重の人気女優さんが出てきたり、KPOP歌手にも一重の人も増えてきました。

私が自分の見た目を大嫌いだと思っていたように他の人やこれからの子供たちに、彼らの見た目や体について自己嫌悪を抱いて欲しくありません。

それには私たち大人が、他人を、私たち自身を見た目で判断しないようにするのが大事ではないでしょうか。子供は敏感なので大人の小さな一言にも影響を受けやすいですから。

自分のことを綺麗だと言うまで、くすぐりをやめなかったママ

私がフランスで一緒に住んでいたホストシスター(10歳)がある時、「私の足は全然綺麗じゃない」と言ったら、彼女のお母さんは「何言ってるの!綺麗よ!綺麗って言うまでやめない!」と言って彼女をくすぐり始め、結局ホストシスターは笑いなが降参して「ママやめて!私の足はとっても綺麗!わかったから!」と言っていて、すごく良いなあと思いました。

日本は他人の容姿にコメントすることが容認されがちな文化のように感じます。以前「痩せたねの魔法」という記事でも書いたように、容姿を褒めることは良いことだ、とされているように思います。

しかし、褒めているつもりでも、時に自分の美の価値観を相手に押し付けているだけになる事もあります。たとえば、痩せた=綺麗になったという考え方などは、私は間違っていると思います。
また、これは私の経験ですが、複数の子供の中で特定の子だけ、とか、自分以外の子だけが容姿を褒められると、私のように褒められなかった子供は、自分は可愛くないんだと強く思ってしまい、その記憶はずっと残り続けます。

ルッキズムから抜け出すことはとても難しいと感じていますが、せめて自分は他人にルッキズム的なコメントをしないようにしたいです。そして、いつか私自身もそこから抜け出せたら良いなと思っています。

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18歳の時にイギリスへ留学、4年半過ごす。大学時代にファッション、ファインアート、写真を学ぶ中でフェミニズムと出会い、日常で気になった、女の子として生きることなどの疑問についてSNSで書くようになる。
キレイの定義