Ruru Ruriko「ピンク」26

アフターピルがあっても不安だったあの日

ちょっとモヤモヤした気持ちになったとき、読んでみてください。いい意味で、心がザワザワするフォト&エッセイ。今回は、海外で利用したアフターピルのお話です。

避妊に失敗してしまった時などの緊急用として使われるアフターピル。

コンドームが破れてしまった、普段のピルを飲み忘れてしまった、合意のない性行為を強要された、といった時に使用できるとっても便利でコンドームなど他の避妊法と同様に知られておくべき大切なアイテムです。

避妊に失敗 / 避妊しなかったセックスの後で妊娠を望まない場合は、72時間以内にアフターピルを飲めば80%の確率で避妊でき、ピルを飲むのが早ければ早いほど避妊率は上がります。

そんなとっても便利だけど、72時間以内に飲まなければならないアフターピルは日本では婦人科や産婦人科などの病院で処方してもらう必要があります。
アフターピル体験者からするとこれはちょっとめんどくさいし、時間かかるし、まず産婦人科に行ったことのない中学生や高校生には負担が大きいと思います。

イギリスでアフターピルを服用した

私がアフターピルを服用したのはイギリスに留学していた時。
イギリスでは薬局のカウンターで購入が可能です。薬局カウンターでアフターピルを買いたいと伝えると、カウンターの横にある小さな部屋に通され、私は相手の男性と一緒に買いに行ったので2人の関係(ちなみに「付き合ってません」と言いましたが、返事はオッケーだけでジャッジされているような雰囲気ではありませんでした。)、何時間前に避妊に失敗したのか、アフターピルは初めてかなどについて質問されます。回答に合わせて丁寧にアフターピルの服用の仕方、副作用についてなどを説明してもらい、質問があれば聞くことも可能です。

避妊に失敗したのは初めてだったので、薬局に行く前はとても不安だったし居心地の悪い気分でしたが、実際に行ったらとても丁寧で、雰囲気もよく、そこで話しただけでも随分気分が楽になったことを覚えています。

私がアフターピルについて知ったのはいつのことだろう?
大学生になってなんとなく周りの友達を通じて知ったような記憶があります。なのでアフターピルを服用しなければならなかった時にはちゃんと知識がありました。

しかし、それでも避妊に失敗した時はすごく、とっても、不安だったと、今でもはっきり思い出せます。私は運よく、一緒に住んでいたハウスメイトのうちの2人がアフターピル経験者だったこともあり、彼女たちと話すことでも気持ちが少し和らいだけれど、アフターピルについての知識がなく、また周りにも相談できないような状況の女の子も沢山いると思います。

日本の現状は?このままでいいのか?

今はネットがあるから、中学生や高校生でも調べたり、自分で病院に行ったりする子もいるでしょうが、まず婦人科や産婦人科にその世代の子が1人で行くのはかなりハードルが高いです。また、イギリスは薬局では3000円ほどで購入できるアフターピルですが、日本で処方されるものは種類によっては2万円近くするものもあります。これは社会人の私でも高いって思う……。

「だったらむやみにセックス なんてするな」「薬も買えないような子供はするな」という意見も出ると思いますが、するなと言ってもする子はするし、押し付けたり怖がらせても良いセックスには繋がっていきません。そして、レイプされた子達はただでさえ傷ついているのに、そこに妊娠の可能性もあったら本当に心が壊れてしまうくらい不安だと思います。

私はアフターピルの副作用なのか、服用してもやはり不安だったのかわかりませんが、アフターピル服用後数日は精神的にかなり不安定になってしまい、家で大泣きしてしまいました。そんな私に暖かい紅茶を淹れてくれたり、パウンドショコラを買ってきてくれたり、一緒にただ座って話を聞いてくれたりしたハウスメイトの女の子たちには本当に感謝しています。

日本にはまだ性に関することがタブー視されている風潮があって、若い子が産婦人科や婦人科に行くのもだらしないと言われてしまうような現実があります。でもそうやって隠したり抑圧するのではなく、予防策や解決策を知っていく、教えていくほうが結果的に子供や私たち自身を守っていけるのではないでしょうか?

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18歳の時にイギリスへ留学、4年半過ごす。大学時代にファッション、ファインアート、写真を学ぶ中でフェミニズムと出会い、日常で気になった、女の子として生きることなどの疑問についてSNSで書くようになる。