イガリシノブさん「メイクも断捨離しないと、次のステップに行けない」
●キレイの定義
いまは誰でもメイクがうまく見える時代
――イガリさんから見て、今の時代のメイクのトレンドってどうですか。
イガリシノブさん(以下、イガリ): いま私は、39歳です。私がメイクに興味を持ち出した女子高生の頃は、特に安室(奈美恵)ちゃんがスターで、いわゆる「ギャル世代」。細い、ガリガリなのがいいとされていて、メイクも白を使ったりとけっこう難しいトレンドだったなと思います。
それに対して、今の子たちはみんな健康的にふっくらしている人が多いですよね。特に赤リップが流行りだしてからは、リップを赤にしておけば、ぶっちゃけアイメイクとかはあまりしなくても「今っぽい顔」に見えるようになった。だれでも簡単に、メイクが上手く見える時代だなと感じています。
そんな中でも、ピンクを使ったメイクが今のトレンドになっているんじゃないかなと思います。ピンクはピンクでも、ちょっとくすんだ感じのピンク。くすみピンクを取り入れるだけで、おしゃれになれますよ。
メイクを「断捨離」して、新しい顔を手に入れて
――女子の中には「このメイクでいいのかな?」と思いながらメイクをしている人も少なからずいると思います。おしゃれ顔、トレンドを取り入れるコツを教えてください。
イガリ: 服は毎年買い足していくのに、メイクを更新していない人が多いような気がします。「ロングセラー」と言われるような商品は聞こえはいいけど、顔を古くしている原因にもなっています。それを捨てないと、次のステップには上がれません。
メイクにも断捨離が必要。一度メイクボックスの中を見て、長期間使っているコスメがないか?というのをチェックしてみてください。どんなにハイブランドのコスメでも、期限が過ぎてしまったら思い切って捨ててください。
古いコスメは油が酸化して品質が劣化してくるし、発色も購入当時とは変わってしまいます。思い出のものを、観賞用として取っておくのはいいですけど……それ以外はダメです!古いコスメを使ったら、古い顔になってしまいます。逆に、新しいコスメを使えば自然と新しい顔になれますよ。
――なるほど……。たしかに、メイクボックスの中ってなかなか変えないかもしれないですね。
イガリ: そうなんですよ。あとは、昔覚えたテクニックをずっと使っている人が多いです。昭和の時代がすごく長かったので、その間に確立された「昭和理論」みたいなものが、まだまだはびこっています。例えばTゾーンにハイライトを入れるとか。時代はどんどん変わっているのに、古い顔をしていたらもったいないですよ。
今、私がプロデュースしている「WHOMEE」というブランドは、教科書のようにつくっているんです。アイテムを買って、使えばそれだけで今っぽい顔になれる。そうやって正しいメイクのやり方を覚えていってほしい、と考えてるんです。
――とはいえ、細眉を太眉にするとか、最初は違和感が半端ないですよね。
イガリ: それはもう、慣れです!新しい自分の顔に慣れてください。
――街の人を見ていて、具体的に「ここが気になる!」っていうメイクの仕方、ありますか。
イガリ: チークが白っぽいピンクの人がまだまだいますよね。10年以上前に流行った色なんですが、いまだにそれを引きずっている人がいるな、と見ていて思います。どうしても頭に「チークはピンク」というのが植え付けられてしまっているんだと思うんですが……。
ぶりっ子っぽいピンクは、今は時代からずれちゃってます。あとは、チークをラインで入れている人。ブラシを横に動かして入れるのは古いやり方です。
――げっ!それやってるかもです。
イガリ: だめだめ!チークはブラシに取ったら、ほっぺに置く感じでふわっと乗せてください。
「ババア」なんて口が裂けても言っちゃダメ!
――美容の仕事をしていると、どうしても「年齢」と向き合うことにもなるかと思うんですが。
イガリ: そうですね。私はいまアラフォーですが、だからこそ40代でももっとメイクを楽しめるよ!っていうことを伝えていきたいと思っています。いま20代の子たちだって、絶対に40代になるでしょ。
いまの40代が楽しんでなきゃ、その子たちも年をとることに対してネガティブになっちゃうと思うから。年齢関係なくメイクで楽しめる、変われる、ってまだまだ伝えていきたいです。
たまに30代、40代で自分のこと「ババア」とか「おばさん」とか言う人いるでしょ!?あれ、すごく嫌いなんです。「ババア」って言ったらババアになっちゃうんだよ!私はそんなつもりないから、一緒にしないでくれない?っていう(笑)。
目指すは60代になってもきれいな人です。年齢を重ねてるからこその美しさがにじみ出てる、おちゃめな人になりたいですね。
取材・撮影協力:アロハテーブル中目黒
- ●イガリシノブさん プロフィール
Hair & Make up Artist [BEAUTRIUM] ファッション誌等に複数連載を持ち、雑誌・広告などのヘアメイクを手掛ける他、オリジナルコスメ「WHOMEE」の化粧品開発ディレクターや、「BEAUTRIUM ACADEMY」メイク講師としても幅広く活動する。2015年『イガリメイク、しちゃう?』(宝島社)を出版。2018年『裏イガリメイク、はいどうぞ』(宝島社)を出版し、宝島社イガリメイクシリーズ累計13万部を突破。似合わせのテクニックやユニークな発想で、おしゃれ顔をつくる達人。独自の発想とテクニックで提案するメイクアップは、国内のみならずアジアでもブームを巻き起こし、多くの女優・モデルから支持される人気アーティスト。
イガリシノブ・著
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