キレイの定義

イガリシノブさん「メイクは自分のマインドを上げてくれる手段」

複数の雑誌に連載を持つ、ヘア&メイクアップアーティストのイガリシノブさん。彼女の提案するメイクは「イガリメイク」と呼ばれ、女子を可愛くする!と多くの女優・モデルからもひっぱりだこです。前編では、メイクに対する「向き合い方」について聞いてみました。

●キレイの定義

「かわいくしたい」という気持ちを信じてくれる人が増えた

もともとファッションが大好きで、アパレルの道に進みたかったというイガリさん。しかしほこりアレルギーのため、服に囲まれる仕事は難しいだろう、と考えてヘアメイクの道に進みます。25歳でヘアメイクとしてデビュー、ピンクや赤を使った「女子がかわいくなれる」メイクを提案し続けています。

   *   *   *

――イガリさんのつくるメイクの世界観は「イガリメイク」と呼ばれて、時代の最先端のように言われています。どうやって最新のトレンドを作り出しているんでしょうか?

イガリシノブさん(以下、イガリ): トレンドをつかむ、といっても特別なことは全然していないですよ。情報源は、「目にするものすべて」という感じです。街を歩いていて女の子たちを見て、あ、こういう感じがいいな、かわいいな、ってインスピレーションをもらえることもあります。

あとなぜか電車に乗らないと思われてるみたいですけど、全然乗ります、電車(笑)。車内でもずっと人間観察をしています。

取材に応じたイガリシノブさん

その時代を象徴するメイクって、一つしかないんです。90年台だったら細眉に白シャドウ、00年代はマスカラパッチリアイメイク、みたいに。だから、「トレンドをつくる」ってすごく難しいし、自分で「つくっている」つもりもない。でもずっと「女の子をかわいくしたい」って思ってメイクをして、伝え続けてきて、私を信じてくれる女の子がすごく増えたなっていうのは感じています。

地方にメイクショーをしに行くようになって、「イガリさんの本を読んで、メイクをする気になれました」って伝えてくれる子とかもいて。発信し続けることで、女の子に勇気を与えてあげられる人になれているのかな、と思います。

メイクをすることで、内面もきれいになれる

――とはいえ女子の中には、メイクは「義務」のように感じている人もいると思うんです。

取材に応じたイガリシノブさん

イガリ: メイクってもはやあたりまえになってきて、「衣食住」じゃなくて「衣食住美」ぐらいになってるんじゃないかなと思うんです。そして、メイクすれば絶対にかわいくなる。自分のマインドをいい方向に持っていってくれる材料でしかないんです。

マインドが上がると、「これをやってみよう」っていう次のステップに行ける。だから、たしかに義務のように感じてしまうかもしれないけど、メイクを「自分を上げるための手段」として見てもらえればいいんじゃないかなと思います。

それから、忙しいからといって「時短」ばかり追い求めて雑にメイクするのはダメ。雑にやるんだったら、いっそメイクしないか、唇に赤リップだけを塗る、というぐらいでいいと思います。

少しでも手間をかけてメイクをしてきれいになったら、その分内面もきれいになれるから。顔を雑に扱うっていうことは、内面も乱れていることの証かなと思います。メイクをするのが「めんどくさい」と思っても口に出しちゃダメ。それって、自分を扱うのが「めんどくさい」につながっちゃうことなんです。

自分が欠点だと思うところこそ、チャームポイント

――telling,読者の中には、「どうせ私なんて」と自分をなかなか認められない人もいます。メイクをすることによって、自分を認められるようになると思いますか。

イガリ: これはすごく強調して言いたいことなんですが、「メイクをする=美人、きれいになる」ではないんです。だから「メイクしたってきれいになれないから、どうせ私なんて」って言ってほしくない。メイクは、その人の「その人らしさ」や「おちゃめさ」を強調するものなんです。チャームポイントを強調したりして、個性を出してほしいなと。

取材に応じたイガリシノブさん

――チャームポイントって見つけるの難しくないですか?

イガリ: 自分の顔の中で、一番「ここは嫌だな」って思ってるところを言ってみてください。そこがチャームポイントなんです。自分では「一重だからやだ」「鼻が小さくて嫌だ」と思っているかもしれないけど、他の人から見たらとっても「その人らしい」ポイント。自分らしさを隠さずに、その部分を活かしてメイクをしてみてほしいと思います。きっとコンプレックスだと思っていたところを、すごく好きになれますよ。

*   *   *
後編では、いまのメイクのトレンドと、実際に「今っぽい」顔になるための考え方についてお聞きします。

取材・撮影協力:アロハテーブル中目黒

  • ●イガリシノブさん プロフィール
    Hair & Make up Artist [BEAUTRIUM] ファッション誌等に複数連載を持ち、雑誌・広告などのヘアメイクを手掛ける他、オリジナルコスメ「WHOMEE」の化粧品開発ディレクターや、「BEAUTRIUM ACADEMY」メイク講師としても幅広く活動する。2015年『イガリメイク、しちゃう?』(宝島社)を出版。2018年『裏イガリメイク、はいどうぞ』(宝島社)を出版し、宝島社イガリメイクシリーズ累計13万部を突破。似合わせのテクニックやユニークな発想で、おしゃれ顔をつくる達人。独自の発想とテクニックで提案するメイクアップは、国内のみならずアジアでもブームを巻き起こし、多くの女優・モデルから支持される人気アーティスト。

裏イガリメイク、はいどうぞ

イガリシノブ・著 宝島社

朝日新聞バーティカルメディアの編集者。撮影、分析などにも携わるなんでも屋。横浜DeNAベイスターズファン。旅行が大好物で、日本縦断2回、世界一周2回経験あり。特に好きな場所は横浜、沖縄、ハワイ、軽井沢。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。
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