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縛られずに働く

安藤美冬さん「人のことは気にしすぎないで、もっと自分に矢印を向けて」

組織に属さず個人で働くフリーランスの先駆者的存在である安藤美冬さん(39)。大手出版社を退社後、TwitterやブログなどSNSで発信をしながら、執筆活動や海外取材など様々な仕事を経験してきました。彼女の考える「これからの生き方」や、新しいお仕事とは?お話を伺いました。

●縛られずに働く

仕事が好きだったからこそ、次のステップに行けた

——「本が好きだから、本に関わる仕事がしたい」という思いで入社なさった出版社で仕事も充実していたそうですが、なぜ辞めるという選択をしたのですか。

会社ではとてもやりがいのある仕事も任せてもらえて、仕事は大好きでした。だけど、あと1年で20代が終わるタイミングで「会社でやりたいことではなく、私個人としてやりたいことはなんだろう」と考えたんです。「一度きりの人生だから、先の見えないチャレンジに身を投じたい」と夢と希望を持って退職を決断しました。

――「会社を辞めてこれがしたい」ということがあったんでしょうか。

私は好きなこともやりたいこともありすぎて、一つに絞れないことが昔からコンプレックスでした。書くことも好き、話すこともやってみたい。イベントの企画や大学で教えること、海外での取材活動も。やってみたいことがたくさんあるのが「私らしさ」なんだということを受け入れて、「やりたいと思ったことをやりたいときに、自分ひとりでも、人を巻き込んででもやってみよう」と思ったんです。

いろんな仕事を組み合わせて、もっとたくさんのことを

そうはいってもフリーランスになって具体的に次の仕事があったわけではなかったので、半年ぐらいは仕事も収入源もなく……。当時はひたすら、SNSについて研究していました。発信のテーマや一日の投稿数などを分析して、発信を始めました。すぐに収入に結びつくわけではなく、見かねた友達がホームページのリニューアルのディレクションを依頼してくれたのが、フリーとしての最初の仕事です。その仕事を喜んでもらえたことがきっかけで、また次の仕事に繋がりました。

少しずつお仕事が増えて、同時に様々な仕事を請け負うようになりました。Webサイトの制作ディレクション、ガイドブックの取材や執筆、SNSのアカウント運営へアドバイス……、仕事を組み合わせれば、1つだけやるよりも幅が広がるし、発見がある。私は、たくさんの人と関わりを持って、様々な世界に飛び込む働き方のほうがしっくりくる。なんだか肩の力が抜けて、すごく楽しくなりました。

いろんなお仕事を受けているうちに、究極的にはパソコンとスマホがあればどこでも仕事ができると思うように。「好きな場所を旅しながら、好きな人と好きなことをやりたい」と、私ならではの働き方ができあがってきたのです。

――その間に、心境の変化はありましたか。

独立して7年ほど経ったときに、自分の世界観が大きく変わる出来事があったんです。20171月、ちょうどトランプ大統領就任式の時期。新刊のための対談で、共著者であるアメリカ人の方に会いに、ロサンゼルスに1週間ほど滞在していました。このときに「時代の転換期をいま生きているんだ」と実感したんです。対談をまとめた本が発売されたときも今までにない充実感がありました。時代の節目に、読者の方たちにいい本を届けられたという思いと、私個人が新しい局面に向かっていくような気持ちです。

誤解を恐れずに言えば、その時、私はこれまで自分が持っていた世界に興味がなくなっちゃったんです。だから頂いていた仕事や連載も一旦全部終了して自分をゼロにして、その心境や状況に身を任せてみよう、と思いました。

自分の気持ちに身を任せる

――リセットすることに、怖さはなかったのでしょうか。

もちろんありました。周りにも、「せっかく頑張ってきたのに、もったいない」と言われましたし、何よりも仕事とともに収入もなくなるのが怖かったです。でも自分に言い聞かせたのは、「新しい自分として、新しい世界に飛び込むチャンスなんだ」ってこと。このときに「仕事をしなくちゃいけない」「何か目標を持たなくてはいけない」という「やる気」ではなく、自然に動かされるような行動をとりたくなるその時まで、辛抱強く、自分の内側に矢印を向けていくことにしたんです。

一旦リセットして、少しゆっくりした時間を過ごしてみると、「モチベーション」「やる気」というもの自体、とても不自然な気がしてきました。「やるぞ」って自分を鼓舞して何かするのは鼓舞しなければ動く気になれないという本音があるんですよね。「なぜ人は動くのか」ということが気になり、心理学の学校に通ったり、日常でも意識して暮らしてみました。そこでわかったのが、人は直感、ひらめきで動くんだということ。

モチベーションではなく、インスピレーション

――インスピレーション、ということでしょうか。

そう、インスピレーション。ひらめきが降りてくると、動きたくてしかたがなくなる瞬間が何度も訪れることに気づいたのです。それからは何事においてもひらめきを待って動くようになりました。自分の内側に関心を向けて、いま何を感じて何をやりたいのか。「自分の本音」を一番大事にするんです。これまではSNSを見たり、人と会っていてもついついその人たちの動向が気になって、外側に関心のほとんどを使っていました。それを意識的に外的な情報を遮断して「自分はどうなのか、どうしたいのか」に意識を集中させたんです。すると、あるときインスピレーションが降りてくるようになりました。

――いま新しいお仕事は何をなさっているのですか?

いくつかあるのですが、ひとつは「海外で講演会を開催する」プロジェクト。私は登壇する側ではなく主催者側です。素晴らしい才能をもつ日本の作家やスポーツ選手、起業家たちをまずはアジアにお連れして、現地の人たちに向けて講演会をしていきます。

講演会ではテーマを「生きがい」にしようと思っています。特に、まだまだ職業選択の自由や生き方に多様性の乏しいアジアの女性たちに向けて、「自分の夢ってなんだろう」「生きがいを持つにはどうしたらいいんだろう」と考えるきっかけを持ってもらえたら嬉しいです。

もっと、自分に矢印を向けて

――次の展開、楽しみにしています。telling,読者には安藤さんのように自由に生きたいけれどできない、と思っている人も多いと思います。なにかアドバイスはありますでしょうか。

今こそもっと、自分自身に矢印を向けてほしいと思います。皆さんがもつ「望み」に対して、行動の「源泉」となるものをひとつひとつ確認してほしいです。行動の「源泉」が不安から来るものなのか、楽しさから来るものなのか。たとえば「新しい仕事がしたい」という望みについて自分の内面を探ると、チャレンジというポジティブな動機ではなく、嫌なことを回避したいネガティブな動機かもしれません。どうせなら面白い世界が展開したほうがいいですよね。それには、「源泉」を見つめ直し、ポジティブな動機に「再設定」することが大事だと思います。

自分の軸をつくる作業は、しんどいです。でも自分が信じた世界をもって、他者の評価から自由になって。自分はこれでいいんだと思えることのほうが、ワクワクする生き方になると自信をもって言えます。一つひとつ、これが自分なんだと認めていくこと。まずは「自分自身であることが仕事」なんだよって、皆さんに伝えたいですね。

●安藤美冬さんプロフィール

フリーランサー。慶應義塾大学在学中にアムステルダム大学に交換留学を経験。集英社勤務を経て独立。組織に属さないフリーランスとして、ソーシャルメディアでの発信を駆使した独自のワーク&ライフスタイルを実践し注目を浴びる。書籍や連載の執筆、商品企画、大学講師、コメンテーター、広告&イベント出演など幅広く活動中。著書に『「行動力」の育て方』(SBクリエイティブ)『ビジネスパーソンのためのセブ英語留学』(東洋経済新報社)など。

多様な働き方を応援します

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