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縛られずに働く

「育休プチMBA勉強会」×上原さくら 学び続ける女性は輝きを放つ

育児と仕事の両立に不安を抱える女性が、育休中にも自分を高められる「育休プチMBA勉強会」が話題です。受講チケットは発売後30分で完売する人気ぶり。はたしてこの講座に、女性たちは何を求めて集まるのでしょうか。今回この勉強会を見学に訪れたのはタレントの上原さくらさん。38歳で大学に入学し新たな一歩を踏み出し、社会人の学び直しに関心のあるさくらさんが、主催者、育休中の参加者、復職済みの卒業生に話を聞きました。

●縛られずに働く

性別で自分を低く評価している女性のバイアスを外したい

上原さくら(以下、上原): 本日は「育休プチMBA勉強会」を見学させていただきありがとうございます。今回のテーマは「時間制約をどう克服するかを考える」でしたが、主に取り上げるテーマはどのようなものなのでしょうか?

主催者・小早川優子さん/以下・小早川(主催者): 育休明けに復職した女性が陥りがちなトラブルを想定したケーススタディが多いです。たとえば、復職後もキャリアアップしたいのに、上司とのコミュニケーションがうまくいかず、成長や昇進のチャンスを逃している、というようなケースです。でもそれは、視点や立場を変えると「違った意見」が出てくるんじゃないの?と。自分ひとりで抱え込んでいた悩みを、客観視して冷静に考えるためのテーマ設定をしています。

女性には、性別で自分を低く評価してしまう「ジェンダーバイアス」がかかっている人が多いので、その偏見や思い込みのバイアスを外す作業にはかなり時間をかけていますね。女性の多くはバイアスの被害者だと思っていますが、実は加害者でもある。「女らしさ」にとらわれているのは、女性自身なんです。

(左)上原さくらさん、(右)「育休プチMBA勉強会」を監修している株式会社ワークシフト研究所の小早川優子さん

上原: 子どもの頃にみた絵本や漫画の影響も大きいのでしょうね。

小早川(主催者): そうなんです。37歳ぐらいより上の世代が観たアニメは、男の子の世界に女の子が1人だけ出てくる話が主流でした。でもそれより下の世代は、個性的な女の子が5人出てくる『美少女戦士セーラームーン』の影響が大きいです。中学校で家庭科が必修になったのも1993年からですから、世代間でも差はありますね。

上原: 男性のなかでも、「女性は仕事より家庭」と思っている方は上の世代に多い印象ですね。

小早川(主催者): 企業の研修などで20代の男性社員にアンケートすると、7~8割が育休を取りたいと思っていることがわかりました。若い世代は、男性も育児する責任があると考えているんですね。でも男性は男性社会のバイアスに縛られているので大変だと思います。

上原: 男性に対しても「育休プチMBA勉強会」が必要かもしれないですね。

仕事を頑張る=子育てをないがしろにする ではない

上原: 中島さんは4月に復職予定だそうですが、「育休プチMBA勉強会」に参加されたのは何回目でしょうか?

「育休プチMBA勉強会」参加者の中島典子さん(27)は、今年の4月に金融系企業に復職予定。

中島典子さん/以下・中島(育休中): 2回目です。

上原: 子育てしながら復職することについて、どんなお気持ちですか?

中島(育休中): この勉強会に参加する前は、すごくネガティブに考えていました。私が休んでいる間に、会社の同期や先輩との差が開いてしまうんじゃないか?とか、遅れた分をどうキャッチアップしていけばいいんだろう?と。復職後は子育てを優先して、仕事はできる範囲でやるしかないのかなと、半ばあきらめていたところもありました。でもこの勉強会に参加して、そうじゃないんだ、やりたいことがあれば手を挙げていいんだ、と気づいたんです。

上原: 勉強会でどんな学びがあったのでしょうか?

中島(育休中): 一番大きかったのは、復職後の仕事に対する不安や悩みをアウトプットして、客観的に考えることができたことです。他の方からの新しい視点や考え方を知ることができたのは、非常にありがたかったです。たとえすぐに答えが出なくても、考え続けることが大事だということもわかりました。

上原: 今は、自信を持って復職できると思いますか。

中島(育休中): そうですね。この勉強会での経験が、仕事を頑張ることは子育てをないがしろにすることとイコールではなく、むしろそれぞれでの経験が仕事と子育てへ何倍もプラスに活かしていけると思わせてくれました。復職してからも、仕事でもやりたいことに積極的にチャレンジしていこう!という気持ちになりました。

上原: その気持ち、すごく共感します。応援しています。

社会を変えるより、自分が変わるほうが早くて効果的

上原: 辻さんは、復職されてまもなく3年経つそうですが、お仕事のほうはいかがですか?

素材・日用品メーカーに復職してもうすぐ3年になる辻綾子さん(34)は、「育休プチMBA勉強会」の卒業生。当時はボランティアで運営スタッフをしていました。

辻綾子さん/以下・辻(復職済): 「育休プチMBA勉強会」で思考を鍛えることができたので、復職前より効率良く働けるようになりました。子どもが二人いるのですが、一人目のときは何もかも上手くいかなかったんです。家事育児を抱え込んでしまい夫とはケンカ続き、仕事のこともあきらめがち……。なんで私ばっかり全部やらなきゃいけないの?って、いつもイライラしていました。そういうネガティブな経験をした後に二人目を妊娠したので、ますます不安が増して、早く自分を変えないと崩壊してしまう!と思ったんですね。

それで、仕事と育児を両立するために何かを学びたい、ととにかく焦っていて、臨月のお腹を抱えてこの勉強会に参加したんです。目的意識の高い人が集まっているので、すごく刺激になりました。運営スタッフとしても携わりましたが、会社以外の人とWeb会議を利用してコミュニケーションを取り、勉強会の運営を進めていくのがとても楽しく学びが多かったです。

上原: その後も通い続けたことで、どんな変化がありましたか?

辻(復職済): 学び続けることで自信がついて、自分を励ますことができるようになりました。また、仕事でも家庭でもチームとして動くことを意識し、一人で抱え込まないようになりました。社会が悪い、政府が悪い、会社が悪いと、何かのせいにするのは簡単なんです。でも何かを変えたいなら、自分が変わったほうが一番早くて効果が高い。そのためには学びが必要なんです。辛い状況から抜け出したいならまず自分が変わること。それが一番の近道です。夫やサポートしてくれる皆さんとも、今では育児家事をしっかりシェアできていますよ!

上原: 私もまだまだ学びたいと思います。ありがとうございました!

   

【上原さくらさん・取材後記】
いつも私はインタビューを受ける側ですが、今回インタビュアーという役割をいただき、自分で思った以上に勉強になり、とても素晴らしい時間を過ごさせていただきました。同じ目的意識を持った方たちがこれだけ集まれば、いますぐ皆さんで起業もできるのではないか!?なんて思ってしまったりも。私は38歳から大学に通い、もうすぐ卒業ですが、何歳になっても「学ぶ」ということは人を輝かせてくれるんだな、と実感しています。みなさま、ありがとうございました!

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