ストレスに「いい気がする」、タラとパセリをつかったレシピ
●ツレヅレハナコのカラダにいい気がするレシピ 13
ストレス
「ストレス」なんてテーマを引っ張り出しておいて恐縮だけれど、
わりとストレスを感じにくい人生のような気がしている。
もちろん、イラッときたりムカッときたりすることなら日々しばしば。
それでも、あっという間にそのこと自体を忘れてしまう。
だって人生は短いのだ。気分を害するかたまりみたいなものに、わざわざ貴重な時間を割く暇はない。
とはいえ、人一倍ストレスを感じることがひとつだけある。
それは「飲食店での愛のないオーダー」!
私にストレスをかける最強のセリフは、
「とりあえずビール」「じゃあ、私もそれで」「〇〇でいいや」……。
この三つだと言っても過言ではない。
私が飲食店でメニューを見るさまは、鬼気迫るものがあるとよく言われる。
全ページの隅々までチェックし、今の自分が何を食べたいか、
この店で何を選ぶべきなのか、全集中力をかけて比較検討する。
熟考の上で頼み終わったら、もう一度メニューを開き、ニヤニヤしながら反芻の時間。
ああ、次に来たらこれを食べよう。こっちの組み合わせもありだったな。
そんなことを思いながら、メニューをもとの位置に戻すまでがオーダーなのだ。
思い返せば実家もオーダーに厳しかった。
家族4人での食事で、うっかり人と同じものなど頼もうとすればもう大変。
「そんなつまらない子に育てた覚えはない!」的に怒られる。
社会人になったばかりの頃でさえ、それが当然だと思っていたので、
まったく空気を読まず、取引先との打ち合わせでもメニューを熟読していた。
それがある日、伊丹十三監督の『タンポポ』という映画を観て、
もしや自分は社会人としてあるまじきことをしているのではと衝撃を受けたのだ。
その場面とは、こんな感じだ。
偉そうな会社役員のおじさんたちが、高級フランス料理店での会食に集う。
しかし、全員そんな料理に不慣れなので、
一人が頼んだベタなオーダーに合わせ、「私もそれで」とそろえてやり過ごそうとする。
末席にいたカバン持ちの若いヒラ社員も当然そうだと思わせておいて、
なんと彼はフランス料理に精通した超グルメだった!
フランス語のメニューを読みとき、朗々とマニアックなフルコースのオーダーをする……。
痛快と言えば痛快である。
だが待て。社会人としては微妙すぎなのでは……!(汗)
その翌日から、打ち合わせの席では間髪入れずに「コーヒーください」で済ませ、
ランチの席でもパパッとオーダーを決めるようになった。
今となれば、映画は極端なだけ。その場その場で判断すればよいことなのもわかる。
私の大嫌いな「とりあえずビール」だって、
その人は本当にビールが飲みたいのかもしれないのだ。
そもそも赤の他人のオーダーに、勝手にストレスを感じるというのがおかしい。
相手にすれば、心底大きなお世話でしかない。
でも。それでも。
やはり私は人のオーダーに聞き耳を立てるし、
同席するすべての人にベストなごはんを食べてほしいと願う。
だから、オーダーに愛がないなと思った人には、またつい言ってしまうのだ。
「ねえねえ、本当にそれでいいの?」って!
「タラとじゃがいものにんにくパセリソテー」
不足するとストレスをため込むビタミンC(パセリ)+神経伝達機能神経の興奮を抑えるカルシウム(タラ)の組み合わせ。大きめに切った肉厚のタラとベーコン、じゃがいもをにんにくでカリッと焼き、大量のパセリをまぶします。順番に焼くことで火の通りが均一に。白ワインがすすむ一品!
●材料(2人分)
生だら 2切れ、じゃがいも 1個、厚切りベーコン 1枚、にんにく 1かけ、パセリのみじん切り 大さじ2、塩、こしょう 各少々、小麦粉 適宜、オリーブオイル 大さじ1
1
タラは3等分に切り、塩、こしょうをふって小麦粉をまぶす。じゃがいもは皮付きのまま四つ割りにして、水にぬらしてから耐熱容器に入れ、ラップをかけて4~5分加熱する。ベーコンは1㎝幅に切る。にんにくは皮をむいてつぶす。
2
フライパンにオリーブオイル、にんにくを入れて中火にかけ、香りが出たらベーコンを入れて炒める。ベーコンを一度取り出し、じゃがいもを並べ入れてこんがりと焼いて取り出す。
3
同じフライパンでタラを焼き、ベーコン、じゃがいもを戻し入れる。塩、こしょうをふり、パセリをまぶし入れる。