ハワイ在住時代の思い出を語るモデル・神山まりあさん
神山まりあロングインタビュー02「自然体のひみつ」

神山まりあ「憧れのハワイでの仕事。でも、いじめられて…」

元ミス・ユニバース日本代表であり、現在、雑誌「VERY」をはじめモデルとして活躍している神山まりあさん。いつも自然体な印象の神山さんですが、実はその人生は、周囲の期待に応えようと倒れるほど自分を追い込んだり、海外での仕事で壮絶な孤独感やいじめを経験したりと、波瀾万丈そのもの。そんな神山さんに、自らの半生を語っていただきます。

●神山まりあロングインタビュー「自然体のひみつ」02

 第2回は、大好きな英語を使った仕事をしようとワーキングビザで訪れた憧れの地、ハワイで体験した壮絶な崖っぷち生活について聞きました。

片っ端から国際電話をかけまくって仕事探し

 子どもの頃から、ずっと親や先生の言うことをきちんと守る「優等生」でした。そんな自分を変えたくて、大好きな英語を使って働きたいと思って訪れたのがハワイでした。

 大学は英米文学科でもっと英語が話せたらいいな、英語を使って仕事ができたらいいなと思ったんです。それで大学3年のときにLA(ロサンゼルス)に3カ月間留学しました。そのあと一度、日本に戻ってきたんですが、もう一度アメリカに行きたくて。でも、1回留学させてもらっているし、また学校に通うのもどうかと思って、考えたのがアメリカで働くということだったんです。

 アメリカで働くといっても、何かツテがあるわけでもないから、とりあえず行く場所を決めようと思って、日本人が多いハワイに決めました。ハワイの中でもアラ・モアナ(ハワイ最大のショッピングセンター)にしよう。だったら、モアナにあるお店に片っ端から電話して聞くしかないと思って、国際電話をかけたんです。

telling,記者の取材に応じるモデル・神山まりあさん

 最初はアバクロに電話をしました。当時、ハワイではアバクロが全盛期だったんですよ。でも、結果はバッサリ(笑)。即不採用でした! その次に電話したのはアメリカンイーグル。電話でどんなことを聞かれるのか、予測できるものはすべて答えをノートに書き出し、鏡に向かってひとり、部屋の中で面接の練習をするんですよ。

 私の電話での質疑応答はあまりにも形式ばった答え方だったらしく、採用担当の人から笑われたくらい! 電話で話をしてからレジュメ(履歴書)とカバーレター(レジュメに添える手紙)を送り、スケジュールを決めて、現地で面接。こんな感じの流れでした。

住む家すら決めずにハワイへ。現地に行けば何とかなるかなって

 採用が決まってからハワイに行ったんですが、そのとき実は住む家どころか、その日に泊まるホテルすら予約していなくて。学校の試験に合格するためにはものすごくがんばって計画を立てて勉強したけれど、ホテルなどはその場に行ったらなんとかなるかなって(笑)。私、肝心なところが抜けてるんですよ!

 その後、無事ホテルは見つかりました。そのときちょうど日本人の女の子と出合い、その子も部屋を探していたので、ルームシェアをすることになったんです。その子と一緒に住んだのは3カ月くらいですかね。彼女が日本に戻り、私も別のところに引っ越したんですけれど、とても楽しい3カ月間でした。彼女とは今でも仲良くしてますよ。ハワイでの大変だった3カ月間を一緒に過ごしたこともあり、今でも大切な友人です(笑)

「あいつがいると仕事がまわらない」。仲間外れ、いじめ、笑いものに

 アメリカンイーグルでの仕事は、最初はものすごく大変でした。それまLAでの留学経験もあり、なんとなくは英語でコミュニケーションをとることはできていて、相手の言うことのヒアリングもできました。

イメージ写真

 でも、実際に働くとなったらもう大変! 目の青いアメリカ人が自分に話しかけてくるだけで汗が出ちゃうし、うまく聴き取れないこともあるし。仕事ではウォーキートーキー(携帯型無線機)を使って会話をするのですが、聞き取れないと指示されたことがわからなくて、ちゃんとできなかったり。

 仕事はできないし、会話も通じない。自分の意見も言わない。「あいつがいると仕事がまわらない」っていわれるんですよ。

 まわりのアメリカ人スタッフみんなから笑われて。でも、私自身は内容がわからないからへらへら笑うんですけれど、またそれで爆笑される。「こんなの私の思い描いていた生活と違う! もっと友達をつくりたいし、みんなと仲良くなりたい」って思っていました。

 海外の青春ドラマに出てくるような「ザ・アメリカ!」という感じで、いじめもひどかったです。ロッカーに入れておいたランチを勝手に食べられたり、私物のパーカーを盗まれたり。ランチタイムになると、私以外のメンバーみんなでお昼ご飯を食べに行ってしまう。誰にも頼れない。仕事ができないとクビになるかもしれない。日本に帰っても、大学には休学届を出しているから、かっこ悪くて戻れない。

 崖っぷちでした。

 そんなとき、たまたま寄ったスタバに日本語を話せる店員さんがいたんです。名前はダブ。中年くらいの男性だったんですが、ドリンクを頼むついでに「仕事で使う英語がわからなくて困ってるんです」「『サイズ違いはあるけど倉庫にいかないとわかりません』って、英語でなんていうの?」って聞いてたんです。電子辞書は持っていましたが、複雑な会話は変換できなくて。そんなときは、いつもスタバに行ってダブさんに聞くんです(笑)。

自然体が魅力のモデル・神山まりあさん

 恋愛小説とかだったら、この後2人に恋が芽生えて……なんてことになるのかもしれませんが、そこは現実。とくに何もなく、仲良くしてました(笑)。

 ただ、ダブさんがいたから私のハワイ生活3カ月は乗り切れたところもあるので、彼にはとても感謝してます!

※次回は、「はじめての取っ組み合いのケンカ」についてうかがいます。

  • ●神山まりあさんプロフィール 
  • 2011ミス・ユニバース・ジャパングランプリ。 2015年に結婚、2016年に男児を出産。 雑誌「VERY」をはじめテレビ、ラジオ、イベントなどで活躍。
  • Instagram https://www.instagram.com/mariakamiyama/

                              
明治大学サービス創新研究所客員研究員。ミリオネアとの偶然の出会いをキッカケに、お金と時間、行動について真剣に考え直すことに。オンライン学習講座Schooにて『文章アレルギーのあなたに贈るライティングテクニック』講座を開講中。
フォトグラファー。コミュニティー『ママとベビの撮影会』を主宰。全国で撮影会を行い、家族写真を中心に”カタチノナイモノ”を写している。7年間で5000組以上の親子を撮影