編集部コラム

新年のご挨拶

あけましておめでとうございます。telling,編集長の中釜です。いつも、telling,を読んでくださりありがとうございます。2019年、より一層精進していきます。

あけましておめでとうございます

今日から2019年。
去年のお正月は、数カ月後にスタートするtelling,の準備に、追われていた。

1年前は影もかたちもなかったtelling,が、今こうして存在し、読んでくださる方もどんどん増えてきた。何もないところから、一からつくって、形にし続けてきた1年だった。

「わたし語り」(=ナラティブ)で個人から社会を伝える

せっかくだから、既存のWEBメディアとは違う、新しい価値観をつくろうと思った。それは、「有名無名にかかわらず、”たった1人”の言葉や意見にきちんと光をあてる」ということだ。「telling,」(=あなただけに言うね)というサイト名には、そんな思いをこめている。具体的に言うと、こんな感じだ。

1.「わたし語り」で記事をつくる

記事は、取材したデータ(専門家や事件の当事者の声、調査結果など)で構成してつくられることが多い。でも、誰もが発信できる今、誰かがどこかで言ったような”もっとももらしいこと”はきっと誰の心にも響かない。
だから、脚本のない「わたしの物語」を、ただ伝える。その物語の語り手が有名無名に関わらず、その人の本心をさらけ出した言葉には、いつも世の中を考えるヒントがある。

2.「戦う」「上昇志向」だけを良しとしない

telling,はミレニアル女性(特に25歳~34歳くらいの方)向けのWEBメディアで、ファッションでもエンタメでもなく、①のように女性たちの多様な生き方を伝えているけれど、いわゆる既存の”フェミニズム”とは違うスタンスを取っているつもりだ。
先輩女性たちが、戦って勝ち得てきた功績(女性の社会進出とか、育児休暇の制度拡充とか、男女差別に声を上げてくれたこととか)のおかげで私はこうして働けているし、敬意を表する。でも私自身は、仕事でもプライベートでも、誰かと戦って何かを勝ち得てきていない。

もちろん他の人と意見が対立することはあるけれど、”戦い”の後には必ずどこかに焼け野原ができていて、誰かが傷ついたり敵を生むのではないかと思っている。そして、それはチャーミングじゃない。
だから、戦わずに理解し合える方法をいつも考えているし、上昇することだけが価値だとも思わない。

3.女性が言えなかった「タブー」をポジティブに伝える

telling,で支持されたコンテンツとして、「子どもは、産まなくてもいい」。というメッセージを掲げた記事がある。

特集「子どもを産まない選択」はこちら

他にも、離婚や妊娠に関すること、夫婦問題など、親しい人には言いにくいことを、たくさん取り上げたきた。そうした記事に対して、編集部全員が驚くほど、読者の方から、「私だけじゃないんだと救われた」などの感想が寄せられた。
ミレニアル女性のいろんなモヤモヤの根っこには、「自己肯定感の低さ」があると思っていて、「自分の考え方はおかしいんじゃないか」という人がいたら、「心から、自分のことを好きだ」と思えるような世の中になってほしい。そのために、いろんな考え方や新しい生き方をする人々やモノを、紹介している。

全部、お気に入りじゃなくてもいい。telling,で提示する価値観や情報のどれをよしととするかは、読んでくださる一人一人が決めてくださればいいと思っている。

2019年のtelling,は

編集部では、「とはいえ、女性ならではの生きづらさは、どうしたら消えるのかな」「年齢や結婚や妊娠で、悩まなくなる日ってくるのかな」などとよく話をする。そういう様々なモヤモヤを晴らす「たった一つの輝かしいまだ見ぬ答え」なんて世界中の誰も見つけていないし、きっとこの先も見つからない。

もし、示されても人生つまらない。一人一人、答えは違うし、時とともに変わるから。

今年がどうなるかも、その先の未来も、誰も予測できないのだけれど、今日というこの瞬間を私たちは生きていて、悩みながらも、ちゃんと仕事をして、平穏な日常をつくろうとしている。悩むからこそ、見える希望もある。

だから、telling,は読んでくれる「あなた」が少しだけ笑顔になることを願って、今年も紡いでいこうと思っている。

今年もtelling,をよろしくお願いします。

telling,創刊編集長。鹿児島県出身、2005年朝日新聞社入社。週刊朝日記者/編集者を経て、デジタル本部、新規事業部門「メディアラボ」など。外部Webメディアでの執筆多数。
20~30代の女性の多様な生き方、価値観を伝え、これからの生き方をともに考えるメディアを目指しています。
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