【2018傑作選】婚活をナナメから見る―AIで出会いのカタチが変わる!?
相手探しへの道のりを記録する
AIとビッグデータを使った「えひめ方式」は、2011年から1対1でのマッチングサポート「愛結び」をスタートさせました。単に相手を紹介するだけではありません。自治体の婚活支援、と聞いてちょっと半信半疑だったのですが(失礼……!)、要は、自分がどんな相手と出会いたいのか、を記録 → 分析しているということのよう。
「のべ1万4000人の登録情報」「どんな条件で相手を探したか」「誰に申し込んだか」「何回失敗したか」など、150万件にのぼるデータを蓄積し、ビッグデータを解析することで、2015年にAI婚活サービス「えひめ方式」を開発しました。
ユーザーから見た利用法はいたってシンプル。民間の結婚相談サービスや婚活サイトと同じで、年齢、身長、居住地域など相手に対する希望条件のデータを入力すると条件に合いそうな相手が出てきます。気に入ればお見合いの申し込みに進みますが、当然、断られる場合もあります。
「相手に断られる」ことから、出会いが始まる
えひめ方式がユニークなのは、まず「相手に断られること」が運命の人に出会えるチャンスにつながっているということ。たとえば、女性Aさんが条件検索で見つけた男性Bさんにお見合いを申し込んだけれど、断られたとします。普通なら、ここでAさんは自分のどこが気に入られなかったのか思い悩んでしまいます。しかし、えひめ方式はここから本領を発揮するのです。
一度断られると、男性への好みがAさんと似ている女性たちが過去にお見合いを申し込んだ男性たちや、男性Bさんと女性の好みが似ている別の男性たちがピックアップされてきます。そして、1回の「断られ体験」で、「自分の好みかもしれない男性」と「自分を好むかもしれない男性」を新たに推薦してもらえるのです。しかも、断られれば断られるほど、データが蓄積してマッチングの精度が上がっていきます。
それだけではありません。自分自身がイメージする「条件」だけでは絶対見つけられない素敵な「彼」との運命的な出会いが待っている可能性があるのです。
「まずは相手に会ってみる」ことが成婚への鍵
ビッグデータ活用前は、お見合いを申し込んで受けてもらえる確率はわずか男性6%、女性13%でした。それでも、お見合いをした男女のほぼ半数が交際に発展していました。つまり、いかにしてお見合いにたどり着くかがカギになるということです。
そこで、アルゴリズム研究の専門家に利用者の行動データ分析を依頼したところ、お見合いにたどり着けない男女には共通した特徴があることが発見されました。それは、相手が見つからないのに、検索条件をなかなか変えないということ。そして、何よりも条件検索には意外な盲点も浮かび上がったのです。
たとえば、「30歳以下、身長175cm以上、年収700万円以上」といった条件をつけると、どんなに素敵な男性でも「31歳、身長173cm、年収690万円」の人は選ばれません。条件を変えないと、本当は許せる範囲の男性まで除外してしまっていることに気づかない可能性があるのです。そこを、ビッグデータがうまくフォローしてくれるのです。
ビッグデータの活用によってセンターではお見合いを申し込んで受けてもらえる確率が男女平均で約3割まで上昇しました。AIがオススメする相手に限っていえば「4割近くの人が出会えている」(同センター)というから驚きです。以前なら、相手に断られて傷つくのが怖いからと、申し込みをためらっていた女性も、AIが介在することで「気楽に申し込めるようになった」という意見も。実際、女性からのお見合い申し込み数も上がっているといいます。
ちょっと、目からウロコでした。ITの普及で、相手に望む条件検索の精度が高まれば高まるほど、出会いのチャンスが失われることもある、ということですから。「相手を好き」と思うきっかけは、条件だけではないはず。「結婚したいと思える人」は、意外とすぐそばにいるのかもしれません。
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