Ruru Ruriko「ピンク」18

本当は怖い、「食べる」と「罪悪感」の関係

ちょっとモヤモヤした気持ちになったとき、読んでみてください。いい意味で、心がザワザワするフォト&エッセイ。食べ物をお腹いっぱい食べる時についつい感じてしまう「罪悪感」について考えます。

●Ruru Ruriko「ピンク」18

3時のおやつのチョコレートに、夜遅めのディナーのサイドメニューはたっぷりのフライドポテト、夜に映画を観ながらアイスクリーム。こんな時、食べてしまっている自分に、コントロールできない自分に罪悪感を感じるでしょうか? 本来は私達が生きる源、他者とコミュニケーションとる場所である食事という行為に罪悪感、嫌悪感、そして時には恐怖感を感じてしまう場面は、残念ながら少なくないと思います。

私も以前は食べ物と良い関係を持てていませんでした。女子校に通っていた中高生時代、ダイエットは常に話題に上がっていたし、ダイエットに励むのは当たり前。ティーン向けファッション雑誌にはほぼ毎号ダイエットや美容特集が組まれ、私自身も数々のダイエットに挑戦しましたが毎回失敗。失敗する自分を責めてはストレスで暴食し、更に嫌悪感に堕ちるというサイクルを何度繰り返したことかわかりません。

ロンドンで味わったダイエットからの解放

友人の中には、ダイエットで生理が数カ月止まった子もいました。今考えれば、成長中の子どもの身体にとても悪く危険なことなのに、当時の私は生理が止まった友人を本気で勝者だと感じ、そこまでできない自分はなんてダメでブスでデブなんだろうと自分を責めました。

高校を卒業しロンドンへ留学した1年目は、誰も私を太ってると言わないし、自分自身も以前のように体型を気にしなくなり、ヨーロッパでの新しい生活や食事を存分に楽しみました。それに、映画に出てくるような可愛らしいお菓子が近所のスーパーやカフェで買えたのです!

嬉しくて嬉しくて毎日のように食べていたら、当然ながら1年でだいぶ丸くなりました(でも今写真を見ると可愛かったし楽しかったのでオッケー!)。その後、いったん日本へ帰国すると、多くの人から私の体型についてコメントをされる日々がやって来たのです。帰国後は食生活の変化もあり体重は落ちましたが、やせなきゃという思いはなかなか消えませんでした。

日本に帰った1年間は色々辛いと感じていた時期で、お酒を飲んで暴食し、無理やり口に指を突っ込んで吐く、という行為を何度も繰り返しました。その後またイギリスに戻りましたが、食べて無理やり吐く行為は癖のようなものになっていて、気づけばお酒を飲んでいなくても吐くようになっていました。

自分と同じ症状だったドラマの主人公

しかしある時、「The Skinny」というYouTubeのドラマシリーズを偶然観て、これ私じゃん!と衝撃を受けたのです。主人公のジェシー(主演、ディレクターであるジェシー本人のストーリー)は明るくて、楽しくて体型は普通で、いわゆる「摂食障害」とは縁のなさそうな女の子。でも彼女はブリミア(神経性大食症)という、過食しては何らかのかたち(嘔吐・薬物・下剤)で食べ物を排出しようとする摂食障害を持っています。

ブリミアはあまり知られている摂食障害ではなく、私もドラマを見るまでは聞いたこともありませんでした。ドラマの中でジェシーは母親に自分の問題を話しますが、母親は「あなたは摂食障害なんかじゃない、あなたは美しいし、ハッピーだし、成功してるじゃない!」と彼女を否定します。私もそうですしジェシーもですが、ブリミアは標準体型の人が多いのでぱっと見はわからないことが多いようです。

内側からハッピーになれる食事を

私は実際に病院に行って診断されたわけではないので、自分がブリミアだったのかはわかりません。でも当時は食べても後で吐けばいいんだし、と思って食事をしていたし、吐くことが習慣になっていました。食後に吐くことは少なくなりましたが、今も少しでも食べ過ぎると気持ち悪いと感じ吐いてしまうことがあります。そのせいか分かりませんが胃がとても弱く、逆流性食道炎の症状もあります。

でも、もう食事に対して罪悪感を感じたり、暴食したりはしなくなりました。ここ数年はベジタリアンやビーガンにも興味があり、自分が何を口にしているか考えて食事をするようになりました。良い食事をしていると、体も心も元気になるのが感じられます。体型、見た目だけを気にするのではなくて、内側からハッピーになれるような食事をしていけたらいいなと思っています。

続きの記事<日本人は白人に憧れている?~アジアな自分を好きになる>はこちら

18歳の時にイギリスへ留学、4年半過ごす。大学時代にファッション、ファインアート、写真を学ぶ中でフェミニズムと出会い、日常で気になった、女の子として生きることなどの疑問についてSNSで書くようになる。

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