夫婦の取扱説明書

ツイッタラー5歳(嫁公認アカウント)さん、夫婦の記憶は「テラハ」とともに

夫婦や家族のツイートで人気のツイッタラー・5歳さん。前編では、激しいツンデレの奥様を、変わらず愛し続けられる理由を伺いました。

●夫婦の取扱説明書 02後編

面と向かって話すだけがコミュニケーションじゃない

―いままでで一番の“夫婦の危機”は何ですか?

5歳さん(以下5歳): 長男が生まれたときの産後クライシスですかね……。僕も家事はするようにしていましたが、仕事が忙しくて、子育ては任せきりになってしまっていた。で、嫁が育児ノイローゼみたいになっちゃって。

―どうやって乗り越えたんですか。

5歳: そのときはとにかく急いで義両親に子どもを預け、嫁と二人で出かけました。レンタカーを借りて、山梨の「ほったらかし温泉」に。嫁は追い詰められてオオカミ少女みたいな顔になってたけど、温泉に入って帰るときには、すっかり人の表情に戻ってました。そうやってすぐに対策を打てたからよかったものの、僕の働きが足りてなかったんだなって反省しました。
やっぱり育児は手がかかることだから、ガス抜きの時間がすごく大切なんですよね。一緒にテレビを見るくらいでもいいから、夫婦の時間が必要。逆にそこさえ押さえておけば、夫婦はうまくいくもんじゃないかなって思ってます。

―お子さんが2人に増えたいまも、夫婦の時間はとれていますか?

5歳: どんなに忙しくても「テラスハウス」(以下テラハ)だけは、毎週二人で見てます。僕らが結婚した時期にはじまった番組だから、テラハとともに夫婦の記憶があるんですよ。「聖南さんが1回目に出演したときは、長男もまだ小さかったな~」みたいな(笑)。
なるべくリアルタイムで見たいけど、外出が続いちゃうと「テラハ溜まってるんですけど?」って怒られます。お互いなんとなくもたれ合ったり、ああだこうだ文句を言ったりしながらテレビを見るだけで、充分幸せなんですよね。忙しい毎日でも「火曜日の夜には、嫁と一緒にテラハが見られる」っていうことを楽しみにして暮らせるし。面と向かって「団らんしましょう」という時間だけが、夫婦のコミュニケーションじゃないと思うんです。

転がり続けて角がとれた僕らは、もはや石から砂になった

―子どもが生まれて、夫婦関係で変わったことはありますか?

5歳: 子どもがいなかったら300回は離婚してるかもしれません。それくらい、子どもはかすがい。嫁が僕にキレているとき、子どもが「ママもうやめて」って言ってくれたり、僕が嫁に「いいかげんにしなよ」とか言ってると、走って殴りかかってきたり……僕らがケンカでピンチになったとき、仲直りするきっかけを与えてくれるのが息子たちなんですよね。
だいたい、夫婦ゲンカなんてどうでもいいことばっかりじゃないですか。夫婦の間で決定的なケンカなんてないんですよ。だからこそ「いま僕たちくだらないことしてるな」って気づかせてくれる息子たちがありがたいです。

―夫婦のあいだに、決定的なケンカなんてない、ですかね……?

5歳: だって夫婦は、ケンカしたって結局仲直りするしかない関係でしょう。もちろん、長い付き合いのなかで衝突が減ってきた、っていうのも大きいです。「これやったら怒るだろうな」とか「次のタイミングでキレるはず」とかがお互いにわかってきて、ケンカを未然に防げるようになった。川のなかの石が、上流から下流に転がっていくうちに、角がとれて丸くなっていくのに似ている気がしますね。転がり続けた僕らは、いまもうほとんど砂になりかけてます。いまが一番、夫婦関係も穏やかです。

―結婚して8年目、幸せそうですね。

5歳: 僕はとても満足してますよ。嫁も「変わった夫婦生活だよね~」と言いながら、楽しんでくれてます。結婚した相手がTwitterで13万人もフォロワーを増やして、日常生活が漫画になったり、コラムを書いたりするなんてふつう思わないですよね(笑)。でも、嫁はそういう変わったことを面白がってくれる人だから。

―5歳さんのTwitterを読んでいると、奥様自身もなかなか変わったキャラに見えますよ。

5歳: というか人間って、一緒に生活してみたら、みんなどこかしら変じゃないですか? 何日か過ごすくらいじゃ見えてこないけれど、長く一緒にいれば「じつは変だよね」って発見があるもの。そして、一人の人を知っていくのって、何年やっても足りないからこそ面白いんだと思うんです。これから、僕らがどういうじいさんばあさんになっていくのかなって考えてると、めちゃくちゃ楽しいですもん。80歳とかになっても、嫁と一緒に文句言いながら、テラハを見ていたいですね(笑)。

  • ●5歳さんプロフィール
    アルファツイッタラー。35歳。嫁と息子2人の4人家族。近ごろはライター・コラムニストとしての執筆活動もしている。ツイートが原作になった漫画「ぼくの嫁の乱暴な愛情」(KADOKAWA)発売中。
    Twitter:https://twitter.com/meer_kato
ライター・編集者 1987年の早生まれ。雑誌『走るひと』副編集長など。パーソナルなインタビューが得意。紙やWeb、媒体やクライアントワークを問わず、取材記事やコピーを執筆しています。趣味はバカンス。好きなバンドはBUMP OF CHICKENです。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。
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