ドラマ「獣になれない私たち」に見るパワハラ考察

新垣結衣さん主演「獣になれない私たち」で考える、パワハラの回避策とは?

新垣結衣さんと松田龍平さんW主演で話題のドラマ「獣になれない私たち」。その中で、新垣さん扮する晶は、勤め先の社長に過度なパワハラを受けている描写があります。今回は、新垣さんがパワハラを回避するためにはどんな対策をとったらいいかを、独自のハラスメント対策を提唱する「離婚しないモラハラ対策」のジョーさんに提案してもらいます。

●ドラマ「獣になれない私たち」に見るパワハラ考察

前回は連続ドラマ「獣になれない私たち」第1話で、ガッキーが勤め先の社長からパワハラ被害を受けてしまっている理由を解説しました。
私は、こういうケースを見るたびに、「そんな会社なんか、さっさと辞めればいいのに」と、いつも思いますが、一応、この新垣さんがこの会社で生き残るためのコツを考えてみたいと思います。

【対処法1】「筋金入りのクズ」になる

まず、この社長の下での、王道の生き残り方は、「筋金入りのクズ」になって、のうのうと居座ることです。

この会社の場合、松任谷さん(伊藤沙莉)が素晴らしいお手本になります。

なぜ、松任谷さんが社長からのパワハラ被害に遭わないのかというと、最初から期待されていないからです。

松任谷さんが、どんな人かというと、向上心、責任感が低く、プライドも低く、自分の快適さ重視で、でも、誰に対しても明るく、人に愛されるキャラです。

つまり「明るいクズ」です。

それに対して、社長はなぜか怒りが湧くこともなく、むしろ好意的です。

それどころか社長は、そんな松任谷さんに、仕事をするように説得することもできず、その説得を新垣さんに任せようとするほどです。

つまりこの会社での「快適な働き方」は、松任谷さんがすでに、その実績を作っているのだから、晶(ガッキー)も謙虚にそれを見習って、「明るいクズ」にキャラ替えしていけば、社内で松任谷さんと同じようなポジションを取れるはずです。

まずは、そのキャラを定着させてパワハラがなくなったら、そこから徐々に自分を出していけばいいと思います。

ガッキーは、事あるごとに、自分が営業アシスタントに過ぎないことを主張しています。つまり、会社での向上心はそんなにないはず。
だとしたら、これは彼女にとっては、意外と現実的な戦略になるはずです。

【対処法2】「大物感」を出しエレガントに振る舞う

でも、もし彼女が「私はクズではない!」など、面倒くさい美学を振りかざすのであれば、一応、第2案というのもあります。

それは、【陰の実力者として社長に取り入る】という戦略です。

この場合、彼女自身のキャラを「大物感のあるエレガント」なキャラに替えます。

まず、社長が手を出すのに合わせてコーヒーを差し出すのを止め、置かれている社長のジャケットも放っておきます。頼まれてもいないことを、自主的にやってはいけません。

そして、社内での「小走り」を止めます。二度と車内で素早く動いてはいけません。常にゆったり歩き、急ぐときは歩数を増やすのでは無く、歩幅を大きくします。

そして、誰かから呼ばれた時、決して、ビクッとなって素早く振り返ってはいけません。常に「初動」は緩やかに。

社長の前では、言葉数を減らし、会話のスピードを落とし、できるだけ低い声で話します。
大きく笑わず、常に上品に微笑みます。

反省の気持ちは、「ビクビクした申し訳なさ」では無く、表情だけで「静かな無念さ」を表します。

もし社長が、怒鳴ってきたら、動揺せず、黙って聞き、できるだけ低い声で一言「わかりました(あるいは、すみません)」と、毅然とした(でも敵対的ではない)表情のまま静かに言い、ゆっくりと振り返り、平和的に立ち去ります。

つまり、全体として「いかにも陰の実力者」という、落ち着いた、やや生意気なイメージで、でも会社(社長)の利益につながる存在として、社長に「取り入って行く」わけです。

絶対に、彼に脅威を与えるポジションを取ってはいけません。

このキャラが定着してくると共に、少しずつ社長に対して「NO」を言うようにし、他方で、社長や会社に利益があるような提案を、(クールな物腰で)個人的にするようになると、この社長の、彼女に対する信頼は増すし、「そういうキャラなんだな」と思い始めるはずです。

よく観察すると、この社長は意外と単純な男です。

「会社の業務の遂行がスムースかどうか」だけが、パワハラ行為の基準であり、仕事とは関係ないサディスティックな個人攻撃や破壊欲求は感じません。

正直、この社長からは、極端なプライドの高さも感じません。
節々の表情から、人間っぽさも垣間見えます。

松任谷さんの、やる気のない態度も許しているし、ガッキーが強引に半休を取って帰宅したときも、一切の怒りがありません。
事実、社長がいる時でも、基本的に社内の雰囲気は悪くありません。

つまり、突き詰めるとこの社長は「自分の仕事がスムースに進みさえすれば、他のことには何らこだわらない」というタイプだと思われます。

だとしたら、営業の中では断トツで仕事ができるガッキーは、その仕事ができる部分を残し、現在の「服従的」な態度だけを転換して、社長に脅威を与えない「陰の実力者」という立場で、社長に取り入っていけば、それは社長にとっても何の不都合もない存在なので、徐々に『「NO」を言える右腕』的な存在になることができると思います。

特に、ガッキーの場合、もともと社長の人格に怯えている感じが全くしないので、彼女が持つ「責任感」の基準さえ自分の中で切り替えれば、このキャラ変更自体は、彼女にとっては無理のない解決策になるでしょう。

もちろんこれはフィクションのドラマなので、おそらく今後、現実では有り得ないような展開で、それぞれのキャラクターや人間関係が変化していくと思われますが、一応今回は、私が第1話を見た範囲で「もし、これが現実の人間関係だったら」という前提で解説しました。

  • ●離婚しないモラハラ対策カウンセラー Joeさん プロフィール
    典型的なモラルハラスメントの関係にある両親の元に生まれ、幼少期を過ごす。
    その経験を通して、モラルハラスメントをする人、される人の心理を知り、その後徐々に、周囲の同様の環境にある人たちに、モラハラ対処のアドバイスをするようになる。現在は、世の中の「離婚できない事情のある」モラハラ被害者を対象に、モラルハラスメントの被害を受けないためのメソッドを伝えるため、『離婚しないモラハラ対策カウンセラー』として、個人カウンセリングや各地での講演等の活動をしている。

    ブログ→
    https://ameblo.jp/moraharagekokujo/
パワハラ110番