吉本騒動でも話題、なぜパワハラに遭ってしまうのか?【パワハラ01】

思わぬ形で今、世間を賑わしている「パワハラ」。テレビ画面に向かってなら「あの人、許せないわ」と憤りを感じる人も多いはずですが、いざ自分が被害者になったら……?意外と「自分に問題があるからだろうか」と自らを責める人や、氣持ちはそれほどつらくないのに体に異変が生じたり、うつ病を発症したりするケースも珍しくありません。パワハラは、誰もが行為者(加害者)にも被害者にもなる可能性があると言います。telling,ではこれから数度にわたってパワハラの実情と、原因・対策について考えていきます。初回の今回は、パワハラの被害に遭った方々のリアルな体験談です。

ケース1 仕事ができる人はターゲットになりやすい?

「仕事量が許容範囲を超えていました。もともと多忙な部署だとはいえ、私の仕事量は1人で3人分はあったと思います。新婚旅行でイタリアにいたときでさえ、会社からの連絡が止まらない。Wi-Fi環境を探し、夫を待たせて必死にパソコン作業して……」

元メーカー勤務・人事部の美里さん(30歳)は、直属の上司である課長のパワハラに悩まされていました。

明るくハキハキと話をする美里さんは、高学歴でいわゆる「バリキャリ」。頭の回転が速く、仕事もそつなくこなすタイプです。過剰に課せられた仕事も美里さんならできてしまう。しかし、こなせばこなすほどエスカレートして仕事量は増える一方。あまりのオーバーワークに、簡単な仕事を同僚に振ろうとするも
「末端の仕事ができてこそ一人前!」と叱責され、一人で抱えるしかなかったそうです。仕事ができるがゆえにパワハラのターゲットになってしまうケースでしょう。

美里さんへのパワハラは、過剰な仕事量だけでは治まりませんでした。

SNSで上司が私の悪口を投稿している

「facebookで明らかに私のことだと分かる悪口が書いてありました。
“こんな部下を持ったら困る。その①真面目なフリして融通が利かず頑固、気は強いがミスも多い。その②、その③……と、私の仕事での失敗や課長の意に反したことを羅列していました。しかも“僕も昔は仕事ができなかったので分かるけどね(笑)”と、私は仕事ができない前提でさらしものになっていて」
美里さんと課長は社外の多数の同業者ともSNSで繋がっており、見る人がみれば美里さんのことだとすぐにわかる内容だったといいます。

やがて、美里さんは体に支障をきたしてうつ病を発症してしまいます。在職中にうつ病の診断が下りた場合、退職してすぐに失業手当が入る可能性があると聞き、2カ月間の準備期間を得て退職を決意したのです。

「自分が至らなかったからこんなことになってしまった。自分はダメな人間だと、自分を責めて毎日泣いていましたね。課長からは『せっかく仕事を教えたのに俺の時間が無駄になるだろ!』とまた怒鳴られて。結局は自分のことしか考えていない上司でした」

退職後、メンタルは徐々に回復したものの、完全に気持ちが落ち着くのに3年掛ったと言います。

ケース2 異様に私に執着する女課長

課長「高橋さん、あの資料作成終わった?」
高橋「月末に提出ですよね。まだ23日なので終わっていませんが?」
課長「暇そうなので終わってるかと思った」
高橋「……」

朝から皆の前で女性課長の叱責を受けるのは、中小企業に勤める高橋すずさん(32歳)。食品関係の営業職に就いています。
「叱責する内容は何でもいいんだと思います。資料作成も毎月期日を守っていますし、むしろいつも遅れるのは課長なんですが。粘着気質の課長は、一度ターゲットを決めたら執拗に責めてきます。彼女の部下になった人は何人も辞めていきました」

二人の間に、特にトラブルなどがあったわけではないといいますが、多忙な課長とはコミュニケーションの時間が圧倒的に少なく、徐々に歯車が合わない感じになり、気づけば敵対視されていたそうです。

仕事を渡されない。人間関係の切り離しもされて

「新規取引先の仕事が私にだけ振られなくなり、一人で業務外の倉庫整理をさせられる日も多くなりました。女性チームで送別会のプレゼントを買うときにも、いつの間にかLINEグループから除外されていたりして、人間関係の切り離しもしてきました」

他の上司には相談したのでしょうか。
「小さい会社だったので、ほかの部長や社長にも相談しました。彼らは話こそ聞いてくれましたが、特に解決案も示さず、むしろ私が課長について相談したことが筒抜けで、余計に関係が悪化してしまって……」

結局、高橋さんは退職をして、今は新しい職場で伸び伸びと働いています。

横柄な態度とは裏腹、実は自信も余裕もなさそうなパワハラ上司の人物像

美里さんと高橋さん、2人から見た上司はそれぞれどんな人物だったのでしょうか。
美里さんの上司は、50歳手前の男性。
「肩書で人を見るようなタイプで、プライドが高い。俺はこれだけやってきたからお前もやって当然だといったスタンスでした。一方で、定時間近に大量の仕事を部下に振って退社したかと思えば、焼肉を食べに行っている写真をSNSにアップ。いかに自分はリア充か、人の目を気にして自己ブランディングに必死な印象でした。本当は自分に自信がないのかもしれないですね」

高橋さんの女性上司は、 40代半ば。
「仕事を全部自分で抱えてしまい、人に振ることできない人。いつも余裕がなくて、時々感情的になっていました。職場も軍隊のような雰囲気で殺伐としていました。思い通りにならないとすぐに怒る課長に、意見する人はいませんでした」

いくつかのパワハラのケースを紹介してきましたが、パワハラ行為者(加害者)になりやすい特定のタイプや状況があるのでしょうか。パワハラに詳しいカウンセラーに聞きました。

(次回に続く)

東京生まれ。千葉育ち。理学療法士として医療現場で10数年以上働いたのち、フリーライターとして活動。WEBメディアを中心に、医療、ライフスタイル、恋愛婚活、エンタメ記事を執筆。
パワハラ110番

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