学生(22)

感覚が研ぎ澄まされるような空間を作りたい。

学生(22歳) 7人に連続で突撃インタビューを断られ、ランチタイムの街頭取材は本当に難しいと痛感していたとき。ふっと目をやった六本木・東京ミッドタウンの自動ドアから出てきたのは、グレンチェックがよく似合う知的な女性。ギャラリーで北欧のデザインを見てきた帰りだそうで、お話を聞かせてくれた。

 いま、学生です。東大で建築を勉強しています。

 昔から手を動かして絵を描いたり、ものを作ることが大好きでした。それで、自然な流れで建築学科に入ることになりました。このまま、大学院に進むことが決まっています。

 建築学科は工学部に属しています。就職活動は理系も3年生で始まるのですが、3年生って本格的に専門分野を始めるときでもあるんです。

 専門的な勉強が始まったばかりなのに就職を考えるのは、とても難しい。だから、そのまま大学院に進む人が多いですよ。

建築家になるため、大学で学んでいます。感覚が研ぎ澄まされるような空間を作るのが目標です。

どのようにキャリアを作っていくか、まだ全然決められていません

 将来は建築士になりたいと思っています。家を作るなら、気持ちがいいのはもちろんですが、感覚が研ぎ澄まされるような空間を作りたい。そこにいることで、思考がシンプルになるというか。表現が難しいのですが、そういったことを目指したいです。

 最近は卒業制作のことばかり考えてます。実は今、行き詰まってしまって……。今日はアイディアをもらいに、東京ミッドタウンの中にある「21_21」というギャラリーを見に来ました。「野生展:飼いならされない感覚と思考」という、人間の心のなかの「野生」にフォーカスした展示でした。

 来年はスイスに留学することが決まっています。建築系だとヨーロッパに留学する人が多いんです。特にスイスの大学院は英語の授業がメインなので、日本人でも学びやすいようです。

 社会に出てからどのようにキャリアを作っていくか、全く決められていません。

 建築学科からの就職先は、大きく分けて大手のゼネコンの設計部か、組織設計事務所か、インディペンデントなアトリエに入るかの三択になります。業界全体、どこもある程度ブラックな噂を聞きますけど……。海外で就職するのも良いと思っていて、海外の建築事務所も少しずつリサーチをしています。

趣味はマラソン。考えごとのできる、貴重な時間です

 趣味はマラソンです。今度、フルマラソンにエントリーしています。でも、卒業制作が終わってないので、本格的なトレーニングに入れてないのがちょっと心配なのですが。

 小学校1年生のときに、お父さんがダイエット目的で走り始めました。それに私もついていくようになって、いつの間にか結構な距離を走れるようになっていました。

 走ると頭の中がすっきりします。考えごとのできる、貴重な時間です。

六本木にて

東京都生まれ。桐朋女子高校、成蹊大学出身。三児の母。趣味は音楽、旅、お酒、ヨガ。当面の目標は家族でフジロックに行くこと。
フォトグラファー。岡山県出身。東京工芸大学工学部写真工学科卒業後スタジオエビス入社、稲越功一氏に師事。2003年フリーランスに。 ライフワークとして毎日写真を撮り続ける。
街頭インタビュー