オーストラリアのど真ん中で、ウルルを堪能しつくす1日
●知られざる魅力、ノーザンテリトリーの冒険-07
ウルルは「エアーズロック」という名でも知られていますが、これは1873年、イギリスの探検家ウィリアム・ゴスが探検の途中で「発見」し、スポンサーであったエアーズ氏にちなんでつけた名前だそう。それよりはるか昔から先住民アボリジニの聖地であり、ウルルと呼ばれていました。1985年に周辺の土地がアナング族に返還され、呼び名も本来の「ウルル」を使うことが一般的となりました。
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独特の赤い色は、鉄を多く含む砂岩が空気に触れて酸化したもの。日の当たり方によって、刻々と表情を変えていくのも魅力です。
日の出からぐるり、ウルルの周りを歩く
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ウルルの周辺には「ベースウォーク」という散策路が整備されていて、一周約10.5km。今回は日の出の時間に合わせてスタートし、ぐるりと歩くツアーに参加しました。反時計周りに歩きます。
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ウルルに近づいていくと、朝焼けに照らされたシルエットが浮かび上がってきます。なんとも幻想的な光景。
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この日は雲が出ていて、美しい表情の空を見られました。
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ウルルにはアボリジニ・アナング族の聖地が点在しています。聖地を遠くから見ることはできますが、その場所に入ったり、撮影することは禁じられています。こういう看板があったら要注意。
聖地にはそれぞれ由来や、古い伝承があるそうですが、アナング族には「必要なことは必要な人にしか教えない」という文化があり、よそ者である私達に伝えられているのは3つのストーリーのみだそうです。
イメージと違う!豊かな緑に驚き
ウルルのイメージは、砂漠の中にどんと岩がある、という感じだったのですが、実際に歩いてみると緑が多いことに気づきます。このあたりは年間30日ほど雨が降る「順乾燥地帯」という気候に属しているとのことです。
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降った雨がたまり、泉のようになっている場所も。ここ2ヶ月雨が降っていないので水位が低くなっていましたが、この色が変わっているところまで水が満ちることもあるのだとか。
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岩が黒っぽくなっているところは、水が流れたあとです。雨が降ると、一瞬だけウルルに滝ができることもあるそう。すごい光景だそうです。見てみたい…。
先住民の暮らしたあとも
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約1万年前から人が生活していたと言われるウルル周辺。あちらこちらに人の生活の痕跡もみられます。こちらは女性が炊事などをしていたとつたわるキッチンケーヴ(洞窟)。雨や空気に触れていない部分の岩を見ることができます。
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これが「ウルルの本来の色」なのだそう。なるほど…。
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壁画の描かれた洞窟もあります。乾燥した厳しい気候のウルル周辺では、壁画はアートというより、食べ物の捕り方や近づいてはいけない場所など、重要なことを伝えるための手段として用いられていたそうです。
登山道を過ぎて、ウルルの南半分へ
ぐるりと半周すると登山道があらわれます。ウルルは2019年10月をもって、登山が全面的に禁止されることになりました。もともとアボリジニの聖地なので、彼らは登ってほしくないと要望していたとのこと。オーストラリア政府との協議を重ね、この決定に至ったそうです。
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登山道は岩肌に鎖を打ち込んだだけのもので、かなり難易度高め。天候によりクローズされることも多く、年間で3割ほどしか開かないそうです。この日も風が強くクローズしていました。風吹きさらし、最大斜度35度を超えると聞いて全く登りたいとは思いませんでしたが…。(ちなみに、登山を喚起させるとして、登山道の写真を掲載するのは禁止されています)
周辺を歩いていると、本当に1枚岩なんだろうか?と思うぐらい、さまざまな表情が見られます。
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アナング族の神話のひとつに、大きな女性の蛇・クニヤが傷つけられた甥のかたきをとるという話があります。そのときにやってきたクニヤがこの写真の右上。
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甥を傷つけたリルという男の蛇を怒りに任せて殺すのですが、リルの姿も残っています。それがこの岩。左の少しくぼんでいる部分が閉じたまぶた、2本の筋はクニヤが頭につけた傷ということです。
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空気が乾燥して澄んでいるので、こんなに美しい飛行機雲も見られました。
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この裂け目、笑った口のように見えます。スター・ウォーズに出てくるジャバ・ザ・ハットにそっくりな気も…。
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しっかり解説してもらって、一周歩いたら歩数は2万歩を超えていました。健康になりそう!
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散策路をセグウェイでめぐるツアーもあるそうです。これも楽しそう!
空からウルル、カタ・ジュタを眺める
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夕方は遊覧飛行に参加しました。正直、小さい飛行機に乗るのは初めてだったので「酔わないかな」「落ちないかな」とかなりビビっていた私…。
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飛行機はあっという間にテイクオフ。どっひゃー。高いー。と思っているうちにあっという間にカタ・ジュタに到着です。カタ・ジュタもアナング族の聖地が多数ある場所。
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規則正しく巨大な岩が並んでいる光景に、思わず言葉を失います。
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カタ・ジュタには「風の谷」という場所があり、これはジブリのアニメ「風の谷のナウシカ」のモデルになった場所だとも言われています。というのをパイロットの人に英語で伝えたかったんですが、伝わったんでしょうか。「cool!」と言っていたので伝わったと信じたい。
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ウルルが見えてきました。ちなみに、ウルルとカタ・ジュタの距離は30キロほどありますが、飛行機だと一瞬です。
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巨大な一枚岩のウルルですが、実は地下にはさらに岩が埋まっていて、地表に出ている部分は3~4%にすぎないそうです。まじか…。ちなみに縞のようなものは地層で、地下から岩が隆起した際に90度横になって隆起したため、このような形になっているそうです。
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夕闇に沈むカタ・ジュタ。
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あっという間に日が沈んでいきます。遊覧飛行は離陸から着陸まで40分ほど。必死に写真を撮っていたからか、パイロットさんの腕がいいからか、まったく酔いませんでした。なかなかスペシャルな体験でした。
ウルルを思う存分堪能した1日。近くからでも、遠くからでもやはり魅力的なのだなあ…と感じられました。
取材協力:ノーザンテリトリー政府観光局
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