流産しても、お客様には話せない。こっそり思い切り泣きました。
産婦人科を受診したら、「卵子の数が少ないですね」って
先日、産婦人科を受診し、「卵子の数が少ないですね」って言われました。45歳ぐらいの人と同じくらいだって。
20代の頃は子どものこと、ほとんど考えたことがなかったです。漠然と「33歳までには欲しいなあ」って。なぜ33歳かというと、35歳から高齢出産になるでしょ。「ちょっと抵抗があるなあ」と思っていました。希望する病院で産めない可能性も高くなるじゃないですか。でも、34歳になっちゃいましたね。
今、妊婦さんを撮影する「マタニティー・フォト」と、生後2週間以内の新生児を撮影する「ニューボーン・フォト」を仕事にしています。お客様は「あなたのお子さんは?」と、皆さん思ってらっしゃるでしょうね。
2011年3月に結婚し、おばの手伝いで化粧品の販売を始めました。でもメイク道具を売っているだけなら、ネット社会のこのご時世、発展性はないなと。メイクをしたお客様の写真をスマートフォンで撮ってあげると、とても喜ばれたのです。なので、一眼レフカメラで撮影するようになり、それがビジネスになりました。
辻ちゃんのマタニティー・フォトに衝撃を受けました。「これだ!」と
その後、モーニング娘。の辻(希美)ちゃんがブログでマタニティー・フォトを公開しているのを見て、衝撃を受けました。「これだ!」と。「富山」と「マタニティー・フォト」ってネットで検索したら、専門にやっているところがなかったんです。だから、始めました。
ちょうどそのころ、夫と偶然入ったワインバーで、都内でカメラマンをやっていたけれど、ワインが好きだからとUターンしてワインのお店を始めた人と、たまたま知り合いになったんです。「マタニティー・フォトを撮りたいんです」と話したら、「僕、カメラマンやっていたから教えてあげるよ」って。その店に行かなきゃ会えない人でした。すごい縁だと思います。現役のカメラマンだったら、仕事が忙しくて教えてはくれないでしょうからね。
妊婦さんになって10キロ以上体重の増えた方が写真を見て「あー、太っちゃった」と気にされないよう、ちょっとだけ補正してあげたりして…。そういうの、大事です。
その後、ニューボーン・フォトも始めました。2017年8月にはオーストラリアで行われた「ニューボーン・フォトサミット」にも参加したんですよ。日本から参加していたのは5人だけでした。
ニューボーン・フォトは撮影以外の知識も必要で難しい
ニューボーン・フォトは撮影以外にも、赤ちゃんとママに関する知識も必要で、本当に難しいんです。サミットでは衛生管理や、赤ちゃんの筋肉がどうなっているのか、睡眠、湿度、温度など撮影に関係する環境について学びました。赤ちゃんが泣いてしまって困る、なんていうことは、ほとんどないんです。いろいろ配慮していますから。
妊婦さんを撮らせていただくと、新生児、100日、半年後の「ハーフバースデー」、1歳、2歳、3歳。そうこうしているうちに、第二子を妊娠…。うちのお客さんは、リピート率がすごく高いんです。七五三も出張が大変だからと断っていたけれど、今年から頑張ることにしました。
「マインドマップ」って、ご存じですか? 頭の中で起こっていることを目に見えるようにした思考ツールです。20歳の時からずっと書いてきました。何をやりたいかをどんどん書き出していくのです。見返してみると、仕事については、いろいろ夢があったけれど、家族については全く目標がなかったんです。夫と何をしたいとか、子どもをどうするかとか。まあ、お互いそういう人だから結婚できたのかもしれません。ルームシェアをしてる人みたいな、同居人みたいな。
夫もすごく忙しくて、1年前に転職したんです。そしたら午後7時に帰ってくるようになり、旅行もできるようになりました。2人で何をしたいかも考えるようになりました。だから私も、定休日の月曜日以外は休まなかったんですけれど、最近は土曜か日曜どちらか休むようになりました。
最初に流産したときは、夫に言いませんでした
「3人目を妊娠しています」っていうお客さんの言葉に、複雑な気持ちになったことがありました。 自分には何もないって思ってしまっていました。この方たちは人間としての生活を全うしている。ちゃんとしたライフスタイルを築いているなあ。なのに自分は何も始まっていないなあ。
誤解しないでくださいね。仕事が嫌になったわけではないんです。本当に好きです。大好きです。でも、心の持ちようをどうするかについては、ずいぶん悩みました。未婚のウェディングプランナーさんの中にも、こんなふうに考えている人、いるんじゃないでしょうかね。
私、不育症なんです
私、不育症なんです。妊娠しても、赤ちゃんがお腹の中でうまく育たなくて、流産してしまうんですね。卵子の数も同世代の女性と比べると少ないから、妊娠のチャンスが少ないのに、3回流産しています。最初に流産した時は、夫に言いませんでした。言う必要はないかと。いろいろ考えていると、「最後は代理出産という方法しかないのかな」と、思ってしまいますね。
自分が流産しても、お客さんの予約はキャンセルできません。お客さんには絶対こんな話できない。だって、そんなこと言ってしまったら「第二子、第三子の時にも、お願いします」って言いにくいじゃないですか。でも、3回目に流産した時、こっそり、思いっきり泣きました。
いろいろお話ししましたけれど、トータル的には「すごく幸せな仕事だなー」って思っているんです。人生の節目に携わることができているから。長く続けてこられたこと、感謝していますよ。「自分って、強いなあ」って思いますね。
富山県高岡市にて