キュリオス出演者直伝「ぐにゃぐにゃのなり方」

現在、東京公演が好評開催中のシルク・ドゥ・ソレイユ創設30周年記念作品「ダイハツ キュリオス」。どれもこれも、口を閉じるのを忘れるほど圧巻のパフォーマンスでした。そんな中、私が最も心奪われたのは柔軟性を活かした演目「コントーション」! なめらかで、でもスピード感のある人間離れした動きは……すみません、文章にできません。日々どんな訓練をしたらあんなぐにゃぐにゃになれるんだ!というわけで、憧れのコントーショニストのお二人を取材してきました。
Photo: Martin Girard / shootstudio.ca © 2014 Cirque du Soleil

めっちゃ普通のかわいい女の子やん

 今回、取材させていただくのはこのお二人。BAYARMA ZODBOEVA(バイアルマ・ゾッドボイエヴァ:以下バイアルマさん)さん(32)とSERCHMAA BAYARSAIKHAN(サーチマ・バイアーザイカン:以下、サーチマさん)さん(21)。どんな超人が出てくるのかと思いきや、メイクを落として、普段着に着替えると普通のかわいい女の子やん!(笑)。

(左から)BAYARMA ZODBOEVA(バイアルマ・ゾッドボイエヴァ)さんとSERCHMAA BAYARSAIKHAN(サーチマ・バイアーザイカン)さん

 サーチマさんは、4歳からコントーションを始めたそうです。出身のモンゴルではコントーショニストは女の子たちの憧れの職業。5歳くらいから始めるのが一般的だそうですが、サーチマさんは両親の勧めもあって、早くから始めていたそうです。

 対して、バイアルマさんは、コントーショニストとしては遅い10歳からのスタート。それまで体操はしていたそうですが、コーチに「あなたは体が柔らかいからコントーションをやった方がいい」と勧められて始めたそうです。

こんなに地味で痛いトレーニングはない

 実は私もポールダンサー歴4年で、アマチュアポールダンサー界では「軟体」と言われております。最近では、さらに柔軟を鍛えようと、東京都内にあるコントーションスタジオに通い始めました。まだ、かじったばっかりだけど、これだけは言わせて!!
 コントーションほど、地味で痛いトレーニングはないよ!!!
 まず地味。だってそうでしょ! どれだけ1日みっちり柔軟したって、昨日より今日の方が1㍉伸びてるかすらわからない。いや、1㍉伸びればいい方。目に見えた上達はありません。
 そして、痛い。痛いなんていうもんじゃない。30歳過ぎて痛くて泣いたのはコントーションスタジオが初めてです! 先日は股関節を開くトレーニングで、片足を跳び箱の台に乗せたまま、マットについている足に先生が体重をかけて乗るということをしてもらいました。股関節割れるんじゃないかと思うくらい痛い。ていうか、割れてんちゃうか。「すみませんごめんなさい。先生許してください。もう無理です。痛いです。無理です」と絶叫するほど。あんなに長い3分間を私は知らない。

めちゃめちゃ筋トレする

 そして、ただ柔らかくなればいい、というものでもなく、コントーショニストは逆立ちした状態で下半身をぐにゃぐにゃと動かさなければならない。つまり、めちゃめちゃ筋トレするんです。モンゴルに修行に行っていた私のコントーションの先生は「腕立てを数百回やる」と言っておりました。
 プロを目指す彼女たちは、私のような素人が泣き叫ぶトレーニングの何倍もきついことをしているに違いない。それも、20年近く……超人です。
「柔らかいから」と勧められて始めたというバイアルマさんでさえ、「はじめは頭に足はつかなかった」といいます。二人とも、子供の時は毎日3時間ほど練習をしていたそうです。
 今はショーの前に1時間、そして30分かけてクールダウン。ショーが休みの日は、あえてリラックスして体を休めるようにしているそうです。ちなみに、私はたった30分のトレーニングで汗びっしょり。あまりの痛みで戦意を喪失します。

ストレッチに限界はない

 毎日毎日、つらく地味なトレーニングを続けられる、そのモチベーションはいったい何なのでしょうか。
 サーチマさんは「大きなサーカス団に入って、ステージに立つのが夢だった。そのためなら毎日練習して、スキルアップしたい」。バイアルマさんも「もっとうまくなりたい。見てくれているお客さんをもっと喜ばせたいって思います。ストレッチに限界はないから」。
 ひーっ!! 聞きましたか!? ストレッチに限界はない!! まだまだぐにゃぐにゃ目指すのか!
 さて、努力家のお二人の今後の夢は?
 サーチマさんは「シルクで演技をするのが夢だった。まさに今夢のなかにいる感じ」。
 バイアルマさんは「ひみつ。ロシアでは夢をいうとかなわなくなるから、言わないの!」とにっこり。さらなる高みを目指すお二人の今後の活躍も楽しみです。言葉を失うほどの驚きと感動に満ちた美しい演技、ぜひ実際にご覧になってみては。

世界最高峰のコントーショニストとの記念撮影!家宝にします

【東京最終公演中】フィナーレは7月8日

シルク・ドゥ・ソレイユ「キュリオス」日本公演 Photos: Martin Girard, Pierre Manning / shootstudio.ca © 2014 Cirque du Soleil
  • ●東京公演 料金
    平日大人SS席12,500円、S席10,000円、A席6,500円、SS席(オリジナル特典付き)20,000円(土日祝は+1,000円、すべて税込。その他、学生・子供席・車イス席あり)
    ※車イス席はインフォメーションデスクのみでの販売となります。※車イスでご来場のお客様はインフォメーションデスクに事前にご連絡ください。※演出機材により一部が見づらい席あり。※都合により公演の内容を一部変更する場合あり。※演出機材により、舞台の一部が見づらい席あり。※その他、注意事項・席種の詳細は公式HPまで
  • ●場所 お台場ビッグトップ
  • ●チケット購入
    インフォメーションデスク0570・020・520(10~18時対応)
    公式HP:www.kurios.jp
  • 【大阪公演】7月26日~10月29日
    【名古屋公演】11月22日~2019年1月27日
    【福岡公演】19年2月15日~3月31日
    【仙台公演】19年4月~

telling,の妹媒体?「かがみよかがみ」編集長。telling,に立ち上げからかかわる初期メン。2009年朝日新聞入社。「全ての人を満足させようと思ったら、一人も熱狂させられない」という感じで生きていこうと思っています。
フォトグラファー。岡山県出身。東京工芸大学工学部写真工学科卒業後スタジオエビス入社、稲越功一氏に師事。2003年フリーランスに。 ライフワークとして毎日写真を撮り続ける。
好きを仕事に