転勤族です。1年前まで、今や”絶滅危惧種”の専業主婦でした。
「結婚、出産、転勤などに左右されにくい仕事を」と思い、「ベビーマッサージセラピスト」「ベビフォトグラファー」の教室を自宅で開いています。主婦ですが、個人事業主なのです。赤ちゃんの写真を撮る時って、常に笑顔でカメラを向けながらじゃないと、だめですよ。「可愛く撮ろう」と思ったら、常に笑顔。怖い顔していたら笑ってくれませんからね。
私の話? 取材ですか。そういえば昨年、6つ下の妹から「取材」を受けました。彼女は大学の社会学部の学生で、女性の働き方などをテーマに卒業制作をまとめました。私が主婦になったから、このテーマを選んだらしいです。今、専業主婦って「絶滅危惧種」と言われているじゃないですか。当時、写真やマッサージには興味を持っていましたが、まだ、教室やサークルなどを開いていない時期でした。だから妹は私に話を聞きたかったらしいですよ。「今後どうしようと思っているの」とか。
妹はこの春に上京し、働き始めました。彼女は今後の人生をどんなふうに考えているのかなあ。
付き合っていて、彼の転勤を機に結婚しました
滋賀県草津市の出身で、大学時代も親元から京都市内にある大学に通っていました。卒業後は製薬会社に勤務して、知人の紹介で出会った主人と7カ月で結婚。彼の転勤が決まったので、それを機に縁もゆかりもない富山市へ引っ越してきて、最初は寂しかったですね。主人は会社があるからいいけれど、私は朝、主人を送り出したあとはパソコンを見たり、家のことをしたりして、1日中誰とも話さない日がありましたもん。だから自転車で近所のスーパーや公園に行って、興味のあるお店に入って、3カ月ぐらい探検していたかなあ。
そうしているうちに妊娠が分かり、つわりがひどくなって。1、2カ月ダウンしていた時期がありました。不安だったけれど、滋賀県の実家に帰らず、富山で出産したんです。母からは「初産なのに里帰りしないの?」と言われましたが、主人が「生まれてポンと赤ちゃんが来るより、生まれた時から2人で協力して育てていきたい」と言ったんです。主人の希望を優先しました。
「つらくてご飯を作れなかったらどうしよう」とかいろいろ考えましたけど、何とかなりました。実家の母は10日間、義理の母も1週間ぐらいそばにいてくれたのと、産後はすごく楽で、よく寝てくれる子で。子どもが笑ってくれると、嬉しいなぁ。忙しいときに「ママ抱っこして」と言われると「あー、もう」って思うこともあります。でも、やっぱり幸せです。
子どもに手がかかる時期が過ぎると「ブランクが空いちゃったな。生産性がなかったな。何か勉強とか資格とか取っとけばよかったな」って思う気がしたから、好きなことで資格を取ろうと決めたんです。「子どもと一緒にいる時間に、何かしたい。この時間を有効に使って、いずれサークルとか、教室とか開きたい」と。
2017年1月に1歳4か月の娘を連れて、講座を受けに千葉まで行きました。初めての場所で、講師の先生も知らない方です。新幹線と電車での移動は、ドキドキ、わくわく。不安の方が大きかったなあ。子どもが泣き出したら、どうしようって。子どもがいるだけで、あんなに怖い気がするとは思いませんでした。大変だったけれど、いろんな気づきがあったように思います。あの時、勇気を出してよかったなと。
主人の転勤で今度は滋賀県の彦根市へ。新たな日々を過ごしています
富山にいたのは、3年半。引っ越すときは、うるっときましたよ。「ああ、ここでベビーバスに入れたなあ」って。長女を産み、一番かわいい時期をここで過ごしました。知らない土地で、最初は不安だったけど、いろいろいっぱい思い出ができたなあと。資格を取って、教室を開き、サークルをすることで人のつながりができました。いい環境だったので、前向きに、楽しく過ごせました。
主人は北海道出身なんです。地元企業に勤める同郷の人と結婚していたら、ずっと滋賀県内にいただろうけれど、「生まれた土地を離れられた時期があって、よかったなあ」と今、あらためて思います。
草津市の実家までは1時間ぐらい。妹が上京したので、両親にとっては、入れ替わりで娘が帰ってきたことになりますね。親は「よかった」と思ってくれていることでしょう。当分、転勤はなさそうですけど、またどこかへ行くことになるのかもしれません。
今、2人目の子がおなかの中にいるんです。つわりがひどいので、教室とサークル活動は、ちょっと中断。落ち着いたら、再開しようと思っています。どこでにいても、子どもと風景、いっぱい撮っていきたいと思います。
富山市にて
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