転職エージェント(34歳)

数カ月前にマネージャーに。最初は、まったくの手探りでした。

転職エージェント(34歳) 人のキャリアに関心が強く、旅先で仲居さんにインタビューしてしまうこともあるという彼女は、転職エージェントに勤務して6年。多くの人と仕事の縁を紡いできたそうです。昨年、新たなキャリアステージへと進み、プレイングマネージャーとして自身の仕事も続けながら、チームのマネージメントという新しい仕事に従事することになったそう。周囲から「最近すごく変わった」と言われるようになったという、その理由とは――?

突然のマネージャー職、初めは慣れませんでした

 マネージャーになったのは数カ月前です。もともと社長の下にはグループが3つあって、各グループにマネージャーが1人というフラットな組織だったんですけど、3人のマネージャーはもっと上の立場にあがって、各グループのメンバーから4〜5人抜擢して、一気にマネージャー職を増やしたんです。
 今までなかったポジションなので、何から始めたらいいのか、最初は本当に手探りでした。マネージャーとは何か、組織はどう成り立っているのか、目標はどう設定するのか……。

 最初にやったのは、みんなの仕事を細かく見ることです。クライアント企業から求職者の方との一次面接の依頼があった案件は自分のものだけでなく、メンバーのものも全てチェックして、「この方はこういうことで迷うだろうから、こんな話をしてあげるといいよ」とコメントをしたり、直接、声をかけたり。あとはもう、基本ですよね。話しかけやすいように常にニコニコしているとか。

 周囲も意識して仕事をするようになったら、仕事の仕方が変わりました。私自身はそれまでエキスパートという立場で、人より高いミッションを達成する代わりに収入も高いポジションでした。正直なところ、自分の実績にコミットしていればいい、それが自分の価値だと思っていたので、まわりを見ていなかったんですね。

 思いがけず、チームのマネージメントをすることになって、まず理屈でなく行動を変えようと、ポーズから変えました。自分がオープンであることを示そうと思って、表情や振る舞いから変えたんです。そうしたら、性格もオープンになって、ポジティブな気持ちが生まれてきました。まわりからもすごく変わったと言われます。

 慣れるまで大変でしたけど、マネージャーになってからは頭の構造も変わってきた感じがします。メンバーの仕事にも興味を持つようになりました。役割が人を変えるって、本当ですね。

「このままのやり方でいいのかな」というのは考えます

 ただ、ミクロの世界まで入っていくというか、みんなの仕事を細かく見ていくやり方だと、いくら時間があっても足りなくて、自分の生活をないがしろにすることになってしまいます。このままのやり方でいいのかなというのは考えますね。

 今はハイな状態なので大丈夫ですけど、今後もっとメンバーが増えていったら、1on1みたいなことはできなくなるでしょうし、もっと科学的にやっていくことも必要なんじゃないかと思っています。

 今はまだ、戦略を立ててみんなで一丸となっていくための方法を考えることができていないので、そういったことをするために、手法をもっとインプットすることが必要だと感じています。
 私は分からないことがあったら、学んで系統立てて実践していくほうで、マネージメントに関しても、まず思考から入りたいんです。

 最近はインプットの時間をとるのが難しくて、土日になると「やっと考える時間ができた!」という感じ。日々のタスクから解放されて、ゆっくり考えられる時間があると、うれしいです。

モヤモヤしたら、新しい本とペンを買ってカフェへ

 とにかく、考えたいんです。考えないと気持ち悪い(笑)。
 以前、「ストレングスファインダー」のセミナーに参加して、自分の強みを調べたら、上位5項目のうち4項目が思考に関係する項目に集中していたんです。それを見て初めて、思考から入るというのは自分自身の特徴的な一面なのだと気づきました。

 何かモヤモヤして上手くいかないと感じたときは、新しい本とペンを買ってカフェに行きます。それで、思っていることをずーっと書き出すんです。こうなったらこうだから、今これが足りないから、ここまでにこれをやっておくとこうなれるんじゃないかとか、そういうことをまとめて、自分が知りたいことが分かったあとに、本を読みます。そうすると、ちゃんと頭に入るんです。

 本当は走りながら考えたり、まずやってみたりする人の方が強いと思うんですけどね。でも、30歳を越えて自分を受け容れるというか、足りないところはしょうがないなって思うようになりました。20代の頃は「ここがダメだから、どうにかしないといけない」と自分の否定を成長の活力にしていたんです。でも、「こうならねばいけない」を繰り返していると、まあ、つらい。そうではなくて、自分と上手く付き合いながら、やっていった方が楽しいですよね。

神保町にて

建材メーカーで6年間、企画・広報・宣伝を担当したのち、企業取材や家づくり・家具などの住にまつわる分野を中心に、各種WEB媒体で活動中。プライベートでは夫と2人暮らし。
フォトグラファー。岡山県出身。東京工芸大学工学部写真工学科卒業後スタジオエビス入社、稲越功一氏に師事。2003年フリーランスに。 ライフワークとして毎日写真を撮り続ける。