考察『愛しい嘘』5話「逃げなさい、あなたも殺されるわよ」ますます怪しい雨宮(林遣都)と、もうひとり

14年ぶりに中学の同窓会で再会した仲良し6人組。奈々江(新川優愛)、優美(黒川智花)が亡くなり、4話では雨宮(林遣都)が刺された。5話で一命をとりとめた雨宮にはどうやら「裏の顔」もありそうだ。関係を深める望緒(波瑠)は大丈夫?『愛しい嘘~優しい闇~』第4、5話を振り返り、謎解きのポイントを考察します。
考察『愛しい嘘~優しい闇~』3話。優美(黒川智花)が殺したかったのは本当にDV夫だったのか

テレビ朝日系ドラマ『愛しい嘘~優しい闇~』5話が、2月11日に放送された。雨宮秀一(林遣都)と中野幸に関する情報が多数明かされ、以前から噂されていた“雨宮=中野幸”説が真実味を帯びてきた回だった。

“雨宮=中野幸”説とは、雨宮になりすました中野が、中野の実家の火災を招いた玲子(本仮屋ユイカ)、稜(溝端淳平)、優美(黒川智花)、奈々江(新川優愛)に復讐をしているというもの。6話の予告では、右利きのはずの雨宮が、左手でタバコを持っているという怪しい写真も公開されている。

しかし、一方ではその説を否定するような矛盾も生じてきた。今回は中野と雨宮の2人を中心に考察していきたい。

“雨宮=中野幸”説が有力な理由

1話スタート時から強かった“雨宮=中野幸”説だが、実はこれといった理由はなかった。強いて言うならば、「中野の顔を誰も覚えていないから整形などでなりすましやすい」とか、「望緒(波瑠)への不自然な執着」「タイムカプセルを掘ろうと言い出した」とか、それぐらいふわっとしたものばかり。一番の理由は「一見パーフェクトに見える雨宮が逆に怪しい…」というミステリーのお決まりパターンから始まった説だったように思う。

しかし、回を追う毎に「女癖が悪い」「殺された優美と不倫している」など少しずつ雨宮の黒い部分が露呈。そして、第5話で疑惑が一気に強まった。キーワードはDVだ。

弁護士をしている玲子のツテで、雨宮が過去に恋人への暴行で逮捕歴があったこと、そしてその恋人が亡くなっていることが明らかになった。ラストでは、認知症のはずの雨宮の母(高橋ひとみ)が、息子と交際していると知った望緒に対して、「逃げなさい、あなたも殺されるわよ」と発言している。

一方の望緒たちの元担任・田村(近藤公園)によって、中野が両親からDVを受けていたことが判明。雨宮と中野はDVというキーワードで繋がった。これにより、「少年時代のトラウマが、中野にDVをさせている」という動機の裏付けがなされたのだ。過去に雨宮は「DVは身体の傷よりも心の傷の方が残る」といった発言もしている。

また、中野の家から望緒を中心に4人の女子を盗撮しているような写真も見つかったため、望緒への執着は強い恋心である可能性も示された。さらには、雨宮の寝顔を見た望緒が「なんだろう、この違和感」としており、中野が雨宮に整形で顔を寄せている可能性も高まった。

確かに“雨宮=中野幸”説はしっくりくる。しかし、その一方でこの説には矛盾も発生している。

共犯者は田村先生?

望緒たちが中野の存在を思い出したのは、同窓会で掘り起こしたタイムカプセルに「みんな 忘れないよ 中野幸」という手紙が残されていたからだった。しかし、中野は夏休み後に転校していた。タイムカプセルに手紙を残すことは不可能。となると、掘り起こした際に他の誰かが入れた可能性が高いが、雨宮は会社の用事で先に帰っていてタイムカプセル掘り起こしに立ち会っていない。つまり、雨宮も中野も、手紙を残すことが不可能だった。

もし、中野が雨宮に成り替わっていた上で手紙を残したとなると、共犯者が必要になってくる。しかし、稜、玲子、優美、奈々江の4人は復讐相手であって、手を組むとは考えにくい。考えられるのは5話で初登場した元担任の田村だ。

田村は掘り返す時にこそ立ち会っていないが、埋める時になら手紙を入れることが可能であり、さらに転校後の中野を知る唯一の人物でもある。中野から卒業式までに「メッセージを残しておいてくれ」と頼まれたのかもしれない。担任ならば、タイムカプセル自体を提案することもたやすいだろう。“雨宮=中野幸”説が正しいかは別としても、田村はだいぶ怪しい。

望緒も怪しい。タイムカプセル掘った際に望緒は、中野のことを覚えていないはずなのに「ナカノミユキ」という男性とも女性とも取れる名前を見て、「中野幸くん」と男だと断定していた。しかし、5話では「男の人でミユキって名前そうはいない」と指摘してしまっている。

演出上の都合かもしれないが、望緒の記憶の曖昧さには何かが隠されているだろうし、実は主人公がカギを握っていた…という展開は十分にありえる。

そもそも復讐しているのか?

中野が両親からDVを受けていたことから、田村は「火事は救いだった」と言っていた。もしかしたら、中野は別の理由で復讐を果たそうとしているのかもしれない。「稜、玲子、優美、奈々江の4人は復讐相手だから共犯者ではない」とは書いたが、復讐の理由が火事ではなかったとしたら、この4人も候補に復活してくる。

そもそも4人は自分たちが火事の原因になったと思っているが、ロケット花火程度ではなかなか火災に繋がるとは思えない。むしろ、花火を見て中野が自ら家に火をつけたのではないだろうか? そうなると、中野の目的は復讐ではない可能性すらでてくる。

結論としては、何もわからない。だが、このまま雨宮が全ての黒幕だったということもなさそうだ。後半に入って、どれだけ我々を揺さぶってくれるのか、楽しみでならない。

※今夜(2月18日)の6話は、10分遅れて11時25分からの放送です。

考察『愛しい嘘~優しい闇~』3話。優美(黒川智花)が殺したかったのは本当にDV夫だったのか

金曜ナイトドラマ『愛しい嘘~優しい闇~

■テレビ朝日系 毎週金曜夜11時15分〜

出演:波瑠、林遣都、溝端淳平、本仮屋ユイカ、新川優愛、黒川智花 他
脚本:丑尾健太郎、神田優
音楽:横山克
原作:愛本みずほ『愛しい嘘 優しい闇』(講談社「Palcy」連載)
主題歌:神はサイコロを振らない「イリーガル・ゲーム」(劇中歌「あなただけ」)
演出:樹下直美、日暮謙、木内健人
プロデューサー:大江達樹(テレビ朝日)、中込卓也(テレビ朝日)、山本喜彦(MMJ)、小路美智子(MMJ)

企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
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