●独身偽装#2

“独身偽装”する既婚者の特徴とは?寮暮らし、SNSをやってない、土日会えないは怪しい?

結婚しているにも関わらず独身を装い、真剣に婚活している人と交際する「独身偽装」の被害が後を絶ちません。特に男性が既婚を隠す場合が多いよう。騙されないようにするために、何に気を付ければいいのでしょうか。不倫や浮気など男女問題に詳しい元女探偵・平井仁美さんに事例を交えて解説してもらいます。
彼氏が既婚だった!独身と騙されてたら貞操権侵害になる?慰謝料の相場や費用など弁護士が解説 彼氏が既婚者だと発覚したら?法的措置や証拠集めを独身偽装に詳しい元探偵が解説

元女探偵・平井仁美です。現在は探偵マッチングラボで不倫問題を中心に、さまざまなお悩み相談を受けています。今回は、昨今話題の「独身偽装」について。独身を装って女性と交際する既婚者は、意外なほどたくさん、そして身近に存在しているんです……。

実際にあった相談を元に「独身偽装の既婚者によくある特徴」をご紹介します。

28歳営業職の彼「規則の厳しい寮暮らし」の真相

瑞樹さん(仮名、23歳)は、半年前に婚活アプリで知り合った会社員の康太さん(仮名、28歳)と交際中。「そろそろ結婚したい」と考えていたが、彼との関係に“ある悩み”を抱えていた。

それは康太さんが住んでいるという「会社の寮」のこと。中心部からの電車で1時間ほどの場所にある康太さんの会社の寮は規則がかなり厳しく、外泊禁止は当たり前、さらには夜間の電話も禁止。同じ寮に住んでいるという先輩から急に呼び出されることも多々あった。

康太さんの仕事が忙しくてなかなか会えないため、早く一緒に住みたいと考えていた瑞樹さんだったが、その寮は契約の関係であと2年は退去することができないという。
規則や契約と言われてしまうと受け入れるしかなく、少しずつ不満を募らせていた瑞樹さん。そんな悩みを友人に話すと「どう考えても怪しいから、康太さんの本当の住所を調べた方がいい」とアドバイスを受ける。

そして後日、瑞樹さんはデート解散直後から、康太さんのあとをこっそりつけてみた。
康太さんは寮があると話していた駅に降り、しばらく歩いて住宅街へ。そして一軒の戸建てに入っていく。家の前には子ども用の自転車やおもちゃが置いてあり、康太さんが家庭を持っているということはほとんど明らかだった。

元女探偵アドバイス

「寮暮らし」は、独身偽装をする男性が「彼女を家に寄せ付けないための言い訳」として本当によく使うものです。他にもよくあるのは「実家暮らし」「兄弟と暮らしている」「シェアハウス」などなど……どう見ても自分でちゃんと稼いでいそうな彼なのに、なぜか規則の厳しい会社の寮や実家での生活を継続している。それは一体なぜなのか、背景を深掘りして聞いてみましょう。しっかり細部まで完璧なストーリーを決めてから嘘をつくような独身偽装男はなかなか少ないものです。

婚活アプリで出会った「完璧なパートナー」36歳経営者の彼

真由子さん(仮名、34歳)は婚活アプリ利用歴2年目。自分の希望に合う相手が見つからず、そろそろアプリ婚活も潮時かなと思っていたところ、順平さん(仮名、36歳)とマッチングし、とんとん拍子で付き合うことになる。

順平さんは理想のスペックで、都心の高級マンション暮らし、海外に自分の会社をもつ経営者だった。見た目はスマート、博識でさらには女性への気遣いも完璧な、まさに理想のパートナー。

モテていて当たり前のような順平さんだったが、真由子さんには「今までずっと仕事ばかりで女性との出会いや結婚の機会がなかった」と話した。
ほどなくして2人は順平さんのマンションで半同棲のような生活を始める。2年間婚活アプリを彷徨った真由子さんにとって、彼との生活は夢のようなものだった。

順調に交際を続けていたある日、真由子さんが順平さんの家のクローゼットを開けると、奥の方から子どもが描いたような絵が出てきた。「どうしてこんなものがあるんだろう」とよく見ると、その絵のタイトルには「父の日プレゼント」。描かれていた似顔絵は順平さんそっくりだった。

一瞬で血の気が引いた真由子さんは、すぐに探偵を使って順平さんのことを調査した。すると順平さんは、真由子さんと過ごしていた家からすぐ近くのマンションに、奥さんと2人の子どもを住まわせていたことが発覚。自宅だと紹介したマンションは、順平さんが経営する会社の事務所だった。さらにはその部屋に、真由子さん以外の女性の出入りまで確認された。

順平さんといくら良い雰囲気になっても、結婚の話になると「仕事が落ち着いたら」とはぐらかされ続けていた意味を、真由子さんはその時初めて理解した。

元女探偵アドバイス

ハイスペックな結婚適齢期の男性がなぜ婚活アプリを利用しているのか。本当に「仕事一筋で出会いがなかった」という方もいますが、順平さんのような誰もが求める理想的なスペックの男性が、本当に独身であるケースは少ないように思います。
自宅に招かれているからと言って安心できないのも怖いところ。単身赴任中や別居中といった可能性も考えられます。
そもそも「婚活アプリで出会ったのに結婚の話をはぐらかしてくる」というのは、どう考えてもおかしい話。結婚の話をどれだけ真剣に迅速に進めてくれるのか、これは一つの重要な判断基準になります。
相手が良い人であればあるほど、「もしかして」という疑惑をうやむやにしてしまうのはよくあるケース。何を目的として出会ったのか、今一度考えてみる必要があります。

インドアでSNS嫌いの31歳美容師。インスタで見た本当の姿

優紀さん(仮名、29歳)は、美容師の悠斗さん(仮名、28歳)とマッチングアプリで出会って、初対面から意気投合し、二度目のデートからはお互いの家を行き来する仲に。そして三か月前、正式に交際をスタートさせた。

悠斗さんはかなりのインドアタイプで、口癖は「家でゆっくりしたい」。デートは夜で、しかも絶対にどちらかの自宅。優紀さんはそんな日々に少しずつ不満を募らせていた。

ある日、優紀さんは悠斗さんの部屋で、本格的なキャンプグッズを発見。「インドアな悠斗さんがキャンプなんて行くのかな」と不思議に思って尋ねると、悠斗さんはしどろもどろで「友達が勝手に置いていった」と説明。しかし以前は「友達もいないし仕事ばっかりで遊ぶ時間がない」と話していた悠斗さん。もともと「SNSはやっていない」とのことだったが、なんとなく怪しいと思った優紀さんは、悠斗さんが働く美容室のインスタグラムをしらみつぶしにチェックし、プライベート用個人アカウントを特定した。投稿を見ると、友人たちとのキャンプやホームパーティーの写真が並んでおり、女性と2人で仲良さげに映っている写真もあった。

優紀さんが問い詰めると、別居している奥さんがいることが発覚。悠斗さんは今まで当然のごとく独身だと言い張り、たまに優紀さんとの結婚の話もしていた。

「嫁とはほとんど別れているようなもので、今は友達の付き合いで会っている」と言い訳をされたが、もうすっかり悠斗さんを信用できなくなってしまっていたため、別れを選んだという。

元女探偵アドバイス

SNSを教えない、友達を紹介しない、外デートを避ける。これは周りにあなたの存在がバレると不都合があるから――とも考えられますよね。当たり前のことですが、不倫相手を自分の家族や友人に公の場で積極的に紹介したいと考える男性はなかなかいません。「家デートが多いのも彼の性格だから」と許容せず、一度疑ってみる必要があるかもしれません。さらに悪質な独身偽装だと婚姻関係の有無どころか、名前や職業まで嘘なんてこともよくあります。結婚を前提とした付き合いであれば、ほんの少しでも怪しいと思った時は一度相手のことをきちんと調べる必要があります。

“独身偽装”の男性の特徴とは?

既婚という重大すぎる事実を隠すために、日常的に細かい嘘をつき続けている独身偽装男たち。そんな彼らのよくある特徴をまとめてみました。

・結婚適齢期のハイスペ男性なのに女の影がない
・実家暮らし、寮暮らしといった理由で自宅に近づけない
・外でのデートが少なく、人目につくような場所に行きたがらない
・友達や知り合いを全く紹介してくれない
・SNSを何もやっていないという
・夜の急な電話には出てくれず、少し経ってから屋外でかけなおしてくる
・クレジットカードも持っているのにデートは常に現金払い
・自分の話をしたがらず、謎が多い
・土日は会えないことが多い
・家に遊びに来ても何かと理由をつけて泊まらずに帰ってしまう
・旅行は行かない。行ったとしても日帰り
・結婚前提で出会っているのに結婚の話をうやむやにしてくる

また、出会うきっかけは、身元を隠しやすいマッチングアプリやSNSが多い傾向にあります。

本当に結婚を考えている相手であれば「安心させてあげたい」と思うのは当たり前のこと。
会っていない時の自分の生活について深く話してくれなかったり、2人の予定の主導権を彼だけが握っていたりして、ずっと「忙しくて謎の多い彼」のままであれば、その「本当の理由」をなるべく早く突き止める必要があります。
しかし「嫌われたくない」「彼を失いたくない」といった理由から、なかなか追及ができない人が多いのが実情。直接彼を問い詰めたところで、はぐらかされてしまうこともあります。

騙されている側といえ、気づいたら取り返しがつかないことになっているのが独身偽装トラブルの怖いところ。悩んだら経験者や専門家に相談することをおすすめします!

彼氏が既婚だった!独身と騙されてたら貞操権侵害になる?慰謝料の相場や費用など弁護士が解説 彼氏が既婚者だと発覚したら?法的措置や証拠集めを独身偽装に詳しい元探偵が解説
1992年千葉生まれ。普通のOLだったが、“独身偽装”男の被害に遭ったことがきっかけで探偵になる。探偵事務所を経て、現在は探偵紹介サイト「探偵マッチングラボ」相談員として活動している。
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