彼氏が既婚者だと発覚したら?法的措置や証拠集めを独身偽装に詳しい元探偵が解説
独身偽装に気付いた瞬間、絶対にやってはいけないこと
大好きな彼氏が「すでに他の人と結婚していた」という事実に気付いた時、冷静でいられる方が不思議です。
しかしこの時、絶対にやってはいけないのは「勢いで相手を問い詰めること」です。
「独身偽装」の場合、「彼氏の浮気」を問い詰めるのとはわけが違います。
なぜなら彼はそもそも最初からあなたを騙すつもりで関わってきているんです。
そんな相手に対してなんの準備もせず、その場の感情に任せて立ち向かったところで、いいことはありません。
言い争いになったものの結論はうやむやになって、関係をフェードアウトされてしまうケースも非常に多いのが事実です。
独身偽装に気付いてしまった時、あなたがまずするべき行動。
それは、一人になって深呼吸することです。
もし、彼と同じ空間にいるのであれば、いったん離れましょう。とにかく自分の中の激しい感情が落ち着くまで、絶対に行動を起こしてはいけません。
なるべく一人でリラックスできる環境と時間をつくって、感情を解放する。
不安や悲しみに押しつぶされそうになるかもしれませんが、大丈夫。ここから知識を身に付け、適切に対処していけばなんの心配もありません!
既婚が確定!復讐できないの?
騙されていたことが許せない、どうにかして復讐したい、傷ついて立ち直れない、奥さんにバレたらどうしよう、不倫で慰謝料請求されたら……。
彼が既婚だと分かった場合、人それぞれにさまざまな感情が出てくるでしょう。「奥さんや職場に不倫関係をバラしてやる!」と考える方もいるかもしれませんが、奥さん側から訴えられてしまうリスクがあることに注意しなければなりません。
多くの人にとって「すぐに別れ、彼からちゃんとした謝罪を受けること」が最善の結末になると思います。
実は、独身を装った既婚者に騙されて体の関係を持った場合、「貞操権の侵害」で慰謝料を請求することが可能なんです。これが、あなたが彼にできる唯一の“正当な復讐”と言えるでしょう。
貞操権の侵害とは?
そもそも「貞操権」とは「性的関係を結ぶ相手を自分自身で決定する権利」です。
独身だと騙されて体の関係を持った場合、「独身だと思っていたから性交渉に応じたが、既婚者であれば応じなかった」という状態ですよね。
そしてこの「貞操権を侵害された」ということを証明するために必要なものは以下。
・相手が自分自身を独身だと称しているやりとりの記録
・「結婚する」など婚姻関係を結ぶことを示唆する発言記録
・自分と相手の性交渉があった証拠
これらを法的に有効な形で揃える必要があります。
一方で、貞操権の侵害と認められないパターンもいくつかあります。
例えば「ナンパで出会った相手が結婚しようと言ってきた」というようなケース。
ナンパは「独身同士が交際や結婚を前提にした出会い」ではないため、悪質性が低いとされてしまう、「結婚しようと言われた」という“証言”だけでは文字のやりとりに比べると騙されていた証拠として弱い――など。「貞操権の侵害」を成立させるためには、さまざまな条件や、それを証明する証拠が必要になってきます。
証拠集め、自分でできる?プロに頼る?
まず、証拠集めのために自分でできることは、彼とのやりとりをデータにして整理することです。
LINEのトーク履歴を勢いで削除するのは絶対にNG。「結婚しよう」などのやり取りはスクリーンショットを撮っておきましょう。文字の記録として残っていないなら思い出せる限り、会話をメモに起こします。可能な範囲で「相手が独身だと偽ってきた証拠」を集めてください。
マッチングアプリで出会った場合は、相手のプロフィール画面やアプリ上でのやりとりのスクリーンショットも残しておくと良いでしょう。
独身と称してSNSをやっているのであれば、それも証拠のひとつになりうる可能性があります。
ただ「どういったケースのどの発言が効力を持つのか」について、素人の判断には限界があるのも事実。ここで必要になってくるのが「プロの力」です。
探偵に確実な証拠を集めてもらい、弁護士を通して慰謝料を請求する。
自分ひとりの力で慰謝料を請求しようと思っても、うまくいかず泣き寝入り状態になってしまうことがほとんどです。
ここからは、実際にあった、プロに依頼したケースを交えて見ていきましょう。
慰謝料請求、気になるお金のこと(Aさんの場合)
貞操権の侵害を主張できる条件や証拠が揃っても、「裁判ってすごくお金がかかって面倒なんじゃないか…」と思ってしまいますよね。
実際には慰謝料請求のために裁判に至ることは珍しく、ほとんどの場合が弁護士を通した示談となります。
今回はAさんの実例を元に、「慰謝料請求までかかった金額」と「請求できた慰謝料」について解説します。
Aさんの事例
Aさんは交際2カ月の彼氏に対し、連絡の頻度や会う場所などから「既婚者ではないか」と疑い始めていた。
探偵事務所に彼の身辺調査を依頼すると、妻子持ちだということが発覚。調査で押さえた証拠を元に、弁護士を通して慰謝料を請求し、最終的には100万円の示談金を取ることに成功した。
Aさんがまず利用したのは探偵事務所。相談のみであれば無料のところがほとんどです。
調査費用は事務所によりますが、Aさんが利用した事務所の場合、10時間の身辺調査で10万円。
Aさん宅に彼氏が訪れる日に調査員が張り込み、帰宅する彼氏を尾行。すると彼氏は、あっけなく新築の戸建てに帰宅。後日、奥さんと小さな子どもを連れて戸建てから外出する彼氏を探偵が確認し、証拠となる写真を撮りました。
Aさんは探偵事務所とは別に弁護士事務所も探し、「証拠を元にした書類作成」と「彼との話し合いの場に同席してもらうこと」を依頼。
取れた慰謝料から報酬を算出する弁護士事務所だったため、「書類作成」にかかった費用は5万円(慰謝料支払額の5%)、「示談の場に同席」は30万(慰謝料支払額の30%)。計35万円がかかりました。
Aさんが探偵事務所への支払を合わせると総額で45万円になります。
※こちらはあくまでAさんの一例。ケースによって費用は異なります。
そして実際に請求できた慰謝料は100万円になりました。
・Aさんの彼氏は31歳、上場企業勤務のサラリーマンで慰謝料の支払い能力があること
・彼は子どももいて奥さんと離婚するつもりはないため、Aさんとの結婚はあり得ないこと
・Aさんと彼の交際は2か月と、それなりの期間交際したため悪質性がある
これらの状況をふまえ弁護士と相談の上で決めた額面の請求がそのまま通った形になります。
手続きのための費用を差し引いても、結果的にAさんが得たのは55万円になります。
Aさんの例からもわかる通り、慰謝料の請求自体は交際期間の長さに関係なく可能です。ただし、最終的に支払われる金額はケースバイケースで、交際期間も一定程度影響します。
「家族や会社にバレて今の暮らしを失うくらいなら、お金で解決したい」と考える既婚者が多いという事情もあるでしょう。
地域や状況によって異なりますが、大体の相場としては、30万~150万円くらいの金額で示談になっている方が多いよう。
慰謝料の請求を検討する価値は十分にあると思います。
専門家のサポートのもと、適切な対処を
どんなに怪しい条件が揃っていても「彼との関係を壊したくない」といった理由で、違和感から目を背けてしまうケースはよくあります。
しかし、独身偽装に巻き込まれるのは、本当に恐ろしいこと。
騙されていたとはいえ、自分と彼の交際をきっかけに、相手の家族が崩壊してしまう可能性があるうえ、相手の奥さんから慰謝料請求をされるリスクも。交際期間が長くなるほど、自分の人生の大切な時間を無駄にしてしまいます。
独身偽装の被害に遭ったら、問題から目を背けず、そして焦ったり悲観しすぎたりすることなく、まずはプロに相談してみることがベストだと言えます。
そしてしっかりと順序を踏めば彼に慰謝料を請求できるということも忘れずに!
以上「独身偽装完全対策マニュアル」でした。少しでもお役にたてれば幸いです。
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