教えて!弁護士センセイ telling,の「法律未満の何でも相談」27

ちょっとエッチなメッセージのやり取りで「不倫認定」!?気になる慰謝料の額は

そのモヤモヤ、法律を味方にすれば少しだけ生きやすくできるかも!日々の困りごとを弁護士の澤井康生先生が、ミレニアル女子目線で易しく解説します。今回のテーマは、既婚者にちょっとエッチな内容のSNSを送ったら慰謝料を請求されてしまったというお話。最近の裁判例をもとに考えます。 A子:MM商事経理部主任 B子:法務部主任

●教えて!弁護士センセイ telling,の「法律未満の何でも相談」26

B子:A子、お疲れ様。

A子:B子さん、お疲れ様、実はちょっと相談したいことがあって。

B子:また恋愛トラブル? 今度はどうしたの?

A子:今回は私じゃなくて私の弟のトラブルなのよ。

B子:A子に弟がいるなんて知らなかったわ。それで何があったのかしら?

A子:弟には昔付き合っていた元カノがいてね。その元カノは今は別の男性と結婚して人妻なのよ。だけど弟は元カノのことが忘れられないみたいで、ずっと彼女とメッセージのやり取りを続けて、頻繁に性交渉を求めるメッセージを送っていたらしいのよ。

B子:あらあら。それで?

A子:そのメッセージのやり取りが元カノの旦那さんにばれてしまったことで、元カノ夫婦の仲が悪化して別居状態になっちゃったの。それで元カノの旦那さんから弟に対して、不貞行為、つまり不倫を理由とする300万円の慰謝料請求の内容証明郵便が来ちゃったのよ。

B子:なるほど。確認だけど、元カノがその旦那さんと結婚してからは、弟さんとはそういう関係にはなっていないのよね?

A子:ええ、うちの弟が言うには元カノが結婚してからはそういう関係は一切ないっていうのよ。あくまでメッセージのやり取りだけで、実際にそういう関係になったことはないのよ。

B子:だったら原則として不倫は成立しないと思うんだけど。ちなみに問題になっているそのメッセージのやり取りってどんな内容なのかしら?

A子:それがちょっと恥ずかしいんだけど、以前、弟と元カノが付き合っていた当時の性交渉の内容、ちょっとここでは言えないような単語を露骨に挙げて、またこういうことをしたいって誘うメッセージを送っていたのよ。

B子:う~ん、それは微妙なケースね。

A子:確かに人妻にそんなメッセージ送るのはいけないと思うけど、実際には弟は元カノとの間で直接不倫になるような行為は全くしていないのよ。

B子:実は以前、同じような事件があったの。それで裁判所は「性的関係を有していたことを前提として性的行為の内容を露骨に記載して性交渉を求めることは不貞行為には該当しないものの、これに準ずるものとして社会的に許容される範囲を逸脱し、婚姻関係の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する」と判断したのよ(東京地裁平成29年9月26日判決を簡略化しています)。

A子:つまり不倫そのものではないけど、以前に体の関係があったことを前提にしてそういう内容のメッセージを送ることで実際に夫婦関係を悪化させた以上、不倫に準じて損害賠償責任を負うっていうことなのね。

B子:そうそう、最近のA子は理解が早いわね。またまた偏差値UPね。

A子:ちゃかさないでよ。ちなみにその事件では慰謝料はいくら認められたの?

B子:慰謝料は30万円と認定されていたわよ。実際に不倫そのものをしたわけじゃないから通常の不倫で支払わされるよりも少ない金額ね。

A子:よかった~。300万円じゃなくて30万円なのね。少しほっとしたわ。

B子:でもA子ったら、姉弟そろって恋愛トラブル多いわね。

A子:モテ期みたい。人気者はつらいのよね(笑)。

B子:A子ったら、懲りないわね(汗)。

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■澤井康生先生のプロフィールはこちら
元警察官僚、警視庁刑事を経て旧司法試験合格。弁護士でありながらMBAも取得し現在は企業法務、一般民事事件、家事事件、刑事事件などを手がける傍ら東京簡易裁判所非常勤裁判官、東京税理士会インハウスロイヤー(非常勤)も歴任。公認不正検査士の資格も有し企業不祥事が起きた場合の第三者委員会の経験も豊富、その他テレビ・ラジオ等の出演も多く幅広い分野で活躍。東京、大阪に拠点を有する弁護士法人海星事務所のパートナー。代表著書『捜査本部というすごい仕組み』(マイナビ新書)など。

元警察官僚、警視庁刑事を経て旧司法試験合格。MBAも取得し現在は企業法務、一般民事事件、家事事件、刑事事件などを手がける傍ら東京簡易裁判所非常勤裁判官、東京税理士会インハウスロイヤー(非常勤)も歴任。
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