telling, Diary ―私たちの心の中。

「鉄を熱いうちに打てない」コロナ禍の恋人探しの現場から

4度目の緊急事態宣言が発令されている東京都。「家族や同居者以外との大人数・長時間の集まりや会食は控えて」コロナ感染拡大が広がるなか、友人との会食もままならない現在、恋人探しは至難の業といえます。2020年12月に恋活への決意をあらたにした神山園子さんもコロナ禍の恋人探しの難しさを実感しているといいます。あと何年この状況でガマンを続けるのか、神山さんが感じるモヤモヤとは……。

コロナ禍でイチから恋人を探すのは非常に難しいです。まさに恋活中の筆者は、今年に入ってからより恋人探しに厳しさを感じることが増えました。度重なる緊急事態宣言で飲食店が閉まってしまう、そもそも恋人探しを目的として異性と会うことに後ろめたさを感じてしまう。そんな時にふと芸能人の交際報道や、友人カップルのSNSを目にすると何とも言えないモヤモヤと、焦燥感を覚えてしまいます。

年末の結婚ラッシュで「あれ?」と思った

2020年の12月、私は「来年こそは長く付き合える彼氏を見つけるぞ」と恋活への決意を新たにしていました。しばらく放置していたマッチングアプリにログインし、メッセージのやりとりを開始。それでも全国で爆発的な感染者の増加が報じられる中、「会えるのはずいぶん先になりそうだな」と感じていました。

そのまま年末年始を迎えると、例年通り芸能人の結婚報告が相次ぎました。なかには「コロナ禍、おうちデートで愛を育み……」といったなれそめのカップルもおり、私は内心「自粛しろ!」と憤りました。コロナ前からのお付き合いならまだしも、コロナ禍に出会い~結婚に至るまでの人間関係を築けるってことは、どこかの段階で自粛ルール破ってたよね?という気持ちにさせられました。

その時にふと『感染者が減ったらお会いしましょう』とか『マスク会食でよければお会いしましょう』と律義に自粛を守ってる自分ってなんなんだろう?とモヤモヤしました。こちとら毎晩ふいに襲ってくる孤独に耐えているのに……?

それでも緊急事態宣言が出ている間はアプリで仲良くなった人とリアルで会わず、「ビデオデート」を行っていました。ビデオデートだけで交際まで至る人もいるようですが、やはり決め手には欠けるため「緊急事態宣言が明けたらリアルで会いましょう」という約束をしました。しかし、1月8日に始まった2回目の緊急事態宣言が明けたのは3月21日……。その間に会いたい気持ちはお互いすっかり冷めており、そのままフェードアウトとなりました。鉄を熱いうちに打つこともできない。コロナ禍での恋活のままならさに落ち込み、くじけそうでした。

続く緊急事態宣言

3月末、緊急事態宣言が明けてからは数人の方とアプリ経由でお会いすることができました。そのうちの一人とは、テラスのあるカフェや公園でのデートを重ねて、もう一歩踏み込んだ関係になりたいと思うようになりました。そこで「次はお酒を飲みながら話したいです」と伝えて了承してもらったのですが、タイミング悪く4月25日から3回目の緊急事態宣言が発出されました。酒類の提供は原則禁止となってしまいます。
お相手は私以上に感染に気を付けている方だったので、「闇営業やってるところならありますけど……」とは言えませんでした。私は正直飲みに行きたかったのですが、それを伝えても「モラルの無い女」となって結局付き合えなかった気がします。ここでは感染症への意識の差が交際のハードルとなっていました。結局その方とは次回の約束が取り付けられず、またもフェードアウト。

落ち込んでいると、大好きな芸能人が結婚を発表したというニュース速報がテレビから流れてきました。お相手の方とはこの半年でぐっと距離を縮め、結婚に至ったとのことでした。本気でおいおいおい!!!とテレビに向かって叫びました。

ついに命がけの恋活へ

3回目の緊急事態宣言が6月20日に終了したかと思えば、すぐに感染者が増加に転じて7月12日には4回目の緊急事態宣言が発出。そしてオリンピックも開催され、感染状況は過去最悪なものとなっていきました。

このころから「緊急事態宣言の効果なく、人流が減らない」と言われ始めますが、そりゃそうだよなと感じます。だって、自粛を守っていない人がどんどん幸せを掴んでいくの見せられちゃってますもの。誰も自分の幸せの損失を補償してくれないんだから行動しますよね。

私もこの状況下ですが、またマッチングアプリ経由で人とお会いしています。マスク・手洗い、3密を避けるというのは実行していますが、完ぺきではないと思います。3密を避けての恋愛というのは難しいのです。もちろん自己責任だと思っていますし、これで感染しても文句は言いません。28歳からコロナ禍になって、気づけば30歳になって、あと何年我慢したらいいのか。この数年での出産を考えている人なんかは、もっと決死の思いで恋活していると思います。私はそれを責める気にはなりません。

命がけで会いに行って、それでもうまくいかないことがほとんどです。家に帰るともう本当に落ち込みます。こんな時期に恋活してる罪悪感、もうこのまま一人なのかなという絶望感、感染したかもしれないという恐怖感もあります。だけど自分の人生を前に進めるために、行動していくしかないのかなと思っています。

1991年生まれ。芸能・出版などマスコミ業界で働く会社員。リアルなミレニアル世代として、女性特有のモヤモヤや働き方などを主なテーマに記事を執筆中。
telling,Diary