自分を変える、旅をしよう。

「共通言語は笑顔、しゃべれなくても距離は縮まる」T’sレストラン・下川万貴子さんが旅に出て気づいたこと

旅によって人生が変わった人や、旅を通した生き方をリーマントラベラーの東松寛文さんが紹介する「自分を変える、旅をしよう。」。24回目に登場するのは、東京・自由が丘にあるT’sレストランのディレクターでデザイナーの下川万貴子さん。初めての海外旅行から、旅にハマッたきっかけまでうかがいました。

自分を変える、旅をしよう。24・前編 下川万貴子(32)

リーマントラベラーの東松寛文です!今回お話をうかがうのは、東京・自由が丘にあるT’sレストランのディレクターでデザイナーの下川万貴子さん。肉・魚介類・乳製品・卵を一切使用しない植物肉専門店、ヴィーガンレストランとして人気です。下川さんにとって旅とは? 旅からレストラン運営にいかしていることも聞いてみたいと思います。

――下川さんは旅にハマる前、どんな働き方や生き方、考え方をしていたのですか?

下川万貴子さん(以下、下川): 昔から好奇心旺盛で、いろいろと知識を得たり、やってみたくて、気になるとつい飛び込んでしまいます。そのため、国内でも海外でも、自分とは違う価値観を持つ人の考えに触れることも好きでした。旅をして、さまざまな文化や習慣を知ることができるのはとても楽しい時間です。気づくと自然と旅をするようになっていました。

――当時、感じていた悩みや気にしていたことはありますか?

下川: 英語力に自信がなくて、話しかけられるとちゃんと伝えられるかなと緊張していました。その後、T'sレストランにいらっしゃるお客様とのコミュニケーションや旅を通して、共通言語は笑顔であり、流暢にしゃべれなかったとしても距離は縮まるし、思いは伝わるし、楽しめる!ということがわかりました。

初めてのシンガポールで。右のふたりに案内をしてもらった

――ところで、下川さんはいつから旅をしているのですか?

下川: 初めての海外旅行は、20歳の時に家族で行ったシンガポールでした。両親の仕事上、休みであっても急な対応があるため、それまでの旅行は国内に限られていました。シンガポールのいいところは、あまり時差もなく、帰国した翌朝から仕事や学校に行くことができることです。また、アジアのハブとも呼ばれるように、世界中の人が集まる国際色豊かな場所で、さまざまな体験ができました。

――初海外のシンガポールはいかがでしたか?

下川: シンガポールでいろいろな人・物・事に触れるなかで、「当たり前」は当たり前ではないことを実感しました。私たち家族は初対面の人とも比較的フランクにコミュニケーションをとり、仲良くなることが多いのですが、シンガポールの旅行中もたくさんの出会いに恵まれました。会いたい人たちがいることは、その国をまた訪れたい理由のひとつになりますよね。なんと縁があり、それから10回ほどシンガポールに行くことになるのですが(笑)。

――シンガポールではどんな旅をしたのですか?

下川: 現地にいた知人に案内してもらい、またとない時間を過ごすことができました。シンガポールのヴィーガン事情を体感できたり、お家に招待してもらい、現地の家庭料理を食べる機会があったり、友達を紹介していただいたり……。現地の生活を体験しているように旅をしたい……その場所や瞬間でしか経験できないことが好きなのは、この時の体験がきっかけとなったのかなと思います。

シンガポールには仕事でも

――ところで、下川さんが旅にハマったきっかけは、いつ、どこへ行った時ですか?

下川: 2010年の夏に行った、徳島阿波踊りです。歌舞伎や寄席など日本文化をともにに体験することを趣味として楽しんでいた大学時代の友人と、「日本の三大祭りのひとつである、阿波踊りも生で見てみたいよね」と計画を立てました。

――生で見る阿波踊りは壮観ですよね!

下川: 阿波踊りを踊ってる方たちがすごく楽しそうで、それが見ている人にも伝わって、街全体が活気にあふれていました。その空気に巻き込まれて、観光客だった私たちも気づいたら浴衣に着替え、連に所属していなくても踊れる場所で参加者になっていました(笑)。とにかく楽しかった!楽しんで取り組んでいる思いはこうやって伝わっていくんだなと感じた瞬間でした。

――阿波踊りの体験がレストランにもつながっているのですね。

下川: 作り手の思いが料理や空間を通してお客様に伝わり、おいしさに驚いたり、感動したり、楽しんでいただいて、笑顔の循環が生まれてほしいと、阿波踊りを通して感じたことを覚えています。
祭りに参加した日に偶然、阿波踊りの連に所属している友人とばったり会い、翌年から2019年まで、毎年阿波踊りに踊る側として参加するようになりました。毎年非日常のお祭りを楽しんでいました。残念ながら、2020年、2021年はコロナで中止。またみんなで踊れる日が来てほしいですね。

高知県仁淀町で宿泊した学校の図書室で、だるまさんが転んだ

――そうですね。阿波踊りだけでなく、ほかに訪ねた場所はありますか?

下川: 初阿波踊りの後に、高知県にも行きました。高齢化・過疎化が進む、仁淀町にある廃校の小学校を改装した宿泊施設に泊まりました。近隣の高齢者の方たちが日直のようなイメージで宿泊者の受け入れを担当するんです。実は、事前に予約の連絡を入れた時は残念ながら満室でした。どれだけ楽しみにしていたのかを伝えたところ、「熱意に負けた」と特別に図書室に泊まれることになりました。

他の宿泊客のお子さんたちと図書室で追いかけっこをしたり、家庭科室で日直のおばあちゃんがご飯を作ってくれたり、校庭で星を眺めたり……。本当に特別な体験でした。
非日常の時間をとことん楽しめて、まだまだ知らないことがたくさんあるんだなと、感じました。もっとさまざまな場所でいろいろな体験をしたいという気持ちが強くなる旅でした。

トラベルクリエイターSAORIさん「旅は刺激。自分自身の許容範囲を広げてくれる」 「旅に出て、自分のご機嫌を取ることがうまくなった」T’sレストラン・下川万貴子さんがヴィーガンを広めたい理由
平日は激務の広告代理店で働く傍ら、週末で世界中を旅する「リーマントラベラー」。2016年、毎週末海外へ行き3か月で5大陸18か国を制覇し「働きながら世界一周」を達成。地球の歩き方から旅のプロに選ばれる。以降、TVや新聞、雑誌等のメディアにも多数出演。著書『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(河出書房新社)、『休み方改革』(徳間書店)。YouTube公式チャンネルも大好評更新中。
リーマントラベラー