トラベルクリエイターSAORIさん「一度きりの人生、好きなことをして生きたい」安定した会社員を辞めたワケ
自分を変える、旅をしよう。#23 SAORI(33)前編
リーマントラベラーの東松寛文です!今回お話をうかがうのは、トラベルクリエイターのSAORIさん。ご本人いわく“普通の会社員”だったSAORIさんがトラベルクリエイターとして活躍するようになるまでを聞いてみたいと思います。
東松寛文(以下、――): 2019年に会社員を辞めて、フリーランスになったそうですね。今のお仕事を始められたキッカケを教えてください。
SAORIさん(以下、SAORI): 当たり前のように大手企業に就職し、普通の会社員生活を送っていて、ある時ふと、「このまま同じ生活をあと何十年と続けていくのかな」、「一度きりの人生なのだから、“好きなことをして生きたい”」と思ったのがキッカケです。
――それで退職されたんですね。
SAORI: ところが、そう思ってから会社員を辞めるまで3年くらい葛藤したんです(笑)。その間も旅先でたくさんの人や価値観と出会い、「私の幸せとは?」「人生とは?」をたくさんたくさん考えました。その結果、ようやく大好きな旅行をしながらその魅力を伝えて、より多くの人にポジティブな影響を与えられる人になりたいと思い、SNSで発信するために写真や文章のスキルなどを磨き始めました。
――旅することで、自分の生きる道が明確に見えてきたんですね。SAORIさんが旅にハマる前は、どのような働き方や生き方、考え方をしていたのですか?
SAORI: 上場企業勤めの普通のOLでした。いわゆるホワイト企業だったので、毎日定時に帰れて有給休暇も好きに使っていたので、恵まれた環境でした。当時はとにかく“普通”の生活を送りたかったので、その会社を選んで正解だったと思います。そういう考えになったのも、学生時代は目立つことが多くて、なんとなくそれをよくないと感じていたから。社会人になる頃には“普通”でいることが大事!と思うようになっていたんです。
――その時に感じていた悩みや気にしていたことはありましたか?
SAORI: 「このままでいいのかな?」とずっと悩んでいました。安定して不自由ない生活を送っていたからこそ、定年まで働いて稼げる金額や貯金額はだいたい想像できますが、想像の範囲のことをして一生が終わってしまうんじゃないか、と……。でもそれと同じくらい、普通じゃない道を選んだ時に、私には何ができるんだろうという悩みもありました。普通に生きてきたからこそ、道をそれることに対しての不安が大きかったです。
――確かに会社員であれば収入は安定しますが、先が見えてしまうこともありますね……。ところで、SAORIさんは、いつから旅をしているのですか?
SAORI: 初めての旅は小学生の頃に両親に連れて行ってもらった、オーストラリアです。カフェで食べた朝食のハンバーガーと飲み物の大きさにびっくりしたり、裸足で歩いている人やフレンドリーに話しかけてくれる人がたくさんいたのを覚えています。自力で初めて行ったのは、19歳の頃に友人と行ったバリ島。リゾート地で、英語が話せなくても大丈夫そうで、バイト代で行けるところという条件で、バリを選びました。自分で予定を立てて海外旅行に行くのは、英語が話せない私にとってはちょっとした冒険で、綿密に計画をしてドキドキしていた記憶があります。ビーチでラクダに乗ったり、クラブで踊ったりと、リゾート旅を満喫し、トラブルなく帰ってきたときは、達成感すらありました(笑)。
――その気持ち、わかります(笑)。旅にハマったのは、いつ、どこへ行った時でしたか?
SAORI: 気づいたらハマっていたので、いつからと聞かれると難しいのですが……。会社員4年目くらいから、お金や休みに余裕ができたので、年に4回は旅に出ると決めていました。その頃は近場の東南アジアに行くことが多く、同じ年にタイ(バンコク、サムイ、プーケット)に3回行ったり、次の旅があるから仕事をがんばれるという旅中毒になっていました。普段の生活が地味だった分、旅に出るときが素の自分になれる感覚もあってハマったんだと思います。もともと、人前で話すのも苦手なタイプでしたが、旅に出ると知らない人と話して仲良くなっていたり、自分の変化も感じていました。
――今までに一番印象に残っている旅先はどこですか?
SAORI: エジプトです。2018年の夏に、ギザ、アスワン、ルクソールなどを巡りました。小さい頃から「世界ふしぎ発見」などの世界各国をテーマにした番組が好きで、画面越しに見ていた遺跡を実際に見ることができて、とにかく大興奮! 特に、アブシンベル神殿で迎えたサンライズは格別でした。ただ、エジプト旅は不便なことも多く、空港で全員の荷物が1時間以上出てこなかったり、砂漠の中を車で4時間移動したり、3日間過ごしたナイル川クルーズのスタッフにぼったくられそうになったり……(笑)。でも、そういう不便さが旅の楽しさや思い出を濃くしてくれるので、またいつかエジプトを訪れたいと思ってます。
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