自分を変える、旅をしよう。

旅とは、自分だけの「価値観=ものさし」をオーダーメイドしていくこと(後編)

旅によって人生が変わった人や、旅を通した生き方をリーマントラベラーの東松寛文さんが紹介する「自分を変える、旅をしよう。」。後編も大学勤務の有本佳那子さんに、リーマントラベラーと出会って変わったことから旅することで変わったこと、将来の夢を聞きました。

●自分を変える、旅をしよう。22・後編 有本佳那子(33)

リーマントラベラーの東松寛文です! 前編ではご自身の殻を破り、旅することにハマるまでをうかがいました。後半では、旅することで気づいたことを聞きます!

東松寛文(以下、――): 前編では旅にハマるまでのお話をうかがいました。後編ではまず、リーマントラベラーを知ったキッカケを教えてください。

有本佳那子さん(以下、有本): 2年ほど前、東松さんが大阪で旅の報告会をした時に参加させていただいたのがきっかけです。たまたまネットで東松さんのイベントを知って、「サラリーマンでこんな濃い旅をしている人がいるんだ!」と励まされて、ワクワクしたのを覚えています!

――ありがとうございます。リーマントラベラーの輪が広がってうれしいです。参加いただいた時に何を感じましたか?

有本: 社会人になると、海外旅行に行くことができても、人生を揺さぶる「経験としての旅」をしている人はそんなに多くないと思います。
ちょうど報告会に参加した頃は、「この好奇心はそろそろ封印しなきゃいけないのかな……」と思っていた頃でした。ところが、東松さんのように全力で仕事をしながら「旅」を両立する姿を見て、まさに自分が求めていたのは「これだ!」と思いました(笑)。そして、私もサラリーマンをしながら旅を続けることに自信が持てました。

――同じ志を持つ人と出会えて僕もうれしいです!

有本: 「旅」は究極の娯楽のように思われがちですが、それは旅する人次第だと思います。全力で仕事をするのと同じように、全力で「旅」をすることで、日常では決してできない経験をすることができます。こういう経験は、お金では買うことのできない、「唯一無二の人生の宝」ではないでしょうか。

キューバのカサ(民宿)で。クリスマスだったので、宿のお姉さんがごちそうを作ってくれた

――有本さんが旅に出るようになって、変わったことはありますか?

有本: 「こうあるべき」という考えがだんだん柔軟になってきたように思います。昔の自分は周りの目を人一倍気にしていたので、自分のやりたいことや意見があっても表に出せませんでした。
でも、いろいろな国に行って、いろいろな人と話すうちに、自分が「こうあるべき」と頑なに思ってきたことは、これまでの自分が勝手に作り上げてきた「偏見」みたいなものかなと思うようになりました。
「こうあるべき」が人一倍強い性格だからこそ、旅を通していろいろな人の価値観に触れることで、自分を縛っている凝り固まった考えをその都度見直す習慣がつきました。

――旅に出ると視野が広くなり、新たな価値観を受け入れられるようになりますね。

有本: とはいえ、旅をしていないときは普段の行動範囲の中で過ごしているので、気づかないうちに視野が狭くなっていることもしばしばです。ここ1年は特に,「残りの人生、自分はどう生きたいか」を日々考えるよう意識しています。

――逆に、旅に出るようになっても、変わらなかったことはありますか?

有本: 「三つ子の魂百まで」ではありませんが、やっぱり生まれ持った感性や性質は簡単に揺るがないなと思います(笑)。旅先では、いろいろな文化や価値観を知って共感することもあれば、理解に苦しむこともあります。でも自分がピンとくる価値観は、実は自分の心の奥底が「すでに知っている」ことが多いのではないでしょうか。
例えば、私はフィジーやニューカレドニア、パラオなど南国に強く心惹かれます。コバルトブルーの透き通った海、柔らかい風、陽気な太陽も含めて、そこで暮らすおおらかな南国の人々の屈託のない笑顔が大好きです。たぶんそれは、自分が心配性で保守的な性格なので、自分と真逆なものに惹かれるからかもしれません。
こんなふうに、自分の本質はそうそう変わらないし、ムリに変える必要もないけれど、旅をすることでいつもの自分からしばし旅立つことができる、それが旅の大きな醍醐味だと思います。

ニューカレドニアの夕暮れ。海も人も街も、穏やかに感じた

――有本さんにとって、“旅”とは?

有本: 『自分だけの「価値観=ものさし」をオーダーメイドしていくこと』です。海外に行くと、日本の価値観と似ても似つかない習慣や文化にビックリすることがよくあります。
例えば、私がキューバを訪れた時、食料はいまだ配給制で物資も不足し、公務員の月収が3000円程度(お医者さんでも月収8000円程度)という状況でした。そのような中でも、もちろん全員がそうではありませんが、老若男女関係なく熱い恋愛を楽しんでいる人たちをたくさん目にしました。
そんな光景を見て、「結局、全人類に共通した幸せの“ものさし”なんてない」ことに気づきました。

――自分だけのものさしをオーダーメイドする!すごくいい表現です。

有本: 仮に、どれかのものさしに従って必死で生きたとしても、ほかのものさしで測られた瞬間、またイチから別のものさしに従って自分を変えていかないといけません。
それなら、「決められたものさし」に従って生き続けるよりも、いろいろな景色を見て、いろいろな人と出会って「これイイ!」と思える価値観(ものさし)を「オーダーメイド」した方が、はるかに素敵な生き方ではないでしょうか。
そして、その「オーダーメイドのものさし」をつくるのに必要不可欠なのが、私にとっては「旅」なんです。

――有本さんが次に行ってみたい旅先を教えてください。

有本: タヒチに行きたいです。昔から憧れている島なので、ここぞというときに行こうと温存している旅先です。せっかく行くなら、タヒチアンダンスを踊れるようになってから行って、タヒチの方と一緒に踊りたいですね。
ただ、海外渡航が自由にできるまでには、もう少し時間がかかりそうなので、国内の小笠原諸島に行って野生のイルカに会いたいという野望も抱いています。昔から野生のイルカと一緒に泳ぐのを夢見ていたので、イルカについていけるようにスキンダイビングにも挑戦したいです。

パラオの海で。海の中にいると、からだ中の細胞が「帰ってきたぜ~」と叫んでいる気がする(笑)!

――最後に、これからの夢や目標を教えてください。

有本: 一昨年から、発展途上国の女の子を支援するNGO団体「Plan International」をサポートしています。「女の子に生まれた」というだけで教育を受けられなかったり、ひどい扱いを受けて生きている女の子たちがたくさんいることを知りました。そこから、どこで生まれても、自分で自由に選択ができる世界になればいいなと強く思うようになりました。私自身、恵まれすぎた環境にいる分、感謝を忘れず、限られた人生の時間を意味のあることに使っていきたいです。

―― コロナ禍では旅することが難しいので、支援することで世界とつながっているんですね。

有本: そうですね!そしてこれからの小さな目標は、「自分に嘘をつかずに毎日を過ごす」ことです。日常の小さなことになると、ついつい自分の本心を隠して思うような選択ができないことが多いので、「小さな積み重ねが人生を作っていく」ということを忘れず、できるだけ幸せを感じられる、小さな選択を積み重ねていきたいです。
いつかおばあちゃんになった時、「おばあちゃんの人生最高だった~!」と満面の笑みで言うことが目標です!

平日は激務の広告代理店で働く傍ら、週末で世界中を旅する「リーマントラベラー」。2016年、毎週末海外へ行き3か月で5大陸18か国を制覇し「働きながら世界一周」を達成。地球の歩き方から旅のプロに選ばれる。以降、TVや新聞、雑誌等のメディアにも多数出演。著書『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(河出書房新社)、『休み方改革』(徳間書店)。YouTube公式チャンネルも大好評更新中。
リーマントラベラー