なんてスムーズな展開! ゲーム下手が見て感心したNetflix『バイオハザード: インフィニット ダークネス』
●熱烈鑑賞Netflix 76
主人公、実況で観たことある!
ゲームをほとんどしたことがない。とにかくスタート早々に行き詰まり、どうしたらいいのかわからなくなる。本来戦いが主眼ではないはずの「リングフィットアドベンチャー」でさえ、途中で敵が倒せなくなり挫折した。
そんな自分でもゲームを楽しめる方法が、YouTubeのゲーム実況を観ることだ。自分が操作しなくても、ゲームの展開がわかる。同じところで何度も失敗する様子さえ面白い。だって自分がやるのとは違って、最終的にはちゃんと進んでくれるし! だから『バイオハザード』は自分にとって「狩野英孝やすゑひろがりずがやっていたアレだ」という認識。彼らの実況でしか体験していないから、展開を正しく理解できているかは危ういけれど……。
Netflix独占配信の『バイオハザード:インフィニット ダークネス(BIOHAZARD : Infinite Darkness)』はシリーズ初の連続CGドラマだという。『バイオハザード2』に登場した人気キャラクター、レオン・S・ケネディとクレア・レッドフィールドの2人が軸。ホワイトハウスがハッキングされ、合衆国エージェントのレオンはその原因を探るなかで、ゾンビに遭遇する。一方、クレアはかつて戦闘の起こった地域の難民支援でウイルス感染者を描いたらしき奇妙な絵を見つけるーー。レオンとクレア! この二人は知ってる、実況で観た! この時点でだいぶ親しみを感じている。レオンは今作でスーツ姿になっていたけど、クレアは相変わらず赤い革ジャン姿一辺倒だ。
ラスボスの悲劇がようやくわかった
2017年に公開された映画『BIOHAZARD : VENDETTA』で製作総指揮にあたったのは『呪怨』シリーズの清水祟監督だった。今回の監督を務めたのは『海猿』『MOZU』などの羽住英一郎。そのため、恐怖よりもドラマやアクションに重点が置かれている印象。「ホラーが苦手な人でも楽しめる」というフレーズは紋切り型だけれど、このシリーズはまさにそれだ。もちろんスリリングなシーンはあるけれど、気持ち悪い怖さはゲームに比べてかなり抑えめに作られている印象。
それだけに、最強の生物兵器「タイラント」が登場したときには、クリーチャー系が比較的苦手な自分でさえ「待ってました!」と嬉しくなってしまった。もはやスター的な存在感。「ラスボス倒すの大変なんだよね〜」とやったこともないのに思ってしまう。ゲーム実況を観ているだけだとタイラントの悲しみをいまいち把握できていなかったけれど、このドラマをちゃんと追っていると彼の存在自体の悲劇性が感じられて、クライマックスの見応えがゲームとは断然違ってくる。
カメラの揺れのリアリティ
2019年にリメイクされた『バイオハザードRE:2』の美しく細やかなグラフィックに観慣れていても、ふと「これ、実写じゃないんだよな」と驚く瞬間がたびたびやってくる。全く違和感なく観られるのは、CG自体のクオリティの高さはもちろん、アングルの生々しさが大きな理由だろう。たとえば「エピソード2」でレオンと同僚であるジェイソンが上海のある場所で対話するシーンでは、戸棚を開いて武器を取り出す一連の動きが、手もとのアップで繋がれていく。カメラが微妙に揺れ、狭い部屋で撮影しているカメラマンの存在さえ見えてくるような錯覚を覚える。
25分×4回という長さも絶妙だ。一気に観ると、ちょうど1本の映画を観たような満足感を味わえる。唯一不満があるとしたら、ゲーム実況を見慣れていると展開がスムーズすぎることくらいだろうか。
『バイオハザード: インフィニット ダークネス』
原作・製作・監修:株式会社カプコン
監督:羽住英一郎
脚本:武藤将吾、羽住英一郎
声の出演:森川智之、甲斐田裕子、立木文彦、潘めぐみほか
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