Netflix『瞳の奥に』が凄い、一切情報をいれずに観たほうがいい
●熱烈鑑賞Netflix 67
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「何も聞かずに絶対に観たほうがいい」「エンディングがヤバすぎ」「俺は好きだけどオススメしていいものかどうか!」等と、賛否両論が渦巻くNetflixドラマ『瞳の奥に』。
全6話(50分×6話)のリミテッドシリーズ。
いやいや、完全にオススメです。でも、何も書けない。レビューをこれ以上読まずにすぐ観たほうがいい。事前知識なしに作品を観るのが難しくなってきた今、何も知らずに観たほうがいい。
あきらかに「何か」が潜んでいる
原作は、サラ・ピンバラのベストセラー小説。「驚いた読者の間でハッシュタグ「#WTFThatEnding(何だあのエンディング)」が流行った」なんて紹介されているが、これは出版社のプロモーションの一環だから、そこを隠すのはフェアじゃないだろう。っても、まごうかたなき「#WTFThatEnding(何だあのエンディング)」作品であり、キャンペーンが成功したのも、作品のエンディングが持つ強さあってこそ。
製作総指揮は、『ハンニバル』『Marvelパニッシャー』のスティーヴ・ライトフット。
ドラマ版の主人公は、シングルマザーのルイーズ(シモーナ・ブラウン)。バーで出会ったデビット(トム・ベイトマン)といい感じになり、キスをしてしまう。が、実は、自分が勤める精神科医院の新しい上司だと分かって気まずい。しかも、既婚者、妻もいるのだ。
さらに、ルイーズは、デビットの妻アデル(U2のボーカルであるボノの娘イヴ・ヒューソン)と道でぶつかる。怖い夢を見て目覚めてしまう悩みを共有して仲良くなるふたり。
ルイーズとデビットは肉体関係を結び、さらに妻のアデルとも深い友情を築く。それぞれに内緒で。
第1話は、不倫の物語であり、愛と友情に板挟みの危険な人間関係を描いたスリリングな恋愛ドラマとして観れてしまう。いや、そう観たほうが楽しい。だが、不穏な雰囲気はひたひたと忍び寄ってくる。
アデルがかつて療養施設にいたこと。そこで知り合った問題児ロブ(ロバート・アラマヨ)との絆。火事で両親を亡くし、そのときにアデルを救ったのがデビットであること。こうやって事実のみを書き出すと、何も不穏ではないのだが、あきらかに「何か」が潜んでいることが伝わる
贅沢な物語構成
視聴率を気にするならば、後半の展開をもっと前にもってきたかもしれない。怒涛の展開をほぼ6話だけに凝縮したのがよかった。前半5話(いや、このドラマ5話が前半で6話が後半なのですよ!)で、ためにためた不穏さをイッキに炸裂させて、ツイストしまくってストンと終わる。
ジャンルは違うけど、リミテッドシリーズの『クイーンズ・ギャンビット』が、ベス(アニャ・テイラー=ジョイ)の勝ち昇る人生を6話かけてじっくりと描いておいて、ラスト7話で少年ジャンプ的な友情勝利努力を詰め込んでストレートにカタルシスを与えた手法と同じ。贅沢な物語構成なのだ。
じゃあ前半5話が退屈かといえばそうではない。
めちゃくちゃよくできてる恋愛ドラマとして始まって、どんどん不穏さが積み重なっていく。これ、ちがう、なんか違う、って不安になりながら観るといい。アデルの表情、包丁でパプリカを切ってるときの音響効果!
大人のドラマとしてリメイク希望
改めて見直すと、ガチガチに伏線貼りまくり。アデルの不可解な行動も振り返って観ると納得がいくし(とはいえ、どういう気持ちでお前はやっとんのか、って二度目観るときはツッコミながらが楽し)、あの場面のカメラのアングルはアレがアレしてるわけだし、あのアレのアレがアレだし(書けません)、料理へのこだわりはあのシーンのアレと呼応してるし(書けません)、そしてタイトルの意味!
全貌を知ってから観ると、アレがアレでアレなのねって分かる作りなのだが、それを分からないまま手渡される不穏さは格別。圧力をゆっくりと増していくようなメロディラインを抑えた音楽が心騒ぎを引き起こす。
登場人物の未来を考えると、完全なバッドエンドなのだけど、ここまで衝撃的な展開だと、いっそ清々しいのではと錯乱してしまうほどだ。
夜10時、地上波、大人のドラマとして、安藤サクラ、北川景子、中村倫也、賀来賢人で日本版リメイクしてほしい。
「なんか変な恋愛ドラマが面白いらしいんだよ」と何も明かさずにパートナーを誘って一緒に見るとガチ盛り上がりすると思うので、ぜひ。
『瞳の奥に』
製作総指揮:スティーヴ・ライトフット
脚本:スティーヴ・ライトフット、アンジェラ・ラマナ
出演:シモーナ・ブラウン、イヴ・ヒューソン、トム・ベイトマンほか
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