熱烈鑑賞Netflix

Netflix「悪霊狩猟団:カウンターズ」は「梨泰院クラス」の後を迷っている人に激オススメ

世界最大の動画配信サービス、Netflix。いつでもどこでも好きなときに好きなだけ見られる、毎日の生活に欠かせないサービスになりつつあります。そこで、自他共に認めるNetflix大好きライターが膨大な作品のなかから今すぐみるべき、ドラマ、映画、リアリティショーを厳選。今回ご紹介するのは、韓流ドラマ「悪霊狩猟団:カウンターズ」。昼は麺物屋の店員、夜は悪霊と戦う正義の味方。特別な力を与えられたカウンターたちのアクションが楽しい!次に何を見ようか迷っている人に激押ししたい理由とは?

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こんなタイトルだけど、ホラーじゃない

「愛の不時着」と「梨泰院クラス」を観終わり、次はどの海外ドラマを観ようかと迷っているそこのあなた。
韓国ドラマは好きだけど、ロマンティック・コメディはちょっと甘すぎると感じているそこのあなた。
騙されたと思って、Netflix「悪性狩猟団:カウンターズ」を観てください。
はっきり言って、めちゃくちゃ面白いです。
燃えます。笑えます。泣けます。考えさせられます。胸が熱くなります。
アクションもある。友情もある。復讐もある。社会問題もある。家族愛もある。
そして大事なポイント。
こんなタイトルだけど、ホラーじゃない!(原題は「驚異的な噂」)

スタジオドラゴン謹製のアクションドラマ

「悪霊狩猟団:カウンターズ」はバッチバチのアクションドラマだ。ワイヤーアクションもたっぷり出てくる。

「カウンター」と呼ばれる主人公たちは、いずれも昏睡状態の経験者だが、「あの世のパートナー」から命を授けられ、死後の世界から逃げ出して人間にとりついた「悪霊」を探し出して倒していく任務を担っている。

悪霊は殺意に満ちている人間にとりつき、その人間を殺人鬼にしてしまう。誰かを殺し、その魂を食べることでレベルアップしていくと戦闘力も高まっていくから厄介だ。

悪霊を倒すには、叩きのめすしかない。完全に動きを止めてから、悪霊を召喚して地獄へ送る。だから、毎回バッチバチのアクションがある。カウンターたちはそれぞれ特殊能力を持ち、通常の人間の数倍のパワーを持っているが、レベルの高い悪霊には苦戦を強いられることも多い。悪霊にとりつかれていた人は警察に渡し(人を殺しているから)、食べられた被害者の魂はあの世に送る。だから、彼らは「死に神」と名乗ることもある。

『呪術廻戦』との共通点を指摘する人も多い。ちょっと古いが『幽☆遊☆白書』の「霊界探偵編」をイメージしてみてもいいかもしれない。そういえば、『幽☆遊☆白書』もNetflixで実写ドラマ化されるんだった。

企画は「愛の不時着」を手がけた韓国屈指のドラマ制作会社、スタジオドラゴン。原作は「梨泰院クラス」と同じく、同タイトルのウェブトゥーン(韓国発のデジタルコミック)。だからか、オープニングの演出が「梨泰院クラス」とよく似ている。韓国のケーブルテレビ局OCNで昨年11月から放送が始まって、今年1月24日の最終回はOCN史上最高視聴率の11.9%を記録した。大ヒットドラマなのである。

魅力的なヒーローチーム

主人公チームは男女2人ずつという「ヒーロー・クオータ制」(筆者の造語)を採用している。少年、お姉さん、おじさん、おばさんの4人が戦い、それを大金持ちのおじさんがサポートする。全員、本当に魅力的なので、一人ずつ紹介しよう。

主人公は交通事故に遭って両親を亡くし、片足に障害のある高校生男子のソ・ムン(チョ・ビョンギュ)。優しい祖父と認知症を患っている祖母と暮らしている。彼もとても優しい少年だ。彼を支え続けている親友でメガネ少女のジュヨン(イ・ジウォン)と小太りの少年のウンミン(キム・ウンス)もとても優しい。3人の交流を見ているだけで泣けてくる。

ソ・ムン役のチョ・ビョンギュはヒットドラマ「SKYキャッスル~上流階級の妻たち~」や「ストーブリーグ」にも出演/Netflixオリジナルシリーズ「悪霊狩猟団:カウンターズ」独占配信中

ソ・ムンは他のカウンターのように昏睡状態の経験はないにもかかわらず、あの世のパートナーが体に入ってカウンターになった。原題通り、驚異的な成長を見せながら(韓国語で「ソムン」とは「噂」のこと)、悪霊たちと戦い続ける。

クールなお姉さん、ト・ハナ(キム・セジュン)は人や物に手をふれると過去がわかるサイコメトリー能力を持つ。絶対に自分の過去のことを明かそうとしないが、困窮している子どもたちにはとても優しい。

ト・ハナ役のキム・セジョンはもともとシンガー。オーディション番組「PRODUCE101」を勝ち抜いたキャリアの持ち主/Netflixオリジナルシリーズ「悪霊狩猟団:カウンターズ」独占配信中

熱血漢のおじさん、カ・モタク(ユ・ジュンサン)は元刑事。ある事件に巻き込まれて昏睡状態に陥っていたところ、カウンターになった。特殊能力は怪力。記憶を失っていたが、元恋人で刑事のジョンヨン(チェ・ユニョン)の協力のもと、徐々に真相に迫っていく。ソ・ムンの良き理解者でもある。

カウンターのリーダーが気のいいおばさん、チョ・メオク(ヨム・ヘラン)。カウンターの中で唯一、治療能力を持つ。ソ・ムンを母親のように見守っているが、彼女の「あの世のパートナー」は彼女の息子である。

カウンターたちを経費面でサポートするのが、韓国のトップ企業で会長を務めるチェ・ジャンムル(アン・ソクファン)。この人もソ・ムンの良き理解者。メオクさんに気がある感じ。

それぞれ重い過去を抱えていて、それぞれとびきり優しい心の持ち主であるカウンターたちが、昼間は抜群に美味いククス(素麺)屋で働きながら、悪霊を感知すると揃いのジャージに着替えて出動する。少年もお姉さんもおじさんもおばさんもみんなヒーローなのが本当に格好良い。

怒鳴らないヒーロー、ソ・ムン

で、舞台となっているチュンジン市には悪霊がしょっちゅう現れる。なぜかというと、表向きは平穏な街なのだが、実際はとても不穏な街だからだ。

「革新」を謳う市長と開発を請け負うゼネコングループとヤクザと腐敗した警察という悪のコングロマリットが街を牛耳っていて、汚い仕事を専門に請け負う男もいる。市長の息子のシン・ヒョグ(チョン・ウォンチャン)も手がつけられない不良で、ソ・ムンたちは執拗にいじめ(というより度を超えた暴力と恐喝)のターゲットにされる。

悪霊も悪いが、人間はもっと悪い。悪いやつらが簡単に反省しないところがリアル。やられてもやられても執拗に悪事を繰り返し、相手が強ければ弱いところを狙ってくる。それでもソ・ムンは優しい心を忘れない。不良たちを叩きのめした後、感情に任せて怒鳴り散らしたりするのではなく、抑えた声で諭すのが印象的だった。

カウンターズの面々とあの世のパートナーたちとのオフショット。いい雰囲気。左端はユ・ソンドン監督/Netflixオリジナルシリーズ「悪霊狩猟団:カウンターズ」独占配信中

カウンターたちは、悪霊と戦い、悪事をはたらく人間と戦い、自分の過去のトラウマとも戦う。1シーズン16話あるが、あっという間に観終わるし、観終わった後はまたすぐに彼らに会いたくなる。実際、韓国では出演者たちが集まって、みんなでゲームをしたり料理をしたりするスペシャル番組も放送されたし(観たい!)、シーズン2の制作も決定している。

まずはちょっとおどろおどろしいタイトルに惑わされないで、一度観てほしい。アクションが苦手でなければ、絶対に彼らのことが好きになると思うから。

ライター。「エキレビ!」などでドラマ評を執筆。名古屋出身の中日ドラゴンズファン。「文春野球ペナントレース」の中日ドラゴンズ監督を務める。
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