1話から衝撃Netflix「ファイアフライ通り」「グレイズ・アナトミー」のイジーが魅せる知性と奔放

●熱烈鑑賞Netflix 53

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時系列をシャッフルした大胆な構成

配信直後に全米でランキング１位、その後、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ドイツ、南アフリカ、オーストラリア等、各国でベスト５入りした話題作「ファイアフライ通り」。
永遠の友情を誓い合った女性ふたりの人生の物語であり、シスターフッドのドラマであり、ふたりに関わる人たちの群像劇でもある。
『赤毛のアン』『嵐が丘』『若草物語』といった名作群を連想させる骨太の良質なドラマだ。

そのクラシカルで王道の物語を、牽引力強く、新鮮に蘇らせているのが、時系列をシャッフルした大胆な構成。1970年、1974年、1983年、2003年、そして2005年と、複数の時を激しく行き来しながら、ふたりの人生を描いていく。
仕事、友情、恋愛、結婚、家族、死、人生のすべてを詰め込んで、一気に観せるのだ。

派手で奔放、すぐにその場の主役になってしまうタリー・ハートを演じるのはキャサリン・ハイグル。ドラマ「ロズウェル 星の恋人たち」のイザベル・エバンス役、「グレイズ・アナトミー」のイジー役などで活躍、2007年のエミー賞助演女優賞を受賞した。2018年には「SUITS/スーツ」シーズン８からサマンサ・ウィーラー役で登場。女性初の大統領選に立候補した女性ビクトリア ウッドハルを描いた「Woodhull」主演の企画が立ち上がっている。
地味でまじめだがちょっとドジなケイト・マラーキーを演じるのは「ママと恋に落ちるまで」「僕のミッシー」のサラ・チョーク。

原作は、同名のベストセラー小説『Firefly Lane』（未訳）。作者のクリスティン・ハナの小説『ナイチンゲール』は、ダコタ・ファニングとエル・ファニング姉妹で映画化の予定だ。

世界征服できる最強コンビ

最初は、時系列の縦横無尽な跳躍っぷりに戸惑うかもしれない。

タリーが、テレビ番組「ガールフレンドアワー」のオープニングにМＣとして登壇する。
すぐに少女時代に切り替わる。母親に置き去りにされて、おばあちゃんの家に戻ってきた10歳の少女タリー。
「ママなんて大嫌い」と叫びながら、部屋に逃げ込み、乱暴にドアを閉める。
カットを変えることなく、そのドアが開く。出てくるのは14歳になったタリーだ。
再び母親がやってきて、連れ去るようにタリーをつれていく。

「ケイト、はやく支度して」

鏡に映る自分の顔を見ている14歳の少女。もうひとりの主人公ケイト。
鏡の曇りを拭いて現れる顔は20代のケイト。後ろ髪を束ねてふりむくと40代のケイトになっている。指から結婚指輪を外す。10代のケイトにもどり、誰かが引っ越してきたことに気づく。タリーとその母親が引っ越してきたのだ。

はじまって、まだ５分ちょっと。
短い間にめまぐるしく時間がシャッフルされ、最初に観たときには、ほぼ何が起こってるのか分からない。
分からなくてもだいじょうぶ。この先、じょじょに分かってくる。いくつものピースがじょじょに結びついてくる。
アルバムをパラパラめくりながらおばあちゃんが連想のおもむくままに思い出を語っているかのような大胆な構成で、それを絶妙かつ緻密に築きあげて、眩暈のような観る快楽を与えてくれる。

「バラバラでも最高だが２人一緒だと１日で世界征服できる最強コンビだ」
シーズン１、全10話。翻弄されるように観ていると、ふたりの人生と寄り添って生きてきたような気持ちになってくる。そして、いくつもの伏線を残したうえに、シーズン１最終話のラストに強烈な出来事を見せて、続いてしまうのである。シーズン２、はやく。はやく配信してください。切望します。